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朝。
俺はモニターに映る二人を横目に、スマホを手に取った。
新しいメールアドレスを作成し、匿名で送れるメッセージアプリを開く。
打ち込むのはまろに関する根拠のない噂。
(今の彼氏、前に恋人に暴力ふるってたらしいよ。気をつけたほうがいい)
そんな、読むだけで胸がざわつく短い文章。
証拠も写真もないが、あえて曖昧なままのほうが疑いは長く残る。
送信ボタンを押す指先に、薄い笑みが浮かんだ。
「これで…」
翌日。
俺は大学から帰宅し、ポストに入っていた不在通知を確認していると、スマホが震えた。
画面には、見知らぬアカウントからのメッセージ通知。
“気をつけて。今の彼氏、前の恋人を傷つけたことがあるみたい”
心臓が一瞬きゅっと縮む。
そんな話、一度も聞いたことがない。
でも、もしかしたら、という考えが頭をかすめた。
ちょうどそのとき、玄関の鍵が回る音がした。
「ただいま」
いつものように微笑むまろが立っていた。
俺は少し迷ったあと、スマホを胸の後ろに隠すように持ったまま 「おかえり」と笑顔を作った。
けれど、まろはすぐに気づく。
「…何持ってるんや?」
『え?いや、なんでも』
軽く手を伸ばされ、スマホを取られる。
画面を見たまろの眉がわずかに寄る。
「…こういうの、信じた?」
『ちょっと、びっくりしただけ…』
「…そっか」
まろは小さくため息をつき、スマホをテーブルに置くと、俺の手をそっと握った。
「俺、ないこ隠し事しないって約束したよな」
『…うん』
「だからな、もし誰かが俺のことを悪く言ってきても…まず俺に聞いてほしい」
優しい声が、胸の奥に静かに沁みていく。
『…わかった』
「よし」
そのまま額に唇を落とされ、ないくんは安心したように息を吐いた。
一方その頃。
画面の前で俺は、噛みしめた歯から小さな音を漏らしていた。
「なんで。あんなメッセージ見せられても揺らがないなんて」
画面の中で二人は寄り添い、互いを見つめて微笑んでいる。
「….もういいや、こうなったら無理やりないくんを俺のものにしてやる」
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