死ネタ?注意
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人間は嫌いだ。
「あ、猫さんだー!」
「本当だねー可愛いねー」
「この猫さん飼いたい!」
こんなふうに俺を見つけたらすぐ飼いたい飼いたいって喚く。
もう何年も生きてるけど毎回こんな反応ばかりで嫌になってくる。
そろそろペットショップを出て野良猫として生きていこう。
「あれ、またいる」
野良猫になってからちょっとは自由に過ごせるようになった。
けど、最近俺の通り道には必ず赤い髪の奴がいる。いつも餌をくれるから別に気にしないんだけどね。
「かざねって毛並み綺麗だよね」(ナデナデ
かざねっていうのは俺の名前らしい。
あいつの撫で方は気持ちいいからつい喉を鳴らしちゃう。そろそろ野良猫生活も飽きてきたしな…餌くれるこいつにでもついてこうかな。
「かざねー!ご飯だよー!」
俺はしゅうとの家の猫になった首輪はちょっとむずむずするけど、慣れたし大丈夫。
しゅうとについてわかったことが、一人で住んでいてたまに遅く返ってくる。
その時は俺のお腹に顔を埋めて吸ってくるからくすぐったい。
一緒に寝るとあったかくていい匂いで安心して寝れる。これが幸せってやつかな。
しゅうとは好きだ。いいやつだし、餌もくれるし。笑った時のくしゃってした顔が可愛い。
「ケホッ…かざね〜風邪ひいちゃったかも〜😭」
「今日一日休みだったから遊びたかったのに…」
最近しゅうとは体調を崩している。この前は熱が四日くらい続いた。
なにかの病気なのか、持病なのか分からないけどすごく苦しそう。
なんにもできないけど、ずっと寄り添った。
「ねえ…かざね…」
ある日真夜中にしゅうとが俺に話しかけた。
「俺、ずっと独りぼっちだったんだ」
「親や兄弟はいないし、頼れる人もいなくて」
「でもかざねに会えて、独りぼっちじゃなくなって嬉しかった」
「ありがとうね、今まで一緒にいてくれて」
「おやすみ、また明日」
そう言ってしゅうとはまた寝た。俺も眠かったしさっきの言葉の意味がよくわからなかったから明日もう一回聞いてみようかなって思って寝た。
朝起きたら、いつも早く起きてるしゅうとがまだ寝てた。
顔が白くなってて息が聞こえない。
胸に耳を当てても何にも聞こえない。冷たい体温が伝わるだけだった。
「…ニャー?」
呼びかけても反応しないし、全く動かない。
「…」
あぁ…しゅうとはもう死んじゃったのか…
穏やかな顔をして幸せそうに眠ってる…
…やっぱり人間は嫌いだ。俺が好きになってもすぐに突然死ぬ。
ただ…しゅうとは好きだった。
あの笑ったらくしゃってする顔、綺麗なアメジスト色の瞳、落ち着く低音の声…
…もう一度聞きたかったな。
(ポフッ(人化
「おやすみしゅうと」
「俺はずっと待ってるからね」
温もりを感じない唇にキスをした。
人生…猫生かな?で初めてしたキスは、冷たくて悲しいキスだった。
葬式をあげて墓を建てた。しゅうとは独りぼっちだったから。俺が一人で弔った。
さようならしゅうと。俺が愛した人。
また来世でね。
「ふぁ…」
何十年か過ぎたら、もう退屈でしかなかった。けど、今は楽しい。
「かざねー!見て!人化できるようになった!」
「おお〜…尻尾隠れてないぞ…」
「ぅえ⁉︎…ほんとだ…」
「まあ、もうちょっとで出来る証拠だから 頑張れ、しゅうと 」
「うん!」
数年前に拾った猫。見た目も中身も性格もそのままのしゅうとだった。
俺はしゅうとの生まれ変わりだと信じて育ててる。
猫又に育ててるから永遠に一緒だ。
また今世でも一緒に暮らそうね。
コメント
1件
ハッピーエンドっぽい感じ…!! 「悲しくて冷たいキス」がグッときた…😭