テラーノベル
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私が言うと、 黒木君たちが少しだけ顔を見合わせた。
「練習試合?」
黒木君が聞く。
「うん……あ、いや、はい」
「敬語」
美門君が笑う。
「まだ抜けてない」
「む、無理だって……」
「徐々にでいいよ」
黒木君がフォローしてくれる。
優しいなあ。
「で、どんな人だった?」
上杉君が話を戻した。
私は記憶を探る。
「えっと……1人で見てました」
「友達とじゃなく?」
「うん。なんか、ずっとグラウンドだけ見てる感じで」
「誰を見てた?」
その質問に、 私は少し迷った。
でも。
「……黒木君、だと思う」
一瞬、空気が止まる。
「ほら来た!!」
若武が叫んだ。
「黒木ファンによる愛憎劇だ!!」
「言い方」
小塚君が止める。
「でも、ありえなくは、ない」
上杉くんは真面目だった。
「黒木は目立つから」
「他人事みたいに言うけど、上杉も十分目立つ」
美門くんが言う。
「あと美門も」
「知ってる」
なんなんだこの人たち。
なんでこの人たちが言うと自慢に聞こえないのよ。
神様、不平等。
「……でも」
私は少し気になっていたことを言う。
「黒木君、嫌われたりするの?」
「する」
即答だった。
「えっ」
「普通にするよ」
黒木君は苦笑する。
「サッカーで負けた相手とか、成績で比べられる人とか」
さらっと言う。
でも。
なんか慣れてる感じだった。
「黒木は悪くないのになー」
若武が腕を組む。
「顔が俺には劣るがまあまあ良くて、頭も俺の次に良くて、サッカーもまあまあ上手いだけだぞ!」
うるさい、バカ武。
勝手に自分がいい風に言うんじゃないわよ。
あ、バカ武っていいかも。
「改めて聞くと腹立つな」
美門君が真顔で言った。
「でも黒木君、感じ悪くないし……」
思ったまま言うと、 黒木君がこっちを見た。
「……アーヤ、それ褒めてる?」
「えっ」
「ちょっと嬉しい」
ん?
うれしい…?
はて…。
「はい、はい、そこまで」
美門君が遮った。
「今は事件優先」
「立花」
「え?」
「さっきの女子、どこで試合見てた?」
「えっと……フェンスの近くです」
「一人で?」
「うん」
「表情は」
「……」
思い出そうとする。
グラウンド。
歓声。
走る選手たち。
その中で。
あの女子だけ、 静かだった。
「あ」
「?」
「笑ってなかった」
みんなが私を見る。
「周りの人は盛り上がってたのに、その人だけずっと真顔で……」
「黒木を見てた?」
「たぶん」
上杉君が少し考え込む。
猫アレルギー
111
158
まあ
68
かえ
311
「執着タイプかも」
「怖い言い方するなぁ」
若武が言った時だった。
キーンコーンカーンコーン。
校舎にチャイムが響く。
次の授業の予鈴だ。
「あ」
「次の授業」
小塚君が時計を見る。
「やば、移動しないと」
「では諸君!!」
若武が立ち上がる。
「本日の捜査は一旦解散――」
「若武」
黒木君が止めた。
「ん?」
「アーヤ、一人だと危ないかも」
「え」
みんながこっちを見る。
「え、いやそんな大げさ――」
「大げさじゃない」
黒木君は珍しく真面目な顔だった。
「もし本当にあの人が関係あるなら、アーヤのこと覚えられてる」
急に怖くなる。
すると。
「じゃあ俺、受験Bまで一緒に行く」
上杉君が普通に言った。
「えっ」
「何もしてない立花が巻き込まれるのは、我慢ならない。」
「いやでも……」
「決定だな!!」
若武が勝手にまとめた。
ちょっとなにすんのよ。
上杉君の教室、遠いのよ。
かわいそうでしょ。
「上杉、アーヤ護衛任務だ‼」
「その言い方やめろ」
上杉君はため息をついた。
でも。
なんだかんだ断らないんだ。
コメント
1件
あおいです🤍 第6話、お疲れさまでした!黒木くんが「アーヤ、一人だと危ないかも」って真剣に言うところ、グッときました…あの普段ふわっとした感じから急にシリアスになるギャップ、良かったです。上杉くんが「我慢ならない」って護衛申し出るのも、男の子同士の信頼関係や優しさが滲んでいて好きなシーンです。若武の「愛憎劇だ!!」で空気が一瞬で和むのも彼のキャラが立ってますね。不穏な伏線が張られつつ、仲間たちの温かさが際立つ回でした!続きが気になります🌷