コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ただいまー!」
玄関を開けると、リビングからは既に賑やかな声が聞こえてくる。シェアハウスに住むのは、私と、学校1人気である葛葉、ローレン、イブラヒム、不破湊の4人だ。彼ら絶大な人気を誇り、ファンクラブも存在するほどのモテモテぶり。それに比べて、私はごく普通の一般人だ。なぜこの豪華な面子とシェアハウスをしているのか、時々不思議に思うこともあるけれど、居心地は最高だ。
「おかえりー、今日は遅かったな」
リビングから顔を出したのは、ひょろりと背の高いイブラヒムだった。彼の隣にはソファに深く身を沈めた葛葉がいて、コントローラーを握りしめている。
「うん、ちょっと寄り道してたからね。イブラヒムたちは?」
「俺とローレンと不破は、軽音部の練習終わったところ。葛葉は見ての通り」
ゲーム画面に集中している葛葉は、ちらりと私を見て「おつかれ」とだけ言った。
彼ら3人が軽音部でバンド活動をしているのは知っている。部活で彼らが演奏している姿は、普段の家での姿とは違って、本当にかっこよかった。私は特に部活動には入っていないけれど、彼らの練習を見に行ったりするのがちょっとした楽しみになっている。
そんな私の帰り道には、最近よく帰る人がいる。同じ学校の雲雀くんだ。彼はいつもかわいくて、素直な子だ。偶然、家が同じ方向だと分かってからは、下校中に会うと自然と一緒に帰るようになった。今日も、学校を出てすぐの角で雲雀くんに出会った。
「〇〇先輩!?お疲れ様です!!!」
「雲雀くんもお疲れ様。今日も練習?」
「いや!今日はテストの補習です!」
そう言って笑う雲雀くんと、他愛もない話をしながら歩く時間は楽しい。最近あった面白い出来事や、学校の先生のモノマネをしたりして、あっという間にシェアハウスまでたどり着いた。
「じゃあね、雲雀くん。また明日ね」
「はい、〇〇先輩も気を付けてくださいね!」
玄関で手を振って別れると、中から不破の声が聞こえてきた。
「あれ、今日も雲雀と一緒だったん?」
振り返ると、リビングのドアから顔を覗かせたのは不破湊だった。相変わらずの爽やかな笑顔で、少しだけ目を細めているように見えた。
「うん、偶然会ってね。家が同じ方向だから」
そう答えると、不破くんは小さく頷いた。
「そうなんか。 最近よく一緒にいるよな、二人」
彼の言葉に、私は「そうかな?」と首を傾げた。たしかに、雲雀くんとは話が合うから、帰り道でつい長話をしてしまうことは多いけれど。
「俺達とは帰ってくんないのになー、 」
「え?」と私が反応するとローレンがそれに便乗して
「俺達と帰ってくれてもいいなぁ?」
とニヤニヤした様子で私のことを見てくる。
もうなんなのかよくわからないが、これ以上からかわれたくなくて、私は「はいはい」と相槌をうった。
___________________
いますごい暑いですよねー。
熱中症に気をつけてくださいネ‼️☀️