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第一印象
は?きも。
以上。
そして今更にあのオークションは、性処理係専用のものだったということに気が付いた。…気持ち悪。
そして目の前でニヤニヤしているこの男も気持ちが悪い。
なんなのよ、この顔…。
ビンタしてやりたいが手が汚れる。…やめておく。
それに手錠でつながれている。やりたくてもできなかったことに気が付いた。
「じゃあ早速ヤろっか?」
気持ちの悪い物体から気持ちの悪い音が漏れる。
吐き気を催す。
そんな奴にハジメてを奪われるのが嫌で必死に抵抗するが、腕を押さえつけられる。逆効果だった。
触れんな。その汚れた手で私に触れんな。
そう叫ぶことができたら、それが現実になったら、どんなに楽だろう。
必死に抵抗する。
相手も必死に私を押さえつける。
そのとき、チャイムが鳴った。
「ちっ、なんだよ。こんな時に。誰だよ、くそが。」
気持ちが悪い。
私を買った気持ち悪いものが出て行った瞬間安堵感が押し寄せる。
そして二度と帰ってくんな、という思いが強くなる。
耳を澄ませると玄関のところで揉めるような声がした。
あの気持ち悪い男と女の人の声がする。
唐突に風を切るような音がした。
そして揉めるような声が聞こえなくなった。
代わりにこっちに向かって歩いてくるような音が聞こえた。
騒ぎが収まって主が帰ってきた?
…最悪だ。
かといって今から逃げようとしても遅い。
そもそも逃げられない。
こんなに鎖が行く手を阻むものなのか、と少し驚きの感情をもった。
ガラガラと音を立てて扉が開いた。
そこにいたのは__
あの気持ちの悪い男ではなかった。
誰?
見覚えのない顔だ。
髪の長く銀髪の綺麗な女の子。
そもそも私が知っている女の子は友達しかいない。
…視野が狭すぎる。
そんなことに今、気が付いた。
私は誰なのか尋ねようとした、が先に女の子の口が開いた。
「あの気持ち悪い男はムカついてぶっ倒しといたから。」
そしてにこっと笑った。
「倒し、た…?」
信じられなかった。
あの男は体も大きく体格もいい方だった。
それをこんな小さな女の子が倒せるとは思えなかった。
「うん、ぶっ殺した。」
可愛い笑顔から物騒な言葉が出てくる。
…これがギャップ萌えというものか?…萌えてないけど。
「あのさ、今暇?」
友達が遊びに誘うような軽い文面で女の子が言った。
私は少し戸惑いながらもうなずいた。
「ここ、あなたの家?」
今度は首を横に振る。
「売られた?」
首を縦に振る。
女の子は少しの間無表情になり、そして言った。
「じゃあ今度は私に買われてよ。」
女の子に犯されたりすることは…ないと思う。
(筆者、GLは地雷です)
じゃいいか、
鎖に縛られたまま餓死するよりは、奴隷のように扱われるほうがましだ。
私はコクリとうなずいた。
女の子が鎖をほどいてくれた。
でも鎖に縛られるということに慣れてしまった体は異変を感じ動けなかった。
女の子はそれを察したのか、鎖で全身をまた縛りなおした。
少し緩めに、動きやすいように、でもほどけないように。
「あのね、私暇なの。」
女の子が言った。
「だから同じように暇で強い人を集めてバケモノをぶっ倒したりとかしてたら、暇じゃないかなって思ったんだ。だから、あなたもバケモノをぶっ倒すことになるけど…大丈夫?」
正直死体などには慣れていた。
魔女狩りのとき、死刑になる子供たちをたくさん見てきたからだろうか、
「大丈夫…と思う。」
久しぶりに出した声は思ったよりもきれいに出た。
そして私ってこんな声だったっけ、って思った。
女の子はニコッと微笑んだ。
唐突に疑問を持った。
「どうして私のこと、強いと思ったの?」
私はあまり強くはないと思う。
小さいときに近所の友達と戦いごっこ的なものをした記憶はあるが、すべて負けていた気がする。しかも本物の戦闘経験もない。
「それはね、目が赤いからだよ。」
女の子はそう言った。女の子の銀色の髪の毛がふわりと揺れた。
「目が赤いと強いんだよ。もともとの素質があるの。」
女の子の目は赤かった。
私は戦いごっこで全敗したことを女の子に告げた。
「それは訓練とかも何もしていない状態だったからだよ。あくまでもあなたにあるのは素質に過ぎないから。ダイヤモンドの原石みたいなもの。磨かないとダイヤモンドもきれいに光らないでしょ?」
納得した。
「そういえば、あなた名前なんていうの?」
女の子に聞かれた。
「名前は、ない。」
ほんとになかった。
もともと庶民に名前をつけるなどしてはいけないという決まりがあった。
親は男の子にだけはこっそり名前を付けたりしていたが、女の子には余計に人権がなく、名前さえももらえない子ばかりだった。
「そっか。」
女の子は哀しそうにふわりとほほ笑んだ。不覚にも私はそれを美しいと思った。
「じゃあ私が名前を付けてあげるね。」
うーんと腕を組み考えている姿も愛おしい。
「ルージュちゃん!どうかな!」
ルージュ。その言葉を聞いた途端、自分がもともとルージュだったのでは、という錯覚に陥る。それほどにいい名前だと思った。…あの女の子にもらった名前だからかもしれないが。
「赤ってフランス語でルージュになるんだよ。響きがかっこいいでしょ。」
女の子は自慢げにそういった。
「私の名前はね、有栖っていうんだよ!」
有栖。この子らしい名前だと思った。あどけなさを残していてかわいい。
「じゃあルージュちゃん、私の家に来てよ。」
私はうなずいた。
ルージュちゃんはそれを見ると__
家をぶっ飛ばした。
「…え?」
周りのものがすべてぶっ飛んで外があった。
「わざわざ下に降りて、とかするのめんどくさいでしょ?しかももう家主いないし、ちょっとくらい壊してもバレないから。大丈夫!」
…?
だからって家をぶっ壊したりするか?
と思ったが、まぁなんか有栖ちゃんならあり得る気がしてなんか納得した(?)
「ちょっと私の家遠いから瞬間移動していこうよ。」
うん。わからん。ちょっと何語でしゃべってんのかわからん。
有栖ちゃんはどこからか木の枝のようなものを拾ってきて、魔法陣的なものを描き出した。
魔法陣っぽくない魔法陣。円の内側にはなにか異国の言語のような見たことのない文字が描かれていた。
「この上、のって。」
唐突にルージュちゃんが言った。
私は言われた通り、その上に乗った。
だがルージュちゃんは乗る気配がない。
「ルージュちゃんは乗らないの?」
私が尋ねるとルージュちゃんは首を振った。
「だってそこ、入らない。」
確かに言われてみれば、私で精一杯の大きさだった。
「いいの。私は空飛んでいくから。」
ルージュちゃんがまた信じられないことを言った。
だが、私の感覚は麻痺したのかどうでもよくなった。
「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね。」
最後にルージュちゃんが言い、私は知らないところに飛ばされた。