テラーノベル
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sy side
満員電車に揺られること、約20分。
kz『行くぞ』
ドアが開いたと同時に、手首を捕まれ無理矢理電車内から引き摺り出される。
sy『わッ…!!』
人の波に揉まれる。けど、手首をしっかりとkzに掴まれていて逸れることはない。
先導してくれるkzの背中がたくましい__。
kz『ここまで来たら大丈夫か。』
手首を強く握っていた手が離される。
kzに握られていたところが少し暖かい
kz『行こ?』
少しぼーっとしていると、kzから声がかかる。俺は急いで返事をしてkzと並行して歩く。
sy(かっこよ、やっぱ大好きだなあ…)
必ず車道側を歩いてくれるkz
俺が人前で手を繋ぐのが得意じゃないと知っているから無理矢理繋ごうとはしないkz
たまに、俺の顔を見ては爽やかな笑顔を向けてくるkz
kzのさり気ない優しさといつも通りのかっこよさに心が包まれて、この冬の寒さでも顔が火照っている。
sy『kz…((小声』
kz『ん、?』
俺はそのまま少し足を止めた。小さな声だったはずなのに気付いてくれたkzにドキドキしながらも俺は心の中で葛藤を始めた。
sy(手…繋いでいいかな、変だと思われないか…。)
いつも手なんて繋がないものだからいざ、繋ぎたいな。なんて思っても簡単に口には出来なくて、ただ口がはくはくと動き、出そうとした声が空気に溶けてゆく。
kz『どうした? 体調悪い…?』
優しい瞳に見つめられながら、ふわふわと頭を撫でられて俺は余計に事を言い出せなくなる。
kz『スタバあるし、休憩するか。人酔いしたんじゃね?』
また、手首を捕まれスタバまで誘導されそうになる。こんな時まで手を繋がないkzはほんとに徹底していると思う。
人多いな…。
でも、手繋ぎたい__
スタバまであと少し__。
kz『うおッ…』
俺は後ろに重心を置いて、kzを制止した。その反動でkzは少し後ろに引っ張られ、驚いた声を出す。
kz『どうした?…sy』
こんな事までしても怒らず、イライラした素振りも見せず俺を心配そうな瞳で見るkzは本当に優しいなと改めて実感する。
kzを引き止めたのはいいものの、やはりなかなかそれを口にする事は出来ず、沈黙の時間が続く。
sy『kz…』
kz『ん、?』
kzの袖を少し摘む。
すると、やはりkzは少し不思議そうな顔をして『どうした?』と再度問いかけてくる。
sy『手…繋いでい、ぃ?』
自分でも驚くほどか細い声が出た。
顔が熱い。
恥ずかしさと不安でkzの顔を直視できない。
kz『かわッ…ぃ、』
kzの身体に俺の全身が包まれる。kzに包まれると同時にふわっと香る花のような匂いとkzの温かさに俺は少しほっとする。
ほっとしたのもつかの間。
sy『ッ…!!』
kzの服に埋まった自分の顔。少し息苦しくて、顔を上げると周りが少し見えるようになる。
通り行く人達がちらっとこちらを見ている。
それを認識したと同時に俺の過去のトラウマが呼び起こされる__。
sy『kzッ…ここ外ッ…っ、!!』
離れようとしてkzの後ろの布を引っ張るがどうしても俺の力じゃそれは叶わない。
sy『やめッ…、』
必死に抵抗を続けているとkzがより強く抱き締めて来た。俺はせめて周りを認識しないようにと強く目を瞑り、kzの身体に顔を埋めた。
kz『もうあの時とは違うでしょ。sy大丈夫…』
上から優しい声が降り注ぐ。冷めていた身体が一気に暖かくなった気がした。
強ばっていた身体の力がすっと抜ける
sy『魔法使い、?』
kz『え…?』
kzの身体から俺を少し離して、至近距離で目が合う形になる。
kz&sy『……w』
俺もkzも見つめ合い少し照れ笑いをし、” 恋人繋ぎで “ 目的地までの人通りの多い道を歩いた。
行き着いた先は、大型ショッピングモール。
kzとのデートで場所を教えて貰えない時kzは大抵俺の予想を遥かに超えた場所に連れていくことが多かった。でも、今回は少しベタなデートなようだ。
sy『映画見る?』
kz『見たい?じゃあ俺とsyの買い物終わったら見に行こ』
行きたいとは一言も言っていないのに、俺の言葉の意図を汲み取って提案をくれるkzが完璧な彼氏過ぎて…
sy『…、すき…ッ…//』
kz『ねえ、sy…可愛すぎ、』
人の少ないモールの入口から少し離れた場所。kzはキョロキョロと周りを見渡す。
sy『……?』
俺がその光景を不思議に見つめていると…
ちゅ__。
柔らかなリップ音がして、kzの唇と俺の唇が触れ合う。俺は状況が飲み込めず放心状態となる。
だが、少しずつ状況が理解できてカーッと顔が熱くなる。
kz『ふはw…sy顔真っ赤、w』
sy『ふざけんなッ…//』
kzの腹に少し重めのパンチを入れた。俺のパンチなんてkzには効かないんだから少しくらい重いパンチの方でいいに決まってる。
kz『ごめんってー。sy〜』
sy『……ッ//』
俺はkzを置いて足早にモールの入口へと足を進めた。
kz『sy〜』
kzは後ろからごめんだの、許してだの謝罪の意を伝えてくる。
kz『ごめんって〜』
ッ……__ッ、_っ
聞き取りずらい。なんて言ったのか分からない声が聞こえてくる。
sy『なに、?』
後ろに振り向いて、kzに問う。
kz『ん?だからごめんね?って』
sy『あ、うん』
軽くkzの言葉をあしらう。すると、kzのほんのり冷たい手で両頬をむにゅっと挟まれた。
sy『んにゃッ…!! つめた…』
kz『手繋いでくんないの?』
その一言を聞いて、俺はそっとkzの手を優しく触る。その手は、やはり俺より少し冷たい。
kz『かぁいい…。キスしたくなる』
sy『だめ!!』
モール内__。
立ち並ぶ様々な店。モール内に響く人々の歩く足音に話し声。そんな久々のモールに少しテンションが上がる。
sy (めっちゃ人だ…。お店たくさん)
kz『sy~、なーに考えてんの。俺とのデートでしょ?』
sy 『……ッ//』
顔を覗き込まれて、そんなことを言われる。その瞬間胸が高鳴り、顔が熱くなる。俺を覗き込むピンク色の瞳から目が離せない。
sy『んね、今日はどこ行くの?…ッ//』
kz『ちょっとね~』
爽やかな笑顔。こんな笑顔向けられたら、女の子なんてイチコロでしょ…。 にこにこしたkzの笑顔。いつもは二重瞼でぱっちりとした目を少し細め、いつもはキリッとした眉が下がる。かっこよくも、少し可愛くもあるkzの笑顔。
sy『じゃあ、行こ……ッ//』
赤くなったであろうこの頬。それを見られたくなくて、ふいっとkzのピンク色の瞳から視線を外し、そのまま後ろを向いて歩き出す。
自分の少し重い靴の音。周りの無数の靴の音。その中から聞こえる軽いスニーカーの音。俺が3年前にプレゼントした安いスニーカー。kzはそれを使い続けている。底がすり減り、床との摩擦でキュッキュッと音がする。
それがkzの足音だ__。
kz『sy~…手は??』
後ろから俺にそう迫り、揺れる俺の手をちょんとつついてくる。そんなkzが可愛く見える。というか可愛い。
sy『ん…』
俺の手をつつく、kzの手を捕まえてそのまま恋人繋ぎに移行する。
kz『ふ…w』
kzの優しい笑い声が聞こえる__。
モール内を移動する。人の多さに少し嫌気が差すけれど、kzと居るとなんでも楽しい。
sy『わッ…!!、kz急に止まるなよ…』
kzが歩みを止め、その反動でぐっと後ろに重心が倒れる。
kz『ほら、ここ』
少し賑わうキラキラとしたお店。そして、透明のショーケースに並ぶチョーカーの数々。
sy『え、ここって…チョーカー、え?』
kz『婚約指輪ならぬ、婚約チョーカー』
kzは優しい顔で微笑む。
sy『まだ、そんな年齢じゃないでしょ…//』
kz『俺のものっていう証だよ』
kzの熱い瞳に見つめられて、顔が火照っていくのが分かる。kzは、俺がΩだと分かった時からこんなことを考えていたのだろうか。そうであれば、少し嬉しく思う。
kz『なーにニコニコしてんの、かわいい』
〃『ほら、syが気に入ったチョーカー買お』
sy『ん…//』
店の中には、夫婦なのか恋人なのかそういう人が結構いた。殆どは男女だけど少し女性同士の恋仲の人もいる。
やはり、男同士は俺たち以外いなかった。
そもそも男のΩが希少なのだ。
だが、この中にいるのは殆どがαとΩ同士。その事実に少し不思議な気分になる。
kz『お、これとかどう?』
sy『俺の髪と同じ色…。これかな』
kz『これ気に入った?』
kzの視線はガラスケースのチョーカーからいつの間にか俺に移されていて、また優しい目で見つめられる。
そのままkzの手が俺の頭に迫り、ふわふわと頭を撫でられる。kzの手は大きくて優しい手つきが気持ちいい。
kz『sy、猫みたい。かわいい…』
いつもなら直ぐにやめろと止めているところだが、今日は何故かまだ撫でられていたい。
kzの手は頭頂部から襟足へ下から上へ束になった髪をさらさらと少しずつ落としてゆく。そのままkzの手は側頭部に迫る。俺の体温より少し冷たい手が頭部を伝っている感覚が気持ちいい。
深くその状況を考えず、欲望のまま撫でさせていると、急に耳を触られる。
sy『ッ…!!、急に耳触んな』
勢いでkzの手を叩き落とした。
急に触られて、背中がぞくぞくとした。触られた耳が熱くなり、じんじんする。
ジトっとkzを睨んでみるが、俺の目にはそんなこと知ったことないかのように。いつもの優しく、愛おしいものを見るようなkzの瞳が映る。
sy (やっぱ、kzは変態だ…)
kz『会計行こっか』
kzはハツラツとした優しくも力強い声で店員さんを呼ぶ。声に気付いた店員さんがこちらへと駆け寄ってくる。
女性…綺麗な女性だ。美人系というのだろうか、スタイルもよく誰が見ても美人と言うだろう。
kz『~で~。~~すか?』
店員さんに向けられるkzの優しい笑顔。 あー、俺にもこんな独占欲があったのか…。ふつふつと腹の底から湧き上がるはじめての感情に戸惑う。
モール内の微量の風が、俺の火照った肌を撫でる。胸の奥が熱く、締め付けられる。
いつもの俺の身体じゃないように感じる。脳が焼き切れそうな暑さにkzに触れて欲しいという欲求で頭がおかしくなりそうだ。
kz『ッ…!!?』
店員さんと楽しそうに話していたkzは、何かに驚いたように勢いよく後ろにいる俺へと顔を向けた。
身体の制御が効かない、足が震える
俺はその場に力なく座り込む。
kzは手で口元を覆い、周りを見渡している。まるで警戒しているように
sy『か、じゃえ…、んえ…//』
舌がまともにまわらない。
ちらりと横を見ると周りの視線がこちらへ集まっているのがわかる。
kz『くっそッ…//』
kzは優しく俺を抱き上げて、足早に店を後にする。kzの腕の中で体が揺れ、周りの景色がどんどんと移り変わる。
kz『ふッーッ っ、//』
耳の横ではkzの辛そうな息遣いが聞こえる。
分からない。脳が焼き切れそうに熱くて、何も考えられない。
.୨୧____________୨୧.
お久しぶりです!
だーいぶ投稿遅れました🙇🏻♀️💦
kzsy編まだ続くんですけど、流石にそろそろfurmタイム入れようか迷ってるんですけど
どうですかね?そのままkzsy編続けるか、furm入れるか。
まあまた近々投稿します🙌🏻
リクエスト頂いたものを!
モチベ下さい
.:° 🌾🌾╰(ˇωˇ )╯🌾🌾;。:*
コメント
4件
楽しみで楽しみで仕方がなかった更新が来て本当に嬉しいです!!2人の空間はなんだか特別な気がして、凄く好きです! かざしゅうかふうりも、、どちらも凄く好きな作品なので凄く悩みどころです....🤔💭 めっちゃ悩んだんですけどかざしゅうですかね🙌
来たぁぁぁぁぁ!!続きめっちゃ楽しみにしてましたぁ!!私はかざしゅうの続きが見たいです!!今回も最高でしたッ!!続き楽しみにしてます!これからも頑張ってくださいッ!!