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#文芸アクション
大正
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睦月君は彼のパンチをあっさり受け流し、腕をひねりあげて床に叩きつけた。
「佑里香さん、大丈夫?」
「あ、ありがとう……」
「お前たち、もう逃げられないぞ! うちの店でこんな暴力沙汰起こして、どうなるかわかっているだろうな?」
睦月君は捻りあげた手をさらに力を入れ、チンピラの一人を抑え込んでいる。すると、手の空いていた緑の派手なポロシャツを着た男が、睦月君の頭に拳銃を突きつけた。
「なめんなよ小僧……ガッ」
睦月君は身の軽いフットワークで男の下あごを頭突きで攻撃し、吹っ飛ばした。つよ…。
知らなかったけれど、私の旦那様って、かわいくてイケメンの癖にものすごく喧嘩強い…?
「潤、連れて行って。対処もよろしく」
「りょーかい」
大脇さんが店内に滑り込んできて、まとめて男3人を連行していった。すぐにサイレンの音なども聞こえてきたので、警察が来たのだろう。私が連絡しても役に立たなかったのに、今回ばかりは違うようだ。
「大丈夫だった? けがはない?」
「うん、睦月君が来てくれたから、大丈夫」
「よかった!」
ぎゅっと抱きしめられた。ふあっ……水島君いるのに!
「あ、あの……っ。睦月君こそ大丈夫なの? 怪我……」
「大丈夫。命狙われることが増えて、一通りの護身術はやってあるから。いつでも、佑里香さんのことは守れるよ!」
睦月君……私と再会するまで苦労したのね……。
「あの、俺がいること忘れてない?」
水島君が冷めた口調で睦月君に言った。
「いえいえ。お客様の存在を忘れるわけないでしょ」
チンピラは去っていったけれど、まだ店に残っている水島君と睦月君はバッチバチの火花を散らしている。
「だいたいね、天川さん」水島君は厳しい口調で睦月君を攻め立てた。「昨日佑里香さんから聞いたけれど、この店に危険が及んでいるということはわかっていたのに、なんの手も打ってなかったなんて信じられないよ。俺には理解できない。あいつらは何度もこの店の営業妨害していたんだ」
「お言葉ですが水島さん、僕もこの状況は昨日知ったばかりで。今、早急に手を打っているところですがなにか?」
「それで佑里香さんが怪我しても、アンタ責任とれんの?」
ひいいっ……言い合いは止まらない。
「夫だから全責任は取るよ。だから心配無用だ。あと、この際だから言うけど、水島さん、妻を名前で呼ぶのやめてくれない?」
「俺が仲のいい同級生をどう呼ぼうが、天川さんに関係ないだろ」
「佑里香は僕の妻! 必要以上に仲良くしないでくれる?」
「食事しにきただけで難癖つけるなよ。心の狭い男だな」
「佑里香目当てってわかってるし、夫の前でちょっかいかけないで」
「かけてない」
「かけてるよ!」
本気で喧嘩を始める勢いだったので、ストーップ、と私が制した。
「ふたりとも落ち着いて! ね? 水島君も、せっかく食事に来てくれたのにごめんなさい。お店、こんな状態だから……しばらく、休むことにするわ」
意地になって店を継続させていたから、結果、大事な友人をこんな騒動に巻き込んでしまったのだ。こちらの責任は重い。
「なんでっ。もう、チンピラは来させない! ていうより、あいつらを動かしている黒幕の正体がわかったんだ。だから、そんな風に言わないで、先生!」
睦月君が我を忘れて私のことを『先生』と呼んだ。
しまったと思ったみたいだけれども、時すでに遅し。水島君は訝し気な顔で睦月君を見ている。
「先生って……どういうこと? なんで佑里香さんのことを、そんな風に呼ぶの?」
「なんでもない」睦月君はバツの悪そうな顔でごまかした。
「なんでもないことないだろ。そっか……天川さん……やっぱりどこかで見たことがあると思っていたんだ。あんた、小学生の時、ここの食堂でずっと世話になっていた子供だろ?」
水島君……睦月君のこと、覚えていたんだ…!
記憶力よすぎる。
「確か、先生って言いながら、佑里香さんの後をつけ回すようにしていた子供がいた。目の下のホクロが目印だ。そうだろ?」
「そうだけど。それがなに? 水島さんに迷惑かけた?」
「佑里香さんにとっては迷惑な話だろ。天川さん、あのチンピラにも心当たりあるって言っていたけれど、それってあんたのせいじゃないの? 学生のくせに大層な投資会社の社長みたいだから、金銭がらみかライバルの差し金か、なんにせよ、天川さんが佑里香さんに迷惑かけているんだろ。違うか?」
「――やめて!! やめてよ、水島君!」
睦月君を責め立てる水島君の攻撃を私が遮った。「ごめんなさい、今日の所は帰ってくれる? 夫と話し合うから……」
「ごめん。こんな争いするつもりなかったのに…つい、感情的になっちゃった。申しわけない」
水島君は私に向かって頭を下げてくれた。「また、食べに来てもいいかな?」
「もちろんよ。大歓迎」
「ありがとう」
残りわずかだった食事を口の中に放り込み、代金を置いて彼は帰っていった。いつも、食事は残さないというのが彼のモットー。正義感が強くて曲がったことが嫌いで、それでいて自分の意見を曲げない頑固な人だったと思い出した。
コメント
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第9話、読み終えたよ! 睦月君の強さ、かっこよすぎる〜!!「かわいくてイケメンの癖に喧嘩強い」って佑里香さんの心情にめっちゃ共感した💕 水島君とのバチバチはヒリヒリしたなぁ…でも最後に「先生」って呼んじゃったところ、ドキドキした!!小学生時代の秘密が紐解かれていく感じがすごくいいよね。水島君の記憶力すごいし、正義感強いキャラも立ってて好き。 続きが気になる〜!どんな黒幕がいるんだろう…楽しみにしてるね🥀