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好きだと自覚してからのりゅうきは酷かった本人も認めるくらい酷かった
「お疲れ様です」
いつものメッセージ。
なのに送信ボタンを押すまで5分。
『今日寒いね』
たったそれだけのメッセージに、
返事を30分悩む。
BARに来たたくとと目が合う。
「こんばんは、りゅうきくん」
「こ、こんばんは」
噛む。
店長が吹き出す。
「りゅうき」
「な、何ですか」
「面白いね笑」
「面白くないです😑」
店長はその日ずっと笑っていた。
そしてある休日。
二人はいつものようにご飯に来ていた。
たくとは向かい側。
りゅうきは目の前。
いつもと同じ。
なのに。
りゅうきだけが全然同じじゃない。
水を飲む。
目が合う。
慌てて逸らす。
また目が合う。
慌てて逸らす。
たくとは内心笑いそうになっていた。
(分かりやすすぎる)
そして。
「りゅうきくん」
「はい」
「最近様子おかしいけど、どうかした?」
「だ、大丈夫です」
即答。
でも声が裏返る。
たくとは思わず笑った。
「ふふ」
「な、何ですか」
「そお?」
楽しそうに笑う。
(少しは意識してくれてるみたいだ)
それだけで十分だった。
ここからのたくとは凄かった。
本当に凄かった。
今までのたくとは、
相手から来るのを待つタイプだった。
誘われたら行く。
好意を向けられたら応える。
そんな男。
でも今は違う。
初めてだった。
自分から欲しいと思った相手は。
だから。
容赦がなくなった。
「りゅうきくん」
「はい」
「今日髪切った?」
「え」
りゅうきが固まる。
「切りましたけど……」
「似合うね」
即答。
りゅうきの耳が赤くなる。
「そ、そうですか」
「うん」
たくとは平然としている。
でもわざとだった。
完全に。
別の日。
待ち合わせ。
「ごめん待った?」
「今来たところです」
「よかった」
そう言って。
たくとは自然にりゅうきの頭をぽんと撫でた。
りゅうきが停止する。
「……たくとさん」
「ん?」
「今何しました?」
「撫でた」
「何でですか」
「したかったから」
りゅうきはその後5分くらい静かになった。
また別の日。
食事の帰り。
「りゅうきくん」
「はい」
「俺といる時楽しそうだよね」
「え」
「違う?」
「……」
違わない。
むしろ楽しい。
かなり。
でも言えない。
たくとはそんな反応を見て笑う。
「可愛いなぁ」
「可愛くないです」
「可愛い」
「もう、言わないでください」
「無理笑」
そして。
たくと自身も気づいていた。
自分が本気になっていることを。
りゅうきの予定を覚えている。
体調を気にしている。
会えないと寂しい。
声が聞きたい。
会いたい。
全部初めてだった。
だから。
ある日。
りゅうきを駅まで送った帰り道。
たくとはふと空を見上げて笑った。
「俺、だいぶ重症だな」
自覚してしまった。
遊びじゃない。
興味でもない。
可愛いからでもない。
ちゃんと好きだ。
しかもかなり。
そして翌日。
たくとは店長に呼び止められる。
閉店間際のBAR。
「たくとさん」
「ん?」
店長は少しだけ笑った。
「珍しく、本気ですね」
たくとは一瞬黙る。
それから。
珍しく真面目な顔で答えた。
「うん」
迷いなく。
「本気だよ」
その返事を聞いた店長は、
ようやく少しだけ安心したように笑った。
「なら、頑張ってね」
「頑張ってる」
「まだ足りません」
「厳しいなぁ」
でも。
その頃のりゅうきはまだ知らない。
店長がもう、
たくとを警戒する側ではなく、
静かに応援する側へ回っていることを。
コメント
1件
ああ〜〜もう最高すぎて鼻血出そう!!!😭💕💕 りゅうきくんの恋自覚後の挙動不審が可愛すぎる…水飲んで目合って逸らしてのループ、分かりやすすぎて笑ったww たくとさんの「似合うね」「撫でた」「可愛い」の三連打、あれ完全に容赦ないやつ!!でもそれがたまらんのよ…店長が「本気ですね」って言うシーン、グッときたなあ。店長サイドの変化も静かに熱い🔥 二人とも重症すぎて尊い…次話絶対読む!!