sm視点
午前の授業が終わり、最近一緒にいるようになったきんときとシャークんと昼食をとるため食堂へ来ていた。
お盆に乗ったカレーと水を溢さないように、慎重に運びながら座れる場所を探す。
うちの大学は広く、生徒数も多いので食堂の席はかなり多く設けられている。3人で座れる適当なとこを見つけ、席に着こうとした時。
nk 「…ねぇ!君、スマイルくん??」
sm 「……ぇ?」
知らない人から、先輩と何故かきんとき達も呼ぶようになったあだ名で呼ばれる。
sm 「…誰ですか、?」
nk 「え、俺俺!きりやんの友達なんだけど見たことない?なかむっていうんだけど、」
そう言われて、大学で先輩を見かけた時のことを思い出す。そういえば、背の高い人ともう1人、俺よりも少し背の低い可愛らしい容姿をした人が一緒にいた気がする。
sm 「…はぁ、なんですか。」
nk 「いや〜俺、君と話してみたかったんだよ!きりやんがいると、話しかけんなって怒られるからさー。」
sm 「はぁ…、」
やけに明るい先輩の友人は、止まることなく話し続ける。早くお盆置きたいんだけどな、と思いながらチラリとシャークんたちを見ると、絡まれる俺を他所に先に席に着こうとしていた。
クソ、あいつら他人事だと思って。
すると俺の手に持っているものに気づいたなかむさんは、慌てて謝ってくる。
nk 「あ“!ごめん、飯食おうとしてる途中だったよね。一緒にいる子もごめんな!」
そう言って両手を顔の前で合わせながら、2人がいる方へ振り向く。その瞬間、時が止まったかのようになかむさんが固まった。
nk 「…ぇ、..あぁーーー!!!!」
突如大きな声を出したかと思うと彼は、今にも席に着こうとしていたきんときを指さす。
指を指された本人は、いきなりのことに驚いて目を丸くさせる。ついでに、隣にいたシャークんも。
kn 「え、なに、俺?」
nk 「君!君君君!!うわ、君のこと探してたんだよ!こんな近くにいるなんて…!」
kn 「???」
ターゲットが俺から彼に移ったことを確認し、俺も手に持っていたお盆を机に置くことにする。
shk 「…誰だよ、あの人。」
sm 「俺もあんまり知らない。知り合いの友達ってことぐらいしか。」
警戒心むき出しのシャークんが、2人の様子を見ながらそう聞いてきた。誰か、と聞かれても説明できるほど知っているわけじゃない。
そんなことよりも解放されたことに一息つき、後は勝手にやっていてくれと右手にスプーンを持つ。その間にも2人の会話は聞こえてくる。
nk 「名前なんていうの??あ、連絡先交換しない?俺、君と仲良くなりたいんだよ〜!!」
kn 「え、えと別に良いですけど、どこかで会ったことありましたっけ?」
nk 「ん?ぁー…ないね!俺が一方的に見かけただけ!でも、もう一回会ってみたかったんだ〜。」
kn 「はぁ、?」
2人がスマホを操作しながらそんな会話を交わす。シャークんは え、いいんだ、と驚きながらもラーメンを啜る。
nk 「えっと〜、これ?…“きんとき”、くん?」
kn 「あ、そうです。金井◯◯なんで、きんときって呼ばれてるんです。」
nk 「なるほど。…あ、俺のそれ!“Nakamu”って書いてる奴ね!長瀬◯◯でなかむ!好きに呼んでくれて良いから!」
kn 「なかむ、さん?」
nk 「うん!!…あ!邪魔してごめんね、俺もうどっか行くから。また連絡しても良い?」
kn 「全然良いですけど…、」
nk 「ほんと⁉︎うわ〜嬉しいなぁ。あ、これあげる!みんなで食べて!」
嵐のような彼は、きんときに何かを渡して去っていった。それをなんとなく見送って、改めて席に着くきんとき。
shk 「…何貰ったの?」
kn 「ん?なんか飴?みんなで食べてって貰ったけど、何味がいい?」
変わらずラーメンを啜りながら、シャークんがそう聞いた。手渡された棒つきのキャンディをこちらに見せながら、そう答えるきんとき。マスカット味にコーラ味、もう一つはソーダと非常に迷うラインナップ。
shk 「甘そ〜。」
kn 「まぁまぁ、せっかく貰ったし選んで?」
shk 「ん〜、じゃあマスカット。…さんきゅー。」
kn 「スマイルは?」
sm 「待って、………コーラ。」
kn 「ん、はい。」
sm 「…ありがと。」
kn 「はいはい、さっきの人にも会ったら言えよ〜。」
そう言ったまま手元に残ったソーダ味の飴を、じっと見つめるきんときにシャークんが話しかける。
shk 「きんときよく、知らないやつに連絡先渡せるな。普通に怖くね?」
kn 「いや〜、まぁ、ね。…なんとなく、いいかってなっちゃったんだよね。」
shk 「??んだそれ、こわ。」
sm 「……きんとき、食べないの。」
いくら空きコマが長いとはいえ、そろそろ食べ始めないと大変なのではと口を出す。そうすれば、え、やば、とこぼし急いで皿に乗った唐揚げに箸をつけ始めた。
2人が交わす、なんて事ない会話に時折参加しながら、自分も食べるのは遅い方だからと黙々と食べ続けることにする。
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