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それから数日経ったある日のこと。今日も今日とて世界経済新聞の記事をスクラップしながらにこにこしていると、俺の部屋のドアにコンコンとノックの音が響いた。やばい、こんなあからさまに「海賊大好きです」みたいなスクラップブック見られたらまずい! と思いながら適当な場所に詰め込むようにしてしまう。
「ど、どうぞ~…」
俺が声をかけてから入ってきたのはコビーくんだった。
「な、なんだ…コビーくんか……」
「? どうかしましたか?」
「い、いや…なんでも……。それよりどうしたの?」
「ガープ中将から、ジェイデンさんがかなりの使い手で強いと聞いて……一度お手合わせ願いたいと思って」
なるほど……そういうことか。ガープさん、余計なこと言わないでほしいんだけど……。
「んー……俺は別に構わないけど……コビーくん?」
「ジェイでさん、その、机の引き出しからはみ出てるの……」
「……んなっ!?」
机の引き出しからはみ出ているのは先ほどまで俺が見ていた世界経済新聞である。な、なんてベタなことを……!! コビーくんとはいえマズいだろ~……。
「それ、ルフィさんの! あっ、じゃなくてっ!」
「……ふはっ、そう。ルフィの記事。実はファン? なんだよね。ここ、海軍基地、それも本部だからさ、こそこそやってんの」
「そう……なんですね」
「他にも赤髪とか、ハートの海賊団とか、色々あるよ」
「へぇ~……」
興味津々とばかりに目を輝かせるコビーくん。
「でも秘密にしておいてくれな。誰かにバレたら大目玉食らっちまう」
「はいっ」
「手合わせ、部屋片付けてからでもいいかな」
「いいですよ。手伝いますか?」
「いや、いいよ。大丈夫。先に訓練場の方に行ってて」
「わかりました」
コビーくんが部屋に出ていくと同時に、俺は急いで部屋の中を片付け始めた。スクラップブックはちゃんとした場所に隠しておかないと。
場所は変わって訓練場。準備体操をしていたコビーくんに、俺は声をかけた。
そしてお互い向き合うようにして立つ。審判はいないから、どちらかが戦闘不能、それか参ったと言ったら終わりだ。
俺はとりあえず、体術だけでも見ておこうと思い軽く拳を握って構えた。
だが、コビーくんはすぐに俺に向かって突っ込んでくる。うわぁ、早いなぁ。俺はそれをひらりとかわすと、彼の背中に足を振り下ろした。
しかしそれは寸でのところで避けられてしまう。そのまま彼は俺の後ろに回り込んだ。俺は振り向くことなくそのまま後ろに蹴りを入れる。今度は当たったようで、鈍い音と共に彼の体が吹っ飛んだ。
「…コビーくん!!」
地面に倒れたまま起き上がらない彼に、思わず駆け寄る。
「けほっ…」
するとすぐに目を開けた。よかった……。俺はほっとして息をつく。
「ごめんね、いまいち加減が分からなくて」
「いえ、大丈夫です……」
謝りあう俺たち。
それから俺は、コビーくんに手を差し伸べた。立ち上がって服についた土を払うと、コビーくんは俺の手を取って立ち上がる。
「ジェイデンさん、予想よりずっとずっと強くてびっくりしました」
「そっか、ありがとう」
「また、手合わせお願いできますか?」
「もちろん」
「やった……! じゃあ僕、これで失礼します」
嬉しそうな顔を浮かべるコビーくんに手を振って見送る。
さっきのコビーくんは俺の実力が分からず、探りを入れる前に、手加減できなかった俺に攻撃されて倒れてしまったんだろう。仮にコビーくんが最初から俺の実力を知っていたらまた別の結果になっていたかもしれない。
コビーくんはどんどん強くなる。のんびりなんかしてたらあっという間に越されるんだろうな。
「ちゃんとトレーニングしないとなぁ」
そう呟いて、俺も訓練場を出た。