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旅の途中、開けた草原で二人は足を止めた。
「ねぇ、リムル。さっきの『食べた』魔法……あれ、どうなってるの?」
フリーレンが杖を構え、どこか楽しそうに目を細める。
「ん? 知りたいか? だったら、少しだけ手合わせしてみるか?」
リムルも不敵に笑い、スライムの粘体から生み出した刀を抜く。
「フェルン、シュタルク。下がってて。……死なない程度にやるから」
「フリーレン様、ほどほどにしてくださいよ……」
フェルンが呆れながらも、規格外の二人が放つプレッシャーに冷や汗を流して距離を取る
「じゃあ、まずは挨拶から。――『一般攻撃魔法(ゾルトラーク)』」
フリーレンの杖から、極太の魔力光が放たれる。
それはかつての魔王さえ屠った「人を殺す魔法」。
「……解析完了。多重結界、展開」
リムルは動かない。光線がリムルの目の前で、何重にも重なった幾何学的な魔法陣に衝突し、花火のように霧散した。
「……私のゾルトラークを無傷で? しかも今の結界、一瞬で構築を変えたね」
「ああ。あんたの魔法、無駄がなさすぎて逆に読みやすいんだよ」
「次は私から行くよ。――『地獄の業火を出す魔法』」
フリーレンが古の魔法を唱え、広範囲を焼き尽くす炎がリムルを襲う。
「火ならこっちも得意だぞ。――『黒炎(コクエン)』」
リムルが放ったのは、全てを焼き切る漆黒の炎。
二つの炎がぶつかり合い、草原の空気が一瞬で沸騰する。
「……ふふ、あはは! 凄いねリムル! 私の知らない術式ばかりだ!」
フリーレンが、少女のように声を上げて笑う。彼女がこれほど楽しそうに戦うのを、フェルンたちは見たことがなかった。
「じゃあ、これならどうだ? ――『神之怒(メギド)』」
リムルの周囲に無数の水のレンズが浮遊する。
「…………っ!」
フリーレンの『六感』が最大級の警鐘を鳴らす。
「……負け。今の、私の防御魔法じゃ防ぎきれない」
フリーレンはあっさりと杖を下ろし、両手を上げた。
「え、もういいのか?」
「うん。今のレンズ、太陽光と魔力を収束させてるんでしょ? 物理法則を魔法に組み込むなんて、発想になかったよ。……負けちゃった」
フリーレンは悔しがるどころか、リムルの元へトコトコと歩み寄り、目を輝かせた。
「ねぇリムル! 今の術式、詳しく教えて! 代わりに『おいしいお酒を出す魔法』と『カキの殻を剥く魔法』をあげるから!」
「……結局そっちかよ!」
最強同士の戦いは、結局最後は「魔法の交換会」という名の平和なティータイムに変わるのだった。