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ようやく買い物を終えた俊は
機嫌良くスキップまでしていた。
その反面折西はたくさんの荷物を持たされ、
疲弊していた。
「なんで体力のない僕に持たせるんですか…」
折西がゆっくりと袋を地面に置く。
流石に悪いと思ったのだろうか。
俊は酒瓶と重い方の袋を持ってくれた。
「ごめんごめん!そうだ、普通の人と
僕の体力とはだいぶ違うんだった!」
俊は折西が重そうに持っていた荷物を
軽々と持ち上げてしまう。
「僕は普通の人というより…運動不足では
あるんですけど…オアッ!!!」
折西がふと自分が持っている袋の中を覗くと
そこには白蛇が購入物の中に紛れ込んでいた。
白蛇の青と黄の瞳はキラキラとしている。
「どうしたの?」
と俊が不思議そうに袋の中を覗く。
「な、なんか蛇がいるんです!!!!!
どど、どうしましょう!?!?!?」
折西が慌てふためいていると白蛇は
「私は神ぞ、失敬な奴め!」
と急に怒り始めた。
「ああ、イズ様かぁ〜!驚かせちゃダメだよ!」
俊は袋から白蛇、『イズ』を取り出し、
イズは俊の腕に巻きついた。
「この蛇ちゃんはイズ様って言うんだ!
僕の可愛いファージだよ!」
「イズ…様?」
折西はファージに様を付けることに
違和感を感じた。
「そっか、みんなファージは呼び捨て
だもんね…イズ様は神様なんだよ〜!」
「神様…?」
「故郷の守り神!」
「へぇ〜…ファージの子たちって神様してたり
本だったり鯨だったり色々いるんですね…!」
折西はイズ様を取り出した時に
袋から落としたものを拾う。
そこには少しお高めの焼きプリンが
転がっていた。
「あら、お仕事頑張った自分への
ご褒美ですか?」
折西が聞くと俊は首を横に振った。
「ううん、違うよ!垓の!」
「垓…?」
「みんな組長の事を本名の垓って呼ぶと
時が止まる顔するよねー…」
俊の顔は引きつっていた。
「お、覚えてないわけじゃないんですけど
組長呼びに慣れちゃって…
それにしても組長甘いもの好きなんですね…!」
「甘いもの好きとかじゃなくて、ほら!
組長って堅物がやる仕事してんじゃん?」
「堅物がやる仕事…!?」
たしかに重々しい書類に目を通したり
本をずっと読んでいたりしていた気はするが。
そうとはいえ「堅物のする仕事」だと
言い切ってしまう俊に折西は目を丸くしていた。
「たまには糖分取って息抜きしてもらわないと
イライラされたら困るし!テキトーな
プリンで糖分補給してもらってんの!」
ほら、早く帰るよ!と俊は折西に
背中を向ける。
…適当に買った割にはちゃんとした
プリンだなと袋の中身を見て折西は
クスッと笑った。
俊の耳が少し赤くなっていたのは
赤い空のせいだろうか…