⚠︎注意⚠︎
・結構長いです
・塾の休み時間の度に書いたので、作風が変わってるとこあるかも
・駄文
・テーマとか特に決めずに書いたから、何を書きたいのか私ですらよく分かってません
・誤字脱字はお友達
・自己満足
・私的にはハッピーエンド…かなぁ?って感じですが、多分バッドエンドだと感じる方もいると思います
〜それでも読んでやるよという神様のみお読みください〜
まずい。そう思った時には、もう遅かった。
「はっ、はっ」
鼓動が早まる。息が苦しい。自分が自分じゃなくなる感覚。
「っ…はっ、はっ」
どこか既視感のあるこの感覚は、だからといって、到底受け入れられるモノではなかった。
「はっ、はっ」
染まる。彼を想う心が、憎悪へと。
「い、や。いや、いや…っ」
淡く色づいていた筈のソレが、黒く染まるのを感じながら、止めることができなかった。
___そういえば、彼も此処に来てたっけ。こんな姿を見られるのは嫌だ。
そんな思いを無視して…いや、違うな。心が追い詰められて出たのは、紛れもなく私の本心だった。
「助けて、助けて…!ーーーっ」
叫んだ名前は音にならずに、空気と共に口から漏れる。
彼が危ない時は助けると誓ったのに、結局いつも、助けを求めるのは私だ。私は、彼の重荷にしかならないのだろうか?
___それだけは絶対にない
いつか、彼にそう言われたこともあったなと、思い出す。あの時、彼が見たこともない様な悲しい顔をしていたから、私はもうそのことを考えないと決めたのだ。
「どう、して…」
何に対してそう呟いたのかは、よく分からない。こんなものにも対抗できない自分自身か、今更、あんなことを考えてしまったことか。
___或いは、こうなってしまった原因か。
「…っ」
涙で視界が滲む。どうしてこうなった?いつもと変わらない日常だった筈だ。
いつも通り私は、殺し屋として、目標を殺して、殺して、殺して__
そういえば、殺した奴らの中に、薬を持った奴がいた。ソレだろうか。そういえば、何かを打ち込まれた気がする。睡眠薬か何かだと思って、特に気にしていなかったが。
「はぁっ、はぁっ」
今となっては、警戒しなかった自分に腹立たしい気持ちが募る。…もしかして私は、この不快な感覚の中で死ぬのだろうか。どこか冷静な頭で、そう考える。心残りは無いが、それに満たない後悔は沢山あった。
「…死にたく、ない」
最期になるかもしれない言葉は、彼に対しての想いでも、私にこんな不快感を与えた者への恨みでもなく、只々生きていたいという純粋な願いだった。
この祈りを最後に、私の意識は、深く、深く沈んでいき__
次に目を覚ました時には、全てが終わっていた。
「…えっ?」
夥しい程の血を流し、目の前に横たわるのは、生涯で初めて恋をした、最愛の人。
「どう、して…?」
どうして死んでいるのか?そんなの愚問だろう。だって___
「私が、殺した…?」
そんなの嘘だって、否定したい。否定したいのに、手に付く鮮血が、まだ体に残る、肉を刺す感触が、そして何より、頭に残る記憶が。私が彼を殺した犯人であると、物語っていた。
___嗚呼、神様。私は、貴方を怒らせる様なことをしてしまいましたか?
「いや、だ。いや、いや…!ねえ、起きて…、お願い…っ」
悲痛な叫びが、夜の帳に木霊する。祈りにも似たソレは、終ぞ神と呼ばれるモノに聞き届けられることは無かった。
「なんで…」
何故彼は、私を殺さなかったのか。いや、そんなの初めから分かっている。それは、私に死んで欲しくなかったからだろう。根拠もなく、そう思った。
「っ、そんなの、望んでない」
確かに生きたいとは願ったけれど、彼がいない世界で生きていたいのかと問われれば、答えは否だ。彼のいない世界など、何の価値もない、塵芥に等しい。
「ねえ、起きて?」
彼は、もう息を吹き返す事は無い。そう分かっていても、声をかけてしまう。
「…」
もう一度声をかけようとして、やめた。これ以上は、私が辛くなるだけだ。
眠った様に横たわる彼は、もう永遠に、目を覚ます事は無い。
___おはようと微笑うことも。
___まだ寝惚けている私を見て、面白そうに目を細めることも。
___それから、優しい手つきで、頭を撫でてくれることも。
全て、有り得ないことになってしまったのだ。
(当たり前の日常が、こんなに得難いものだったなんて。)
こんなの、知りたくなかった。失ってから初めて大切なことに気付く。よくそんなことを耳にするが、失わずとも、私は彼を大切に思っていた。それでは、足りなかったのだろうか?
(どうして)
答えの出る筈のない問いを、何度も何度も繰り返す。もう、何が正解かも分からない。
(ねえ、なんで?)
当然だろう。迷った時に導いてくれた存在の、その命の灯を消したのは、他でも無い私なのだから。私の心の中でさえ、彼は笑いかけるだけで、答えを教えてはくれない。
「ねえ、早く教えてよ…。もう充分、考えたでしょ?」
傍から見たら完全にヤバい人だ。死体に向かって、1人語りかける、狂った人間。
「ふふっ」
実際、狂っているのだろう。今だって、さも後悔している風を装いながら、他人じゃなくて、私が彼を殺すことができてよかった。なんて、本気で思っている。
「バカだなぁ…」
私も、貴方も。殺されるくらいなら、殺せばよかったのに。私にそう教えたのは、貴方でしょう?
「ふふ、好きだよ。貴方が大好きです。」
祈る様に、言葉を紡ぐ。一音一音に願いを込めながら、想いを告げる。それが終わると、花がふわりと舞う様な、優しい口付けをした。少し硬く、冷たいソレは、血の味がして、お世辞にもいいものだとは言えなかった。キスはレモン味とか言った奴誰だよ。と八つ当たりをしてしまう。いや、それはファーストキス限定だったっけ?まあ、どっちでもいいかな。
「ずっと一緒にいようね。」
そんな花言葉があったような気がする…確か、アングレカムだっけ?貴方はその花が大好きだったよね。私と同じ気持ちだったのかな?ずっと一緒にいたいと願ってくれた?だから、アングレカムが好きだったの?
…なんて、流石に違うかな。でも、そうだと嬉しい。
彼のサラリとした髪を撫でる。いつもは撫でられる側だったから気付かなかったけど、凄く柔らかくて、気持ちよかった。夢中で撫でていると、柔らかな風が吹き、彼が「早くしろよ」と急かしている様に感じた。
「いや、実際は違うと思うけれど。これはあくまで私の主観だから。」
と、誰にも聞かれていないのに、何故か後ろめたくなり、言い訳を溢す。実際違うのだろう。もし今の風が彼だとするのなら、間違いなく私を止めようとして起こしたものだ。
それが少し可笑しく感じて、ぷっと吹き出す。彼のジト目が脳裏に浮かんで、もっと笑ってしまう。
少し経って、笑いが収まり、漸く前に進める気がした。
まあ、進む先は地獄だが。
(___地獄でも待っていてくれてると、信じているよ)
待ってなかったらぶん殴ってやろう。と心に決め、彼を殺したナイフを手に取り、その刃を胸に突き刺そうとして___
(やっぱり、もう一度だけ。)
これが最後だから。そう言い訳して…
彼の額に、触れるだけの優しい口付けを落とした。
それに満足し、一思いに心臓を刺す。
___最期に、「そこは唇にしろよ。」という私の大好きな声が聞こえた様な気がして、思わず口が綻んだ。
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