テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
いい先輩でいさせてくれない君。
読み切りです。
木葉秋紀くん出てきます。
夢主出てきます。
少し切ないかもです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕暮れ時の体育館裏。
部活終わりの騒がしさが 遠くに聞こえる中で、木葉秋紀は少しだけ背筋を伸ばした。
木葉:
「……で、相談って何だよ。改まって」
いつもの、少し気だるげで、でも面倒見の良い「いい先輩」の笑顔。
けれど、その胸のうちは穏やかではない。目の前の「お前」が自分を頼ってくれた嬉しさと、わざわざ場所を変えてまで話す内容が何なのかという不安。
木葉は、ずっと隠している自分の片思いがバレないよう、祈るような気持ちで言葉を待った。
〇〇:
「あの……木葉さん。……木兎さんの、好きなタイプって、知ってますか?」
ーーーーー 一瞬、思考が止まる。
心臓が嫌な跳ね方をした後、じわじわと熱い痛みが広がった。
木葉:
(……なんだ。そっちかよ)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
木葉side
「お前もあいつかよ!笑」と笑い飛ばせれば楽だったのかもしれない。
けれど、あまりに真っ直ぐな瞳に、木葉は「いい先輩」の仮面を剥がすことができなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
木葉:
「木兎? あー……あいつな」
木葉はふいっと視線を逸らし、
後頭部を掻いた。
視線の先では、夕日が長く影を伸ばしている。喉の奥に苦いものがせり上がるのを、
必死で飲み込んだ。
木葉:
「あいつは、そうだな……。自分のプレーを全力で褒めてくれる奴とか一緒にいて盛り上がれる奴とか…まあ、あいつのテンションについていける元気なタイプが好きなんじゃねぇの?」
なるべく明るく、いつもの調子で答える。
だけど、胸のモヤモヤは消えてくれない。むしろ、自分ではない誰かの「攻略法」を教えている現状が、じわじわと彼を追い詰めていく。
少しの沈黙。
木葉は、自分の内側にあるどろりとした感情を誤魔化すように、
わざと意地悪く口角を上げた。
木葉:
「……何? もしかしてあいつに告白でもすんの?」
〇〇:
「えっ、あ、いや……それは……」
〇〇が焦ったように視線を泳がせる。
その反応がさらに胸を刺す。
木葉は、からかうような口調の裏に、
精一杯の「もしも」を隠して言葉を繋いだ。
木葉:
「そんな顔すんなって。……なあ、もし今そのままあいつに告ったら、あいつどんな反応すんだろうな。想像つくか?」
—————-→
(……俺だったら、その場で抱きしめてんのにな)
そんな言葉は、口が裂けても言えない。
「切ない相談に乗ってやる余裕のある先輩」を演じながら、木葉は自分の恋が完全に終わったのだと思い込んでいた。
〇〇:
「……ありがとうございます、木葉さん。やっぱり、そうですよね」
お前がどこか浮かない顔で俯く。
木葉はそれを見て、「木兎のハードルが高くて落ち込んでるんだな」とまた一つ、
大きな勘違いを重ねた。
ーーーーーーーーーーーーーー
〇〇side
本当は、お前が友だちに「木兎さんのタイプを聞いてきて!」と泣きつかれて、
断れずに聞いたこと。
유리
218
18
本当は、〇〇がずっと見ていたのは、木兎を支えながら器用に立ち回る、少し皮肉屋で優しい木葉自身だったこと。
木葉:
「おー、頑張れよ。あいつ、単純だからさ」
そう言って笑って見せた木葉の横顔が 、今にも泣き出しそうなほど綺麗だったから。
〇〇もまた、「あぁ、やっぱり木葉さんは私のことなんて後輩としか見ていないんだ」と、深い溜息を飲み込んだ。
オレンジ色の空の下。
一番近くにいるはずの二人の心は、今、一番遠い場所ですれ違っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これで終わりです。
ありがとうございました。