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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

15 - 第15話賢也side<癌細胞のように不安と罪悪感が増殖していく>

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2023年09月07日

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いつも通り、有佳が玄関まで見送ってくれる。

愛おしくて「行ってくるよ」と声をかけてから頬に触れようとしたら有佳が後ずさりをした。


一瞬、体が硬直したことを悟られないように微笑んでから外に出た。

金曜日の夜から有佳はよそよそしくなったように感じる。有佳から誘ってくれたのはうれしかったのに、オレのバカな行動のせいで大切な人との間に溝を作ってしまった。


きちんとケリをつけなければ









ブブブブ・・・ブブブブ・・・ブブブブ・・・


「片桐のスマホ、スゲー通知来てるけど見なくていいの?」


「あああ、悪い。うるさいよな」

彼女からの甘ったるい言葉がならんでいる、総務課はそんなにヒマなのか?

いい加減にしてほしい。


『仕事中にLINEを送ってくるようならブロックする』

と返すと、それきりLINEが入ることは無かった。





有佳との時間はオレにとって大切な時間で、有佳の料理を楽しみながら過ごしていた時にLINEに怒濤の勢いで通知が届く。

誰からかわかっているが有佳に見られたくなくて、一瞥するとスマホを裏返した。


「そんなにたくさん通知が来るって、急ぎかも知れないよ?」


「そ・・そうかもね」

これ以上通知が入れば有佳も変に思うかも知れない。あわててリビングに行きトークを確認する。


「離婚はどう?」

「賢也くん好きだよ」

「早く会いたい」

「金曜日以外もいいよ」

「未読無視ってなに」

「返事ちょうだい」

「賢也く~ん」

「仕事中ダメっていうから」

「お~い」

「電話しちゃうぞ」


くだらない言葉が並んでいる、こんなLINEは独身時代だって有佳はしない。


「はぁ」ため息をついて『こんな風にメッセージを送ってくるならもうLINEはやめよう』と入力して送信する。


するとすぐに返信があり

『ごめんね、ちょっと寂しくなったからかまって欲しかったの』

『おやすみ』

そのあとに唇のスタンプが送られてきた。


返事はしなかった。



そして、夜はまた有佳に拒まれた。



有佳の体調が悪そうだ、もしかすると夜を拒むのは体調のせいだったのかも知れない


家を出る前に病院へ行くように伝えた。


駅へ向う道すがらスマホをみると彼女からメッセージが入っていた。


『今週の金曜日はNホテルにしよう』


これで終わりにしよう。きちんと話をするにはむしろホテルの方がいいのかもしれない。


『わかった、ただ、今後こういうメッセージはあとに残るからよくないよ』


『ごめんなさい』というメッセージと共にウサギが下を向いて“しょぼん”と書かれたスタンプが一緒に送られて来た。





有佳は病院へ行ったのだろうか、心配で急いで帰宅すると煮込みハンバーグと具だくさんのスープが食卓に並んでいた。


「ごめんね、9時以降は食事ができないのと一応消化のいいものにしたくて」


体調が悪いと言ってもこんな風にきっちりと夕食を用意してくれる

「構わないよ、それに有佳の料理はなんでも旨いし煮込みハンバーグは好きだしね」


「ありがとう」


有佳とのこの生活を守らないといけない。



とりあえず彼女からは異常なLINEは送られてくることは無くなったが、営業部を時折のぞきに来る為、直接声を掛けては来ないがヒヤヒヤさせられる。

彼女は何がしたいんだろうか、彼女の恋人は誰なんだろう?


そんなことより、有佳の結果はどうなってるだろうか?内視鏡だからある程度はその場で結果が分る。

悪性腫瘍とかではないといいが・・・



急いで帰宅をすると今夜は温野菜のサラダとビーフシチューが用意されていた。

よく煮込まれてほろほろになった牛肉を咀嚼して飲み込んでから気になっている結果を聞いてみた。


「どうだった?」



「胃が荒れてるって。でも、まだポリープにまではなっていないから、しばらくクスリを飲むことになった」


「早めに気づけてよかった」


有佳になにもなくて良かった。



「賢也って今週の金曜日も残業?」


「あああ、ごめんな」

本当にごめん、いまここですべてを話して謝れたら・・・でもそんなことをしたらタダでさえ胃を痛めている有佳にさらに心配させてしまう。


違う・・・・有佳を傷つけてしまう・・・


「ううううん、平気。気にしないで、私のために頑張って働いてくれているんだもの」


苦しい・・・こんな風に気遣ってくれているのに、残業じゃなくて・・・浮気だなんて・・

「有佳の為にがんばるよ、でも本当に早く気がついてよかったな」

こんな風に嘘がスラスラいえる自分に嫌気がする。





明日の夜は彼女と会わないといけない、今度こそきちんと話し合おう。


もうしばらく有佳を抱いてない。

有佳がほしい・・・オレの愛撫に恥ずかしそうに身をよじりながら感じる姿が見たい。


やましい気持ちがあるからかもしれないが、最近ベッドの中でも距離を感じるようになった。

今も有佳はオレに背を向けたまま眠りについている。

その背中を後ろから抱きしめると


「ごめん、ちょっと調子が悪い」


分かっている、まだ体調は本調子ではないんだろう。でもせめて有佳の体温を感じていたい。


「うん、抱きしめるだけ」


有佳の綺麗なうなじにキスをすると少しイヤイヤをするような仕草をしたあと


「ごめん、ほんとに・・・」


無理をさせるつもりは無い。

「おやすみ」と言ってから髪にキスをしてから眠りについた。


公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

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