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千波
48
お豆腐メンタル
10
放課後、部室に入る。
部屋の隅に、大きなぬいぐるみが鎮座していた。
昨日、澪とゲームセンターで取ったやつだ。
どうやら持って帰らず、ここに置くことにしたらしい。
改めて見るとでかい。
「部員が一人増えたな」
俺は鞄をいつもの場所に置いた。
「誰が増えたの?」
先に来ていた明里が、不思議そうに俺を見る。
「あれ」
部屋の隅を指差す。
明里はぬいぐるみを見ると、納得したように「ああ」と声を上げた。
「可愛い。どうしたの?」
「昨日ゲーセンで澪先輩と一緒に取ったんだ。そのまま持って帰ったと思ってたんだけどな」
「ここに置いてくことにしたんじゃない?」
「邪魔じゃないか?」
「いいじゃん。可愛いし」
明里はぬいぐるみに近づくと、その頭をぽんぽんと叩いた。
「今日から映画部員だね」
「映画撮れないだろ、そいつ」
「出演はできるよ」
「なるほど」
確かに。
カメラの前に立てるなら、映画部員を名乗る資格くらいはあるのかもしれない。
「でか! なにあれ!」
振り返ると、ゆりかが立っていた。その後ろから、るなも部室に入ってくる。
「お疲れさまです」
「お疲れ」
「何の話してたの?」
ゆりかが聞いてくる。
「新入部員について」
「新入部員?」
俺がぬいぐるみを指差す。
ゆりかは一瞬黙った。
「……スタッフロールに加える?」
呆れた口調で皮肉っぽく言った。
るなが笑いながら、ぬいぐるみの隣にしゃがみ込む。
「でも、これ結構大きいですね。取るの大変だったんじゃないですか?」
「澪先輩が取ったんだよ」
「へえ。雨宮先輩、こういうの得意なんですね」
「いや、かなり苦戦してた」
俺も人のことは言えないが。
結局、二人でいくら使ったかは考えないことにしている。
そんな話をしていると、今度は理恵が部室に入ってきた。
「こんにちは」
「こんにちは、先輩」
これで五人。
澪はまだ来ていない。
生徒会の仕事でもあるのだろう。映画部に入ってからも、遅れてくることは珍しくなかった。
全員がいつもの場所に座る。
俺は何となく窓の外を眺めた。
四月も、もう終わりに近い。
新学期が始まったと思ったら、いつの間にかゴールデンウィークが目前まで迫っていた。
いつもより時が経つのが早く感じる。
充実している、ということなのだろうか。
自分の時間が無くなると危惧していたが、なんだかんだ楽しい。
昨日はあの澪先輩とデートできた。
これも映画部に入ったからできたことだ。うふふ。
「あの……」
理恵が小さく手を上げた。
「ちょっと、いいですか?」
全員の視線が理恵に集まる。
「どうしたんですか?」
明里が尋ねると、理恵は少し迷ってから口を開いた。
「もうすぐ、ゴールデンウィークですよね?」
「そうですね」
「みんな、何か予定ってあります?」
俺は頭の中の予定を確認する。
特にない。
「俺は何もないです」
「私も!」
明里がすぐに手を上げる。
「僕も特には」
るなも続く。
ゆりかも首を横に振った。
「私もないけど。それがどうかしたんですか?」
「だったら……」
理恵が少しだけ嬉しそうに笑った。
「今年も、映画部で合宿できないかなって」
「合宿?」
俺たちの声が重なる。
「うん。映画部では昔から、ゴールデンウィークに合宿するのが恒例だったの」
「去年も先輩たちと行ったんだけど……みんな卒業しちゃったから、今年は無理だと思ってたの」
理恵が部室を見回す。
「でも、今年はみんなが入ってくれたから」
去年までいた先輩たちは卒業した。
新学期が始まったとき、映画部に残っていたのは理恵一人だけだった。
それが今では六人。
「だから、できれば今年もやりたいなって思って」
一瞬の沈黙。
それを破ったのは、やっぱり明里だった。
「やろう!」
勢いよく身を乗り出す。
「合宿! 絶対やろうよ!」
「賛成!」
ゆりかもすぐに乗ってくる。
「僕も行きたいです」
るなも楽しそうだ。
三人の勢いに押されるように、理恵の表情が明るくなった。
俺としても反対する理由はない。
「やはり合宿か……いつ出発する? わたしも同行する」
「じゃあ決まりだね!」
明里が嬉しそうに両手を叩いた。
……誰も触れてくれなかった。
どうやら今年も、映画部恒例の合宿は開催されるらしい。
「それで」
俺は一つ、当然の疑問を口にした。
「映画部の合宿って、どんなことするんですか?」
「去年はみんなで映画を観たり、脚本を決めたり、撮影や編集のスケジュールを組んだり……あとは普通に遊んだりですかね」
「へえ」
思っていたより普通の合宿らしい。
「去年はどこに行ったんですか?」
俺が尋ねると、理恵は少し考えてから答えた。
「去年は海の近くにある宿に泊まりました。先輩の知り合いがやってるところで、安く泊めてもらえたんです」
「海!」
ゆりかが食いついた。
「じゃあ今年も海にしようよ!」
「ゴールデンウィークに?」
「別に泳がなくてもいいでしょ。海見るだけでも楽しいじゃん」
「僕は海でもいいですよ」
るなも賛成する。
「砂浜歩いたりするだけでも楽しそうですし」
「でしょ?」
ゆりかが得意げに胸を張る。
「明里は?」
「私は……」
明里が一瞬、言葉に詰まった。
俺にはその理由がなんとなく分かった。
「よし。それなら、とっておきのサメ映画を持っていくか」
「なんで海に行ってサメ映画観るの?」
ゆりかが呆れたように俺を見る。
「雰囲気が出るだろ」
「出なくていいよ」
「私は山がいいな!」
明里がすかさず別の候補を出した。
「キャンプとか楽しそうじゃない?」
「キャンプかあ」
「みんなでテント張って、ご飯作って、夜は星を見るの!」
なるほど。
いかにも合宿らしい。
「でも虫いるぞ」
「…………」
明里が固まった。
「虫?」
「山だからな」
「いっぱい?」
「そりゃいるだろ」
「……ちょっと考える」
「諦めるの早いな」
「虫は聞いてない」
何を想像していたのだろう。
「でも、キャンプもいいですね」
るなが言う。
「僕、テント張れますよ」
「さすが鳥谷」
「どういう意味ですか?」
「なんとなくできそう」
「褒められてる気がしないんですけど」
海に山。
どちらも悪くない。
「温泉とかは?」
俺も候補を出してみる。
「温泉?」
ゆりかがこっちを見る。
「ゴールデンウィークに温泉旅館。最高じゃないか」
「なんかおじさんみたい」
「温泉に年齢制限はない」
「そういう問題?」
「温泉入って、飯食って、布団で寝る。完璧だろ」
「映画部の合宿なんだけど」
「映画も観ればいい」
「温泉じゃなくてもできるじゃん」
正論だった。
「でも温泉もいいよね」
明里が乗ってくる。
「みんなで浴衣着て、卓球しよう!」
「それはやりたい!」
さっきまで海を推していたゆりかが、あっさり寝返った。
「僕も卓球なら負けませんよ」
るなまで参戦する。
「鳥谷が言うと本当に勝てる気がしないな」
「なんですか、それ」
もはや合宿の話なのか旅行の話なのか分からなくなってきた。
「他には……別荘とか?」
るなが言った。
「別荘?」
「誰かの親戚とか知り合いが持ってません?」
俺たちは顔を見合わせた。
誰も手を上げない。
「高校生の知り合いに、そう都合よく別荘持ってる人なんていないだろ」
「ですよね」
「先輩は?」
ゆりかが理恵を見る。
「私もいないかな……」
「残念」
海。
山。
温泉。
別荘。
候補だけならいくらでも出てくる。
行き先を考えているだけなのに、なんだかもう旅行へ行くことが決まったような気分になってきた。
「やっぱり私はキャンプかな。虫は嫌だけど」
明里が言う。
「私は海」
「僕はどっちでも楽しそうです」
「俺は温泉」
「佐藤先輩だけ休養する気じゃないですか?」
「高校生にも休養は必要だ」
そんな調子で好き勝手に話していると、ふと明里が目に入った。
海。
山。
温泉。
どこにしたって、この辺りからはそれなりに離れることになる。
そこでようやく、俺は根本的な問題を思い出した。
「あ」
「どうしたの?」
明里が俺を見る。
「明里、お前そもそも遠出できないじゃん」
「…………あ」
明里の動きが止まった。
どうやら本人も忘れていたらしい。
「遠出できないって、どういうこと?」
ゆりかが尋ねる。
「明里の叔母さん、泊まりで遠くに行くのに厳しいんだよ」
「そうなの?」
「うん。昔からね」
明里は困ったように笑った。
「中学の修学旅行も行けなかったし」
「修学旅行も?」
るなが驚いたように聞き返す。
「叔母さん、すっごい心配性なんだよね。私が泊まりで遠くに行くの、なかなか許してくれなくて」
本人は慣れているのか、あっけらかんとしている。
俺も昔から知っていることなので、今さら疑問には思わない。
「じゃあ、海もキャンプも難しいってこと?」
「たぶんね」
明里は頬をかいた。
「まあ、私はいいよ。みんなで行ってきなよ」
「いや、五人で行ってどうするんだよ」
「え?」
「映画部の合宿だろ。お前も映画部員じゃん」
明里が目を瞬く。
「そうそう。六人で行くからいいんでしょ」
ゆりかも当然のように言った。
「近い場所を探せばいいんじゃないですか?」
るなが続く。
理恵も頷いた。
「私も、せっかくならみんなで行きたいです」
「みんな……」
明里が俺たちを見る。
それから、少しだけ嬉しそうに笑った。
「ありがと」
「じゃあ遠出はなしだな」
海も山も温泉も、一旦白紙。
今度は明里も参加できる場所を探せばいい。
「近場で泊まれるところか……」
そんな都合のいい場所があるのだろうか。
俺たちはもう一度、合宿先を考え始めた。
「近場って言っても、どこかある?」
ゆりかが首を傾げる。
「ホテル」
「合宿で?」
「泊まれるぞ」
「お金かかるじゃん」
「ですよね」
るなが頷く。
ゴールデンウィークのホテルなんて、高校生が気軽に泊まれる値段ではないだろう。
「誰かの家は?」
明里が言った。
「六人で?」
「無理かな?」
「俺の家は無理だぞ」
「まだ悠真の家とは言ってないけど」
「先手を打った」
六人で泊まれる家となると、これも難しい。
明里の家は叔母さんと二人暮らしだし、そもそも泊まりの許可が厳しい。
理恵やゆりか、るなの家に押しかけるわけにもいかない。
「うーん……」
全員で頭を悩ませる。
遠くには行けない。
六人で泊まれる。
できればお金もかからない。
そんな都合のいい場所が近所に――
「あ」
ゆりかが声を上げた。
「ここでいいんじゃない?」
「ここ?」
俺は周囲を見回す。
机。
椅子。
棚。
カメラ。
ドレッサー。
六人分のティーカップ。
大きなぬいぐるみ。
いつもの映画部の部室だ。
「ここって……部室?」
「部室っていうか、学校」
「学校?」
「そう。学校なら遠くないし、お金もかからないでしょ」
「いや、泊まれないだろ」
「なんで?」
「学校だからだよ」
「合宿なんだから、学校に泊まる部活くらいあるんじゃない?」
「言われてみれば……」
運動部なら、学校で合宿することもあるのかもしれない。
「ここなら明里先輩も大丈夫そうですね」
るなが言う。
「家から遠くないですし」
「学校なら叔母さんも許してくれるかも」
明里も少し期待したような顔になる。
「それに、映画もここで観られます」
理恵が部室にある機材を見る。
「脚本とか、これからの予定を決めるのも、いつもの部室ならやりやすいですし」
「意外とありなのか?」
俺も考えてみる。
わざわざ遠くまで行って、映画を観たり話し合ったりする必要はない。
学校なら必要な機材もある。
何より金がかからない。
高校生にとって、これは大きい。
「……待って」
明里が何かに気づいたように顔を上げた。
「学校に泊まるってことはさ」
「うん?」
「夜も学校にいられるってことだよね?」
「そりゃ泊まるなら」
明里の顔が徐々に明るくなっていく。
嫌な予感がする。
「だったら……怪異、調べられるじゃん!」
「ああ」
やっぱりそれか。
「ほら! 前に調べたとき、夜じゃないと分からなそうなのいっぱいあったでしょ!」
第五話で調べた、この学校に伝わる怪異。
夜になると向きが変わるという二宮金次郎像。
夜にだけ一段増えるという十三段目の階段。
夜の体育館に現れる首のない少年。
こちらを見てくるベートーベンの肖像。
花子さんは一度調べたが、結局撮れたのは声だけだった。
「確かに、夜の学校にいられるなら調べられますね」
るなも興味を示す。
「カメラも持ってきましょうよ」
「いいね!」
ゆりかも乗ってくる。
「合宿しながら怪異調査! 映画部っぽいじゃん!」
「映画部って怪異調査する部活だったっけ?」
「今さら?」
言われてみれば、今さらだった。
「細川先輩、どうです?」
「私は……いいと思います」
理恵も小さく頷いた。
「夜の学校って、ちょっと怖いけど……みんなと一緒なら」
「決まり!」
明里が嬉しそうに言う。
海も山も温泉も消えた結果、最終的な合宿先がいつもの学校になった。
旅行感は完全に消滅したが、これはこれで面白そうではある。
「じゃあ学校で――」
そこまで言ったところで、一つ大事なことに気づいた。
「……いや、待て」
「今度は何?」
「俺たち、勝手に学校に泊まっていいのか?」
「…………」
沈黙。
当たり前だ。
ここは俺たちの家ではない。
夜中まで校舎に残って、好き勝手に泊まっていいわけがない。
「許可……必要ですよね」
るなが呟く。
「誰に頼めばいいんだろ」
ゆりかが言う。
「先生?」
「顧問の先生から学校に話してもらうとか……」
理恵も考え込む。
せっかく決まりかけた合宿先が、早くも暗礁に乗り上げた。
そのとき。
ガラッ。
部室の扉が開いた。
「お疲れー。遅くなった」
澪が鞄を持って入ってくる。
俺たちは一斉にそちらを見た。
「……何?」
澪が足を止める。
五人分の視線を浴びて、怪訝そうに眉をひそめた。
「どうしたの?」
そして、なぜか俺を見る。
「……まさか、昨日のことで何かまずいことが?」
「違います」
俺は即答した。
「学校で合宿したいんです」
「……え?」
「生徒会の権限でなんとかしてください」
「生徒会を何だと思ってるの?」
即座に返された。
「学校を裏から支配する秘密結社」
「違う」
「じゃあ表から?」
「そういう意味じゃない」
澪は呆れたようにため息をつくと、鞄を机の上に置いた。
「というか、なんで学校で合宿する話になってるの?」
「話せば長くなります」
「じゃあ簡潔にお願い」
「映画部はゴールデンウィークに合宿するのが恒例なんだって」
俺が理恵を見る。
理恵が頷いた。
「それで、今年もみんなで合宿できたらと思って……」
「なるほど」
「最初は海とかキャンプとか温泉とか考えてたんだけどね」
明里が続ける。
「でも私、遠くには行けないから」
澪の視線が明里へ向く。
「……ああ」
それだけ言って、すぐにいつもの表情に戻った。
「それで近場を探してたら、学校でいいんじゃないかって話になったの」
「なるほどね」
澪は少し考える。
「学校なら明里も参加できるし、部室も使える。映画も観られるし、脚本とか今後の予定も決められる」
「そして夜の学校の怪異も調べられる!」
明里が付け加えた。
「最後のが本命じゃないでしょうね?」
「そんなことないよ」
「目を見て言って」
明里が目を逸らした。
分かりやすい。
「それで、澪先輩」
「何?」
「権力を」
「ない」
「まだ何も言ってません」
「言おうとしてたでしょ」
鋭い。
「でも、雨宮先輩なら学校側に相談できませんか?」
るなが尋ねる。
「副生徒会長なんですよね?」
「相談はできるけど、生徒会だけで決められることじゃないよ」
澪は椅子に座る。
「夜の学校に生徒だけで泊まるなんて、普通に考えたら許可されないから。顧問の先生にも話を通さないといけないし、活動計画も必要になると思う」
「活動計画?」
「何時から何時まで何をするのか、どこを使うのか、誰が参加するのか。そういうの」
「めんどくさ……」
ゆりかが呟く。
「聞こえてるよ」
「何も言ってません」
「言った」
「でも、ちゃんと申請すれば可能性はあるってことですよね?」
理恵が尋ねる。
「まあ……絶対無理とは言わないけど」
澪は腕を組んだ。
少しの間、何かを考えている。
「……分かった」
「おお」
「私からも生徒会と先生に相談してみる」
「さすが副会長!」
明里が拍手する。
「まだ許可取れてないからね」
「澪先輩万歳」
「佐藤君は黙ってて」
「はい」
「ただし」
澪が人差し指を立てた。
「許可が下りても、好き勝手にできるわけじゃないからね。使える場所とか時間とか、いろいろ条件は付くと思う」
「分かりました」
「あと、夜に怪異を探すなら、それもちゃんと活動内容に書くこと」
「書いていいんですか?」
「隠して後からバレるよりマシでしょ」
それもそうだ。
「じゃあ、計画書作ろう!」
明里が張り切って立ち上がる。
「今から?」
「早い方がいいでしょ!」
「誰が書くの?」
ゆりかが尋ねた。
全員の視線が自然と一人に集まる。
「……え?」
理恵が自分を指差した。
「私?」
「部長ですから」
「佐藤君、こういうときだけ部長を頼るのやめようね」
澪に注意された。
*
数日後。
放課後の部室。
扉が勢いよく開いた。
「許可、下りたよ」
入ってきた澪が、数枚の書類を掲げる。
「おお!」
明里が真っ先に立ち上がった。
「本当に?」
「条件付きだけどね」
澪が書類をテーブルに置く。
俺たちも集まって覗き込んだ。
「まず、先生が一人付き添うこと。夜に使っていいのは許可された場所だけ。勝手に校外へ出ないこと。それから消灯時間も守ること」
「消灯時間あるの?」
ゆりかが不満そうな顔をする。
「学校だからね」
「徹夜で映画観ようと思ってたのに」
「駄目」
「えー」
「あと、怪異の調査も許可された範囲だけ。鍵がかかってる場所に勝手に入ったりしないこと」
「はい!」
明里が元気よく返事をする。
「明里が一番心配なんだけど」
「なんで?」
「自覚ないの?」
澪がため息をついた。
「まあ、条件を守るなら大丈夫だって」
「ということは……」
るなが期待したように言う。
澪が頷いた。
「ゴールデンウィーク、学校で合宿できるよ」
「やった!」
明里とゆりかが同時に声を上げた。
るなも嬉しそうに笑い、理恵はほっとしたように胸を撫で下ろしている。
「去年とは全然違う合宿になりそうですね」
俺が言うと、理恵が笑った。
「うん。でも、楽しそう」
学校に泊まり、映画を観て、これから作る映画について話し合う。
ついでに、夜の学校に現れる怪異を調べる。
映画部らしいかどうかは、いまだによく分からない。
でもまあ――
楽しそうだからいいか。
「今度こそ、ちゃんと怪異を撮ろうね!」
明里が楽しそうに言う。
「撮れない方が平和だと思うけどな」
花子さんのときみたいに、声だけで終わってくれればいい。
そんな俺の願いをよそに、みんなはもう合宿の話で盛り上がっていた。
こうして、映画部六人で過ごす初めての合宿が決まった。
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お疲れ~! 第10話読んだよ!まさかの学校合宿、しかも怪異調査つきっていう展開、めっちゃ映画部らしくて笑ったわw ぬいぐるみが新入部員扱いされてるところから、合宿先決めでワイワイする流れ、どのキャラも個性が出てて自然で好き。特に明里を置いていかないって即決したところはグッときたね。部活の絆って感じがして、読みながらなんかこっちまであったかくなった。 しかも澪先輩が副会長権限で許可取ってきてくれるとか、ああいう「動く人」って信頼されるよな…ガチでかっこいいわ。 合宿編、楽しみにしてる🔥 これからも読ませてもらうわ!