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「本当はわかっているはずだよね?」

という問いかけの裏には、自分が本当はわかっていないことを無意識のうちに悟ってしまって、そこから発される怯えにも似た感情が隠されている。それを表に出さずにいるための言葉なのだ。

だからぼくは自分の本当の願いなんて口にしないで、代わりにこう答える。それはきみのことだよ、とね。


そしてぼくたち二人は、ずっと二人で一緒に過ごすんだ。たとえ、きみがその世界にいなかったとしても――。

*

――さっきまでの自分との対話を終えて、わたしは彼のほうへ顔を向けた。

ここは廃墟の街、かつて人々が行き交っていた大通りだったはずの広い道路の上だ。かつては高層ビルが立ち並んでいたけれど、今ではほとんど見る影もない。ただ風雨に晒され錆びついた看板がいくつか残されているばかりだ。それでも空を覆う厚い雲の下にあって、それらの建物群はかつてと同じように威容を誇っているように見える。もちろん実際のところ、それらはかつての繁栄をそのまま残してはいなくて、朽ち果てかけているだけなのだけれども。

今にも崩壊しそうなビルの合間を縫いながら、彼は前に向かって歩いていく。その後を追うようにして、わたしもまたゆっくりと歩みを進める。彼の歩調に合わせることくらい造作もない。なぜなら、彼が歩いているときよりもゆっくりでなければ足音が響いてしまって困るからだ。もっともこんな風に、彼と言葉を交わすこと自体が久しくなかったことなので、どちらにせよ彼に聞こえてしまう可能性は高いのだけれど。

(やっぱり……)

改めて観察するまでもなく彼の存在は異常だと思う。普通ではないと言っていい。まずはその見た目、年齢にしては老成して落ち着いた雰囲気、そして言動、行動原理などあらゆる要素において普通の人間とは一線を画しているように見える

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