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その日の放課後、私はなんとなく校舎裏へと足を向けていた。目的もなくぶらぶら歩いていると、どこからか楽しそうなバンドサウンドが聞こえてくる。音のする方へ誘われるように進むと、年季の入った扉が目に入った。軽音部室だ。
普段、部活動とは無縁の生活を送っている私には、未知の世界。でも、聞こえてくる音があまりにも魅力的で、私はそっと扉の隙間から中を覗いた。
そこにいたのは、予想通りの顔ぶれだった。
ドラムを叩くローレン・イロアス、ベースを弾くイブラヒム、そして、ギターを抱えた不破湊。
そして、もう一人。彼らとは違う制服を着た、見慣れない男子生徒がボーカルマイクを握っていた。透き通るような歌声が部室に響き渡り、私はその場に立ち尽くしてしまう。彼らの奏でる音に、私はすっかり魅入られていた。
気づけば、体が勝手にリズムを刻んでいた。音楽に集中しすぎていたのだろう。不破くんとローレンがふと視線を合わせた瞬間、私と目が合った。
「あれ、もしかして…〇〇ちゃん?」
不破くんがにこやかに手を振る。その声で、ローレンとイブラヒム、そしてもう一人の彼も私の存在に気づいた。途端に、彼らの演奏が止まる。
「げ、バレた」
「いいいいいつから!?」
名前も知らない彼から、少し照れたように尋ねられた。
「えっと、さっきから…」
「にゃは、もしかして、興味ある?」
不破くんが楽しそうに尋ねる。私は曖昧に頷くことしかできなかった。
どうやらボーカルの子は雲雀くんと言うらしい。いま中学三年生の子らしい。
うちの学校は中高一貫で中学生が高校生エリアに来ることはめずらしくなく、雲雀くんもその一人だろう。
雲雀くんはこの四人の中でも特に子犬のような存在だった。居るだけで場が和むような、そんな子だった。
「いまのどうした!?」や「〇〇先輩って部活入ってないんすか?」など、とても後輩らしい質問に私はニコニコで答えた。しっぽをふりふりしている犬みたいでかわいい。
それから、私は時々軽音部の練習を覗きに行くようになった。
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雲雀さんが後輩だったら毎日癒されそう😽
全力で撫でまわしたいですね😸