しばらく歩いて、公園に到着した。
公園と言っても遊具はなく、ベンチが2つと立形水飲水栓(蛇口)があるくらいで、人は一人もいなかった。
「なんか、ここだけものすごく静かっすねぇ。」
ここはなんの音もしない。木の葉が擦れる音が少しする程度だ。
司令さんは空を見上げて少しだけ目を瞑る。
儚げイケメンだな…じゃなくて!
えっと…………儚げイケメンだな。
司令さん『落ち着くから僕は静かな方が好きだ。
…さ、食べようか?』
「…そっすね。いただくっす。」
俺は手に持っている団子を少し見つめる。
団子は串に3個刺さっていて、1番上にはいちごが刺さっている。うまそう…。
とりあえず、上に刺さっているいちごから頬張った。
素人だからよく分からないが、なんだかいつもより美味しい気がする。いいやつ使ってるんすかね?
次に、いちごの団子をパクッと口に放り込んだ。
焼きたての団子は香ばしく、上にかかっているいちごの白あんは絶妙な酸味と甘さで凄く美味しい。
司令さんの方を見ると、黙々とよもぎの団子を咀嚼している。少しだけ小動物を感じさせる…。可愛い。イケメン。
司令さんは口をモグモグとさせながらこっちを向いた。
司令さん『それ、美味いか?』
俺は団子を飲み込んでから言葉を返した。
「はい!甘さがちょうど良くて美味しいっす!」
司令さん『4号が気に入ってくれて良かった。あ、僕のひとつ食べるか?』
「え?いいんすか?じゃあいただきま…」
ちょっと待った。
これって
これってもしかして
か
か
かかかか
間接キスじゃッ!?!?!?!?
いや、団子ならセーフか!?
でも司令さん明らかに串も口に入れてたし…
アウトだ!!
司令さん『どうした?要らないのか?』
「えッ、あっ…い、いー…」
なんで気づいたんだよこのバカ!アホ!
どどどど、どうしよう。なんかソワソワしてきた。
でも、このチャンス(色んな)を逃すのはもったいないし…
司令さん『何をそんなに戸惑っているんだ?事情があるなら話してくれ。』
司令さんは無表情で俺に問いかける。
「えッ…と。」
どうしよう。間接キスに気づいて恥ずかしくなっちゃったなんて言いたくねぇ…
いや、待てよ。ワンチャン司令さんが気づいてないだけかもしれない。司令さんだって気づいたら恥ずかしくなるかもしれないし嫌かもしれないし、ここは正直に言おう。
これは逃げじゃない。配慮だ。
「司令さん…..。これ、間接キスっすよね…」
司令さん『ふむ、確かにそうだな。それで?』
それで?????
え?なんとも思わないんか!?!?
「は、恥ずかしくは…ないんすか?」
司令さん『4号は恥ずかしいのか?』
「そりゃ恥ずかしいっすよ…!」
司令さん『そうか。…わかった。』
うぅ…。せっかくのチャンスを逃してしまった…
複雑な気持ちだ…。
まぁ、しょうがない。切り替え、切り替…え
ふいに、俺の顎に手が添えられていた事に気づいた。
横にいたはずの司令さんは、気付けば目の前に現れている…。
司令さんはベンチから立ち上がって俺の顔に合わせて少し屈んでいる。
俺の肩には司令さんの手が置かれていて、力こそ加わっていないものの、俺は身動きが封じられている。
顔が近い。俺の心臓がドクドクと激しく動き始めた。
司令さんは、俺の事をジッと見つめている。
「し、れいさん…?何…して…」
司令さん『キスをしてしまえば、間接キスは恥ずかしくないだろう?』
「………….へ?」
司令さん『だから、今からキスをする。』
ぶっ飛びすぎだろぉぉぉ!?!?!?
なんでだよ!?なんでなんだよ!?
「ま、待つっす!!!心の準備がまだ…」
司令さん『ほら、目を瞑れ。』
「聞いてるっすか!?いきなりそんなっ」
司令さん『嫌なのか?』
「そういう事じゃないっす!でもまだ心の準備とかムードとか」
司令さん『そうか、嫌じゃないんだな。良かった。』
「聞いてないっすよね俺の話!!」
司令さん『こら、そんなに暴れるな…。
…はぁ。』
ほっ。やっと司令さんが落ち着い…
司令さん「フー」
司令さんは、俺の耳に優しく息を吹き込んだ。
誰から聞いたのか、いや多分勘でやったんだと思うが、
まさかの俺の大弱点をついてきた…ッ。
俺はめちゃくちゃ耳が弱い。だから至近距離の耳フーなんてもってのほかだ…!!
「あふ…..」
マヌケな声を出して、力が抜けた。
その瞬間を、司令さんは逃さなかった。
チュッ
唇と唇が、触れ合った。
柔らかくて、甘くて、少し暖かくて…
いつか止まってしまうんじゃないか心配になるくらいに、俺の思考回路は回るスピードを落としていく。
火照っている日差しが、暖かく体を照らし、木の葉はカサカサと、葉の吹雪を散らしている。
時が止まったって、一瞬だけそう感じた。
これが俺の…ファーストキス………。
力が入らず抗えなかった不可抗力のキス…。
それでも、俺はやっぱり喜んでいる。
司令さんは、そっと唇を離した。
一瞬の出来事だったはずなのに、脳と唇に感覚が焼き付いて離れない。
「……。卑怯…っす。」
俺は、キスしたことの恥ずかしさと、耳フーへの自分の反応の恥ずかしさで頭が爆発しそうだった。
まだ目の前にはイケメンな司令さんの顔がある。
司令さん『……. これで、食べる事ができるな?』
司令さんは微笑んでベンチに再び座った。
理解できねぇ…なんでそんなに平然とできるんだよ!
「うぅ…司令さんってほんとにそう言うとこあるっすよね。」
司令さん『怒ってるか?』
「怒ってるっていうか…..呆れてるっす。ファーストキスが間接キスの恥ずかしさを紛らわすためって…。」
司令さん『せっかく美味い団子なのに食べないなんて勿体無いからな。それに、ファーストキスに変わりは無いだろう?』
「そうなんすけどぉ…。まぁいいっす。じゃあ、1口貰いますね。」
司令さん『ん。』
俺は司令さんの団子を1つ食べた。
よもぎの団子は美味しかった。
司令さん『お気に召したようで何よりだ。』
「キスしたところで恥ずかしさは消えなかったっすけどね…。」
司令さん『でも和らいだだろう?』
「そう…….かも…?」
司令さん『安心してくれ。次はちゃんとロマンチックなところでするから。』
「なッ…!〜ッ、
一応。………..楽しみにしとくっす…。」
司令さん『顔が真っ赤だ、』
「誰のせいだと思ってるんすかぁッ!!!」
しばらくして、団子を食べ終わった。
一瞬で食べ終わったような気がした。
司令さん『次はどこに行く?』
「んー…。」
もう気になるところは無いんだよな…。
せっかくの温泉街だけど、食べ過ぎたら夜飯食べられなくなるし、温泉も旅館のとこでいいし…。
司令さんは行きたいとこあるかな…?
「司令さんが行きたいところに行きたいっす。」
司令さん『?…べつに遠慮しなくていい。』
「いや、遠慮とかじゃなくて…。食べたいものは食べたし、温泉は旅館のとこでいいし…。
それに俺、司令さんが楽しそうにしてる方が嬉しいって言うか…。」
司令さん『…4号がそう言うなら。近くにもみじが綺麗な神社があるんだ。まだ若もみじだが、行く価値はあると思う。』
「神社いいっすね!いい感じに汗かけるし最高っす!さぁ、早く行きましょ!」
司令さん『あぁ、行こう。…はい』
そう言って司令さんはまた手を差し出した。
「手…….、」
ちょっと恥ずかしかったけど、恋人繋ぎでその手に応じた。
司令さん『…!…ふふっ。』
司令さんは嬉しそうにしてくれた。
「は、早く。行くっす。」
司令さん『そうだな。行こう。』
そして、そのまま歩いて神社へと向かった。
お久しぶりです。きどりみんとです。
ほんとーにお久しぶりです。ほんと…。
………。
すみませんでした!!!!
こんなに投稿が遅くなるなんて思ってなくて…。
マジでもっと努力します…泣
あ。あと、もう1個謝っときたいことがありまして…。
そういうシーン(センシティブ)が、多分まだ次の次ぐらいです。
期待して待って居てくれている方々、ほんっっっとにすみません!!!
書いてると、どんどんどんどん長引いちゃって…。
でも、必ず書くので!絶対に書くので!ご安心ください!
次の投稿も遅くなるかもしれませんが、気長に待っててください。
あ、応援コメントめっちゃ励みになってます!
いつもありがとうございます!!
ハイ、何回も何回もすみませんばっかりで…。ほんとに申し訳ない泣
色々あると思いますが、これからもよろしくお願いします。
きどりみんとでした!
コメント
3件
思わず笑みが溢れました本当にありがとうございます👍