2章:生と死。
13話:あの日の化け物
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
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ー???
ー秀蘭 五歳
「秀蘭!おはよう!今日も遊ぼぉ!」
「…!」
秀蘭と呼ばれる少女は小さく頷き、ニコッっと微笑んだ。
私は小さいころ、とある少女とずっと一緒だった。彼女は夢望。輝く金の髪を後ろに束ね、悲しくなるような夕日色を宿した瞳に私はいつも心を奪われた。
…幼少期、外に出ることを禁止されていた私にとって唯一の友達だった。
「ねぇ秀蘭!沢山のお花出して!」
「…(ニコッ)」
「…わぁぁ!ありがとう!これでかんむり作ってあげる!」
「…?」
「こうしてね…輪っかに通して…できた!」
「…〜!」
「えへへっ!よろこんでくれて良かった!」
「…ぁ、あが、とう。」
「!いいよいいよ!ほらもっと!」
彼女は私の能力を怖がることなく、個性のように思ってくれた。私は彼女から言葉や常識を教わった。それくらい、私にとって大切な存在だった。
ー 七歳
「秀蘭!遊ぼぉ!」
「うん…!」
今日も夢望と一緒に遊ぶ。
きっとこれからも。
…そう思っていたのに。
私たちはいつも春になると花が咲く、裏林の中で遊んでいた。
「…でね、こうすると… うわっ!!」
「!…だいじょうぶ?」
「うん!えへへっ、びちゃびちゃになっちゃった…!秀蘭はへーき?」
「うん。へーき。きおつけて」
あの日は前日が嵐だったから、色んなところに水溜りができていた。いつもより地面が凹んで、小さかった私たちにはとても危険だった。
「ねー秀蘭!」
彼女の笑顔を見ると、あの日はなぜか不安になった。
(あ…あそこの木…たおれそう…)
そう私が考えなければ。
「え…?む、夢望!?」
「ねぇ、聞いた?角のお家のムムちゃん、亡くなったんですってね。」
「あぁ聞いたわ。それに一緒にいたのはあの子でしょ?」
「そうそう呪いの子…。」
「きっとそいつが殺したんだよ!」
「ムム優しかったのに…」
「あの化け物!」
…彼女は死んだ。大きい樹木の幹が腐っていたらしい。
でも、…でも!
彼女は…夢望は私が殺したんだ。
それから私は花を見ることをやめた。
ずっと引きこもった。
夢望のお墓にも行けてない。
…行けるわけない。
私は、化け物なんだ。
…化け物なんだから。
私…は…
どうしたらいい…?
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