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第10章 すれ違いと嫉妬
体育祭が終わって数日。
クラスは委員会ごとの発表会の準備に追われていた。
私は実行委員をやっている関係で、他クラスの男子とも連携を取らなきゃいけない。
廊下でプリントを見せながら打ち合わせをしていると、ふと鋭い視線を感じた。
「……亮くん?」
廊下の端、教室に戻るところだった彼が
立ち止まり、こちらを見ていた。
けれど目が合った瞬間、何も言わずに教室へ入っていってしまう。
その日からなんだかよそよそしい。
話しかけても返事が素っ気ないし、放課後一緒に帰ることもなくなった。
「どうしたんだろ……私、何かしたかな……」
心配になって体育館裏で声をかけた。
「亮くん、最近冷たくない?」
「別に。」
「別にって……だったらどうして目も合わせてくれないの?」
押し黙る亮くん 。やっと口を開いたかと思えば、
「……あの男子と仲良さそうにしてたから。」
ぽつりと落とされた言葉に目を瞬く。
「え? 委員会のことだよ?発表の準備で……」
「委員会……?」
「そう。仕事の話しかしてないよ。」
説明すると、亮くんは一瞬きょとんとしたあと、顔を赤くして目を逸らした。
「……勝手に誤解してた。」
「もう……だったらちゃんと聞いてよね。」
拗ねたように言うと、彼は小さく「ごめん」と呟いた。
その声がやけに愛しくて、つい笑ってしまう 。
「嫉妬してくれたの?」
「……してねぇよ。」
「ふふ、わかりやすいなぁ。」
意地を張る亮くんの横顔を見ながら、胸の奥がじんわり温かくなった。