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____プルルル、プルルル
羅刹学園職員室に響き渡る機械音。
その音の出処は羅刹学園教師──無陀野無人の携帯電話だった。そこには「兄さん」の3文字
無人「…もしもし」
有人「もしもし無人〜?オレオレ!」
無人「要件だけを早く言え。10秒以内」
有人「厳しいなぁ〜無人は。あ、そういえば前送った林檎食った?あれ結構ウマいだろ!」
無人「……要件」
有人「あ、要件ね!俺さ、羅刹で非常勤講師することになったから!!笑」
暫しの静寂。携帯電話からはとめどなく世間話が溢れてくる。
無人「…………は??」
真澄side
今日はあの馬鹿が長期任務から帰ってくる日だ。まだ帰ってきてないというのに胃が痛む。
ダンッッ!!!
この音の出処は考えずともわかった。
??「ただいまーーーー!!!」
キーーーンと耳鳴りする。
このバカでかい声、豪快なドアの音は間違いなく“あいつ”だ。
有人「みんな大好き有人クン参上♡」
隊員たちがヒソヒソしながら有人を避けていく。有人の周りが無人になる。
そしてバチッと目が合う。
チッ、厄介なやつと目が合った。
有人「ますみんーー!!ただいマンモス!なんつって!!!」
なんだこいつ。いっぺん殺すか?
有人「えーーなんで反応してくれないノーベル賞」
ピキ、と青筋が浮かぶ音が聞こえる気がした。
真澄「テメェいっぺん黙れ殺すぞ」
有人「ヤダ怖い!!!!そんなんだとモテないゾ♡」
真澄「………」
こいつに構ってるだけ無駄だ。
チッ、無陀野(弟)はあんな落ち着いてんのになんでコイツはここまでウザイんだ?
そこでふとアルトの目線が馨に移った。
あ、これ面倒な事になんな。
有人「かおるん〜〜!!」
馨に全力疾走し抱きつく。
180cmの全力疾走。並大抵の人間なら恐怖を覚える。馨の顔が引き攣るのを、真澄は見逃さなかった。
馨「……アルトさん?!も、戻ってたんデスネ…」
有人「そーそー!!馨も相変わらずでよかった〜!!」
髪をくしゃくしゃと撫でられている馨の顔はなんとも言えない表情だった。
馨が真澄に助けを求めるような目線を送る。
真澄「セクハラだぞ?アルトォ」
有人「え!?そーなん?!ごめんかおるん訴えないで!!」
真澄「馨ぅ、コイツ訴えていいぞ」
有人「………真澄サン???」
馨「…仲がよろしい(?)のはいいですが、ここでは真澄隊長のことは「隊長」と呼んでくださいね?」
無言の圧。説教されたことが悲しくて、アルトがしゅんとする。
コイツの顔に出やすい所治すべきだぞ。
馨「あ、訴えはしません。その代わりと言ってはなんですが、良かったら俺のお願い聞いてくれません?」
有人「うん、いいよーなになに?」
即答である。後先考えない馬鹿さが目に見える。
馨「10秒間だけ真顔になって何も言わずこちらを見てください」
有人「え?それだけ?」
馨「はい。それだけ。」
有人「わかった。」
何も言わないと本当に無陀野(弟)に似てるな。
まあ、コイツのいい所といえば無陀野(弟)に顔が似てるところくらいだろ。
馨が満足そうにしている。満面の笑みだ。
馨「はい、もういいですよ」
有人「……??ま、なんか嬉しそうだしいっか!!笑」
真澄「おい、それよりやることがあるだろ??」
チッ、コイツキョトンとしてんじゃねぇよ。
ここに務めて何年になると思ってんだ?
真澄「……報告。」
アルトが思い出したような顔をしている。
有人「あー!報告ね!はいはい」
有人「バッチリ見つけてきたぜーー!桃太郎の基地!!」
真澄「続きは隊長室で聞く」
真澄「で。情報探ってきたんだろ?」
有人「2ヶ月後に攻め込むっぽいよー?やばくね??笑」
真澄「………配置や人数は?」
有人「えっと、配置は書いてきた〜あと人数は600程度だって」
真澄「600か」
有人「ね、しっかり探ってきただろー?だからさ、報告書は―…」
真澄「もちろん書けよ?」
有人「………デスヨネ」
真澄「あ、それと。テメェにスカウトが来てる」
有人「スカウトォ??見る目あるわー!!どこどこー?」
真澄「…羅刹学園だ。「体術の教師になれ」だとよ。」
アルトが一瞬顔を顰める。疑問に思っているようだ。
有人「なんで俺??俺は無人じゃねぇぞ?」
真澄「だからだろ。受けるのか?」
有人「……??ここやめねぇで済むなら受ける。」
真澄「非常勤講師ってとこか。返事するぞ」
有人「うん、あんがとね♡あ、キスいる?」
真澄「いらねぇよ殺すぞ。」
有人「今日だけで「殺す」2回言われたんだけど」
真澄「無陀野には早めに連絡しとけよ」
有人「え、なんで?サプライズで行くの良くね?無人喜ぶかな〜♪」
鼻歌を歌っている。
無陀野(弟)がテメェにどんな印象持ってるかも知らずに呑気なやつだな。
かと言って連絡よこさなきゃ無陀野(弟)にキレられんな…
真澄「連絡はしろ。隊長命令だ」
有人「え、なんでなんで!!俺もうシチュエーション考えたよ?無人の授業中に窓ガラス割って入るのはどうかなって!ぱんぱかぱーーんみたいな」
真澄が思わず頭を抱える。
コイツはなんでここまで自分を客観視できないんだ?
真澄「絶対するなよ。テメェ無陀野に殺されるぞ」
有人「え、そんなに?」
真澄「いいから連絡しろ。今ここで」
凄まじい圧。さすがにアルトも逆らえないのか、少ししおらしくなった。
有人「わかった……」
そして冒頭に至る。
無人「…真澄にかわれるか」
有人「うん!いいよーー」
有人「はい、ますみん」
真澄「…よォ。」
無人「……あれは本当か?」
真澄「残念ながらな。」
ゴッ、と向こう側から音が聞こえた。
頭でもぶつけてるんだろう。心中お察しする。
無人「今度から俺、アレと働くのか?」
真澄「ま、そうゆうことだな」
無人「………………変更は」
真澄「無理だ。」
暫く何も返答が来ない。余程ショックなのだろう。
やがて諦めたように
無人「………わかった。」
とだけ返事をして切った。
有人「無人喜んでたー?」
真澄「逆になんで喜んで貰えると思うんだ?テメェの頭は花畑か?」
有人「え、なんか今日毒舌すぎん??」
真澄「ま、せいぜいこれ以上弟に嫌われねぇようにな」
有人「えぇ………」
そして数日後アルトは羅刹学園に向かうのだった。