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元々長文にしたかったイロハSS

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元々長文にしたかったイロハSS

1 - 短くなった……すみません……

♥

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2025年11月21日

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※このSSには未成年飲酒の表現が含まれます。また、本作品は未成年飲酒を推奨するものではございません。ご理解いただけますと幸いです。

時計の短針が北北東を向き、太陽の陽射しは夏日の訪れを表す。暑さは変化を現し、部屋は冷えることを知らない。


「あっついですね……。」


私は仰向けで天井を見る。一分ばかりの細目をして、身の置き所のない退屈に辟易する。


「………。」


分娩後の犬が立ち上がるような頼りない起き方、そこから靴下を履いて玄関に向かった。しみじみと大きい欠伸をして、戸の先にある眩しさを想像する。





“やあ、イロハ。”


「やってきましたよ。」


シャーレの涼しい室内。快適なこの場所は、私の休息にはもってこいの場所だ。


「今日は当番が無くなったそうですね。」


“仕事はあるんだけどね……”


パソコンのキーを手慣れた動作で打つ先生は、微笑みつつ私に答える。


「……この空き缶は?」


手が刹那、静止する。


“バレちゃうかやっぱ。”


「キヴォトスでの流通は少ないのですがね〜…。」


ビール缶が普遍な光沢感を持って、机に置かれている。それにまた、先生は平静を重ねる。


“仕事頑張った自分へのご褒美だよ。”


「そうですか………。」


「……。」


少しの水音、揺らめく缶底の黄金。空き缶と言うには、それほど物寂しいものでも無かった。


“……ごめん、それ飲みかけだった。”


「………少しだけ。」


“ちょっ…!?”


私は、そのビールを口にした。



麦芽の味は口中に広がり、生暖かさは喉を劈くように撫でる。苦さは理不尽の味で、脳内に虹が架かった。


「ぉぇッ……」


“イロハッ──!!?”




“…だ、大丈夫…?”


「はい……一応……。」


ふとして、私は口を拭って顔を上げた。何故だろうか、少しの感情と混沌を混ぜ合わせた歪みが、目の前で躍っているような感性。


「(この少量で……?)」


“イロハにはキツかったか……。”


意識が、少し揺らめく。まるで四肢が溶けているような感覚だった。小脳でも麻痺したか、バランスが取りにくい。


“……なんか、凄い酔ってきてるけど。”


呂律が、少し不平衡になっていくのが分かった。意識の不安定さと事態の違和感に、少し戸惑っている私のみがいた。


「……。そこまでは酔ってないですよ……」


少し、見栄を張ってみた。先生の顔が、今の私の状態を映し出している。


“……依頼ミスしたっけ…”


「先生〜……」


千鳥足気味に倒れ込み、私は軽く先生に倒れ込んでいた。ぼんやりとして、意識はまだあることを再確認しようとしていた。


“もしもしウタハ、特注のやつについてなんだけど──”



静かな空気が部屋中に濃く満ち、息をひそめる。

私が、先生に抱きついている。それを再認識して、顔が朱色にでもなりそうだった。


“生徒にだけ効く仕様のになったって事?”


脳内で思考が蠢く。それでも、意識の表層は常に混濁していた。瞼が鉄みたいに重くて、多少の吐き気と温かみを喉元に抑え込む。


“大体分かったよ、ありがとう。………”


「……どうかしました…?」


“……?イロハ?”


多少の視線と困惑を感じて、ふらつき気味に離れた。


「す、すみません…先生……」


“とりあえず、座ろっか。”



「学籍がアリウスでまだ良かったです……。」


“そうだね。”


少し、酔いが解けてきている。次第に押し寄せる睡魔に囁かれて、私は目を閉じていた。


「──せんせ…い……」


“……寝ちゃったか。”





“──ウタハ……?”


「……私は何も知らないよ。」

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コメント

3

ユーザー

イロハは酒弱だったかぁ…酔ったらダル絡みしそう…てかしてて欲しい

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