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レイン・エイムズに次ぐ最年少神格者として名高いランス・クラウンは学業と仕事に圧迫され頭が上手く稼働していなかった。
「ドット」
約四日振りに自室に足を踏み入れ、玄関から余程耳を澄ましていないと聞き取れない位の声量で恋人の名前を呼ぶ。時間帯は深夜で消灯時間などもうとっくに過ぎている。翌日が休日だと言えどもうとっくに寝てしまっているだろう。が、そんなことも考えられないくらいにランスは疲れていた。
「おい、ドット」
なかなか出迎えをしてくれない恋人に理不尽な苛立ちを覚え声量を上げた。起きているならまだしも寝ていたら気づかないような声量であるが。
その後も暫く繰り返し名前を呼ぶ。優に十分は経過しただろう。すると奥からガサ、と物音がしたと思うとずっと待ち望んでいた朱色が見えた。
「おかえり」
眠そうな目を擦りながらもこうして出迎えに来てくれたことにどうしようもないくらいの愛しさを抱えながらも口から出たのは先程の苛立ちの方で
「遅い」
ドットの肩らへんに顔をうずくめ、背中まで腕を回し割と本気で掴む。
「力強ぇよ…、遅くなったのは悪ぃ。」
応答しながらランスを腕で包み、空色の髪を梳くように撫でる。疲れている恋人を気遣っているのだろう。普段のような罵倒の言葉や大きな声とは相反し優しく囁くような声音だ。その暖かさにより一層安心感が芽生え腕の力が緩む。
「お茶淹れるから風呂入ってこいよ」
背中をタンと叩きアクションを起こすように伝えてくる。
「一人じゃ入れない。」
口からは普段ならプライドが邪魔して言えないような言葉が放たれる。そんな言動に驚きと戸惑いを隠せないドットはわたわたとしながら耳を赤らめている。
「分かった、」
と耳を疑うような返事をした後、抱え込む…俗に言う姫抱きをして風呂場まで運ばれる。普段から筋肉を鍛えているせいか同じ体格の男を軽々と持ち上げてしまう。かっこいい、と素直に羨望の意を抱いた。
「ほら、脱がすぞ」
先程のように可愛く赤面してくれるかと思ったがそんなことはなくぱぱっと服を脱がせ下着一枚にされてしまった。
「なんとも思わないのか?」
「ん?あぁ、もう慣れただろ」
慣れた?いつもなら熱が伝わって来るくらいに頬を染め上げ目を逸らしているじゃないか。
「ドット、」
名前を呼び振り返った恋人の唇に己を重ねた。モゴモゴと何かを言おうとしているドットを静めるように舌を絡ませる。段々と呼吸に手一杯になり静かになっていくドットが可愛くて更に舌を深くまで絡ませる。 胸元をドンドンと叩かれ名残惜しいが仕方がないと離れ、視線を奪う。
「お前っ!急に、!」
望み通りの表情が見れて満足しているランスに文句を述べている。そんな姿も興奮材料になっているなど知らずに。
そのまま項、鎖骨、胸元、腕へと啄むようなキスを落としていく。
「おま、洗いずらいから止めろって」
「嫌だ」
なんて交わしながら風呂に入れてもらう。かれこれ3時間近くかかった事に関しては触れないでおこう。
風呂から上がりスッキリとした身体に対し頭は眠気からぼやぁとしている。もちろん理性は暫く前にフェードアウトしており、脳内には欲しかない。
ドットの側まで這い、腰にしがみつく。そして思いっきり吸う。
「いい匂いがするな。」
「変態野郎」
ドットに罵られようとも気にしない。今ランスは完全体なのだ。
ドットを吸っては息を吐き、吸っては吐きの繰り返し、つまり深呼吸をしていると段々と意識が霞んでいく。
「おやすみ」
耳元で囁かれたその言葉を最後に記憶が途切れた
「おい、」
朝から不機嫌な声が部屋に響く。
声の主は今にでも杖を構え重力魔法を発動させようとしていた。
「なんだよ、」
ふわぁ、と欠伸をしながら不機嫌な理由を問う。その手にはしっかりとランスの手が握られていた
「何故このような事になっている」
ランスには昨日の記憶が無いらしい。だからこの状況、ドットがランスに足を絡ませ、手を握り、抱き抱えるような体勢である理由を知らないのである。
「あぁ?覚えてねぇのかよ、」
昨夜は大変だったんだ。と嘆くドットに一発拳を入れる。
「いてぇ!!」
「昨夜何があった。言ってみろ」
なんて理不尽なのだろうか。風呂まで入れてやったのに覚えてないからといってこのような態度をとられる筋合いはないだろう。
グラビオルで脅されながらもランスが疲れていた事、甘えて来たことなどをそのまま教えた。
また殴られた。
拳を振り上げたランスの耳は真っ赤だった。