テラーノベル
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君を探して、走って、もう二時間はたつ。
途中で雨が降ったが、気にしないで無我夢中で。
今も、大粒の雨が大量に打ち付けてくる。
[どこなんだよ!一体……君はどこにいるんだ!!]
泥まみれで、服もびしょ濡れ。怪我もしたしで散々だ。
それでも、君を探す理由があるから。
[はぁ……うっ…!]
頭の中を、金づちで打たれるかのような激痛。
[まだ…だ…!たち、上がれ…!]
己を鼓舞する。
けれど足は動かない。
何でだよ、何で普段は動く癖に、大事な時に動かないんだよ…!
[……神様には悪いが、俺は人生を辞退させてもらうぜ]
そして、川に。
飛び込もうとした。
[何してるの!?]
腕を思い切り捕まれた。
[おい!離せよ…!]
[絶対離さないから!危険だから、離れて!!]
なんなんだよ、こいつ。
高校生の癖に、大人ぶって。
なのに、何でこんなに安心するんだ…
ーーその人の腕の中で、僕は意識を失った。
目が覚めると、見慣れない天井がそこにはあった。
体をおこすと、病院の個室だと理解した。
コンコンと、扉をノックする音があった。
[入るよー!]
僕を助けてくれた高校生の声だ。
[大丈夫だった?わ、!!包帯ばっかり!どうしたの!?]
[…知らねー。俺は人探しをしてただけだ。名前も顔も住んでる所も知らない人をな]
[何で、そんな人探してるの?]
[それは、教えられない…]
[そっか。…私、協力するよ!その人を探すの手伝う!]
[本当に…?]
[本当に!]
何で、知らないやつの事を助けてくれたんだ。
それに、今だって探すのを手伝うなんていって。
こんな人に会えて、僕は幸せだ。
コメント
2件
うぉわぁ…すご…(?)