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翌朝。
鏡の前で制服のリボンを結びながら、咲は何度も深呼吸をした。
(……ちゃんと普通にしなきゃ)
昨日のことを思い出すたびに、胸が苦しくなってしまう。
それを隠すように微笑んでみても、頬が赤いのはどうにも誤魔化せなかった。
朝食の席につくと、亮がパンをかじりながら声をかけてきた。
「咲、顔赤いぞ。風邪でもひいた?」
「ち、違うよ。ただ暑いだけ」
慌てて返すと、亮は首を傾げながらもそれ以上は突っ込んでこなかった。
心の中では、昨夜の視線がまだ鮮やかに焼きついて離れなかった。