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それから数日
りゅうきは明らかにおかしかった。
本人だけが気づいていない。
たくとから連絡が来る
嬉しい、
『今日残業確定😮💨』
そんな何でもない報告に、
『お疲れ様です』
と返しながら口元が緩む。
『今度飯行こ』
『いいですよ』
と返してから、
数分後にスマホを見直して、
また顔が熱くなる。
(なんでこんなに嬉しいんだろ)
店長は全部見ていた。
「分かりやすいね」
「何がですか」
「いいや笑」
店長はそれ以上何も言わなかった。
そして迎えた約束の日。
たくとと会うのも、もう何回目か分からない。
なのに。
駅で待っているだけで落ち着かない。
(何でだろう)
分かっている。
分かっているけど認めたくない。
そんな時。
「りゅうきくん」
聞き慣れた声。
顔を上げる。
たくとがいた。
「待った?」
「いえ」
いつも通り。
いつも通りのはずなのに。
今日は少しだけ格好良く見えた。
その瞬間
(あぁ、)
心臓が跳ねる。
たくとは全く気づかない。
「行こっか」
「はい」
並んで歩く。
肩が近い。
それだけで緊張する。
たくとは楽しそうに仕事の話をしている。
りゅうきは相槌を打ちながら、
ほとんど内容が入っていなかった。
(好きかもしれない)
その言葉が頭の中を回る。
好き。
たくとさんが。
好き。
そう思った瞬間、
急に顔が熱くなった。
「りゅうきくん?」
「は、はい」
「大丈夫?」
たくとは少しだけ心配そうだった。
「顔赤いけど」
「暑いんです」
「今日?」
「今日です」
「へぇ」
全然信じていない顔だった。
たくとは笑う。
その笑顔を見て、
りゅうきはさらに動揺する。
(無理だ)
好きだ。
完全に。
好きになっている。
認めてしまった瞬間だった。
その日の帰り。
駅まで送ってもらう。
「じゃあまたね」
たくとはいつも通り笑う。
「はい」
りゅうきは頷く。
でも。
帰ろうとして、
ふと足が止まった。
胸の奥がざわつく。
何か言いたい。
でも言葉にならない。
「りゅうきくん?」
たくとが不思議そうに振り返る。
「……」
好きです。
その一言が喉まで出る。
でも怖い。
もし違ったら。
もし今の関係が壊れたら。
そう考えて、
結局飲み込んだ。
「何でもないです」
たくとは少しだけ首を傾げた。
「そっか」
それだけ。
そのまま手を振る。
りゅうきも手を振り返す。
電車に乗ってから、
深く息を吐いた。
(好きだ)
もう分かってしまった。
店長の言う通りだった。
会いたい、
声を聞きたい、
笑ってほしい、
隣にいたい、
全部、
たくとだから。
でも。
りゅうきはまだ知らない。
数ヶ月前のあの夜。
酔ったたくとが、
一度だけちゃんと好きだと伝えていたことを。
そして。
たくとの方もまた、
自分の告白を忘れたまま、
今も変わらずりゅうきに惹かれ続けていることを。
だから二人は、
両想いなのに、
まだ誰もそれを知らなかった。
#BL
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コメント
1件
りゅうきの自覚エピソードめっちゃ刺さった…!「好きかもしれない」って気づいてからの動揺とか、顔赤くなって「暑いんです」「今日です」って必死に誤魔化すの可愛すぎて泣いた😭💕 しかも両片想いって知ってるこっちは「言え!!」ってなるのに、りゅうきが飲み込んじゃう切なさ…次が気になりすぎるよ〜!たくとが酔って告白してたって伏線、回収楽しみにしてる!!🐶🐱頑張って🔥