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🔥 潜入任務編
▼ 今回の任務
ギャング同士の取引場所に潜入し、
組織の中枢データを持ち帰ること。
夜の廃工場。
2人は黒いフードで顔を隠し、薄明かりの通路を進む。
「ふわっち、右側の見張り、5秒で視線外れるよ」
葛葉が囁くと、不破の口元が緩む。
「さすが。じゃ、ずはの言う通りに」
不破はひらりと影に紛れ、
葛葉の指示ぴったりで見張りを無力化。
2人の息は完璧に合っている。
「ふわっち、次はコード解析お願い」
「了解。ずは、背中任せて」
その言葉に、葛葉は安心したように小さく頷いた。
奥の部屋に入った瞬間、
警報音と同時に敵が飛び込んできた。
「やべっ……!」
葛葉が端末を守るように身をかがめたその時——
ひとりの敵が葛葉めがけてナイフを振り下ろす。
「――っ!」
腕に浅い切り傷。
血が滲む。
その瞬間。
不破湊の空気が変わった。
笑っていた目が、
音もなく冷たく沈む。
「!……くずは、下がって」
声が、低い。
抑えているのが分かるほど冷たい。
敵がさらに追撃しようとした
次の瞬間、
不破の足がその男の腹にめり込み、
壁に叩きつけた。
「……俺の相棒に手ぇ出したんだ。わかってんだろうな?」
笑っている。
だけど、目だけがまったく笑ってない。
他の敵が怯んだ隙に、
不破は無駄のない動きで全員を制圧した。
“葛葉を傷つけた”
その事実だけが、不破を狂わせた。
敵を全滅させた後
「……くずは!!」
不破はすぐに葛葉のもとへ膝をつく。
「どこやられた?血、見せて」
不破の指先は震え、不安が滲み出ていた。
葛葉は少し痛そうに笑う。
「だ、大丈夫だよ。かすり傷…」
「かすり傷じゃねぇよ。血出てんじゃん」
いつもの軽い口調じゃない。
低くて、怒りと心配が混ざった声。
不破は自分のジャケットを破り、葛葉の腕に巻きつける。
「ふわっち…ごめん……」
「謝んな。守るのは俺の仕事だから」
不破は葛葉の顔を両手で挟んだ。
「ほんと、心臓止まるかと思った!」
葛葉は少し照れながら、不破の胸にしがみつく。
「ありがとう……ふわっちが来てくれてよかった」
その言葉で、不破の怒りがふっと溶けた。
「当たり前だって。くずはは俺が守る」
抱きしめる腕は、少し、震えていたが、
安心感のあるあたたかい手だった。