テラーノベル
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日差しは強く、肌を刺す。
朱里は夏休み中、テニス部の合宿で海辺の宿泊施設に4泊5日で来ていた。
海沿いにあるテニスコートは、潮風が吹けば少しだけ心地良かった。
しかし、日本の夏の日差しは、それすら無意味にしてしまうほど暑い。
大した集中力もなく、惰性でラリーを続けていた。
ガシャッと大きい音がした。
隣のサッカー場からボールが飛んできたようで、ネットが揺れていた。
「すみません!ボール飛んでっちゃって」
サッカー場から、一人の男子生徒がボールを回収しに来た。
思わず目で追ってしまうような人だった。
スラリとした細身の身体。
汗で濡れた前髪をかき上げる仕草がやけに目についた。
彼はお辞儀をして、そそくさとサッカーコートに戻って行った。
次の休憩時間になる頃には、朱里はもうサッカーコートへ向かっていた。
さっきの彼は他の部員のシュート練習に付き合っているようだった。
ちょうどそちらも休憩に入るタイミングだったようで、彼は汗を拭きながらコート外の芝生に腰掛けた。
「お兄さん」
朱里は声をかけた。
「っわ!びっくりした。」
彼は少し目を丸くしたあと、すぐにふっと笑った。
「えっと、あれ?さっきテニスコートにいた子?」
「そう!お兄さん気になって見に来ちゃった」
朱里は隣に腰掛けた。
「あはは、さっきは驚かせちゃってごめんね。ここのコート使うってことは合宿中?」
「うん。今日から5日間。お兄さんも?」
「ううん。地元なんだ。そこの学校。」
数分間、お互いのことについて話した。
話しやすい人だった。
初対面なのに変に気を遣わせることもなく、自然と会話が続く。
よく笑うし、朱里の話も楽しそうに聞いてくれる。
「5日いるなら、4日目の夜に花火大会あるよ。自由時間あるようだったら行ってみたら?」
「えーお兄さん一緒に行ってくれるの?」
「あはは、どうしようかな〜」
朱里も冗談で言っていた。
「また、見かけたら声かけていい?」
「もちろん。大体毎日いると思う」
〚たかみつーーーーー!休憩終わるぞ!!!〛
遠くから呼ぶ声が聞こえる。
「じゃあ、戻るね」
「うん、またね。たかみつ君」
彼は練習に戻って行った。
サッカーコートへ戻っていく背中を、
朱里はしばらく目で追っていた。
…たかみつ君って言うんだ。
素敵な出会いに朱里は心を踊らせた。
コメント
1件
うわ、すごく良い感じの夏の出会い……!朱里の「お兄さん気になって見に来ちゃった」ってストレートさ、めちゃくちゃ可愛いですし、たかみつ君の“あはは”って笑い方も距離感が自然で好印象でした。花火大会の話が出てきたのも、これからどう転がるんだろうってワクワクしますね🌷初対面なのに会話がスルスル続く二人の空気感、すごく好きです。 続きが気になります!