テラーノベル
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あの日から何週間かが過ぎて、日差しも夏のように強くなってきた頃。
久しぶりにワンピースに身を包んだ私は、壱月の運転する車の助手席に乗っていた。
「せんせいのおうち~、たのしみだ~」
花斗は後部座席でチャイルドシートに乗り、今日も自作の歌つくって歌っている。
今日花斗は姉の家に、はじめてのお泊まりをするのだ。
というのも、遡ること2週間前──。
「再来週、空けといてって伝えた日、あるだろう? 泊まりで出掛けるから」
「は!?」
驚き目を見張った私に、壱月はニヤリと笑って告げた。
「デート。してないから、どうかと思って」
「でも花斗もでしょ? 準備しないと……」
「大丈夫。そこは、〝先生〟に頼んであるから」
壱月はニカッと歯を見せて笑い、親指を立ててみせた。
どうやら、保育園の先生である姉の家で花斗を預かる約束まで、すでに取り付けていたらしい。
慌てて姉に確認すると、
【子供ができたときの予行演習になるからどんどこい】
とメッセージが返ってきた。
姉は婚約者の榎田さんと、同棲しているのだ。
それで、ついに今日その日を迎えたというわけだ。
*
姉の新居の前につくと、姉と榎田さんは笑顔で出迎えてくれた。
「花斗、いい子にできるね?」
着替えやらおもちゃやらを詰め込んだリュックサックを背負わせて、花斗の頭をポンポン撫でる。
すると、花斗は私の手を振り払って、得意気に胸を張った。
「もちろん、せんせいとなかよくします!」
あんなに小さかったのに、なんだか今はとても頼もしい。
「先生を困らせちゃダメだぞ」
私の後ろから、壱月も花斗に声をかける。
「はーい。せんせいのいうことは、ちゃんとききます!」
花斗は空に向かってピンと右手を伸ばす。
そこに壱月がハイタッチすると、花斗は姉の足元にかけよって、すぐにべったりくっついた。
「ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」
そう言って、壱月とふたりで姉に頭を下げる。姉は花斗の頭を撫でながら「そんなにかしこまらないで」と笑った。
「いつかその時がきたら、愛音たちに頼むから」
「え!?」
「助け合いが大事でしょ~?」
驚く私におどけてそう言った姉は、ふふっと笑って花斗を抱き上げる。
「ママといつきも、ケンカだめだよ!」
そんな花斗の一言に、つい壱月と顔を見合わせる。
ふふっとお互いに笑い合うと、不意に壱月が私の手を握って掲げた。
「ママの手は、俺がしっかり握っておきます」
花斗は満足そうに笑ったけれど、私の頬は熱くなる。
「行ってらっしゃい、楽しんできてね」
そんな姉の声を聞きながら、私は赤くなっているだろう顔を隠すようにそそくさと車に戻った。
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コメント
1件
やっと来たねデート回!!!😭💕 壱月くんが「デートしてないから」って計画してくれたの、しかも花斗くんの預け先までセッティング済みって…準備良すぎでしょ!!✨ 花斗くんの「ママといつきもケンカだめ!」に「ママの手は俺がしっかり握ってます」って返す壱月くん、もう反則級のキュンだよ…💘 照れて顔隠しながら車戻る主人公も可愛すぎる!次の展開が待ち遠しい〜🌸