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「い、嫌だなんて、そんなことは! むしろ夢みたいで……」って、そこまで口にして、つい舞い上がって心の声がダダ漏れになっていることに気づいた私は、
「あっ……と、でもあの、私とペアでなんて、矢代チーフの方こそ、その……嫌ではないんですか?」
どうにか気持ちを落ち着かせようと、そう尋ね返した。
「いや僕は、別に嫌なんかじゃない。それに夢みたいだとまで言われたら、男としてはやっぱり嬉しいからな」
薄っすらと気恥ずかしそうに笑って言うチーフに、胸の鼓動がとくんと跳ね上がる。
「だから、君さえ嫌じゃなければ、僕にプレゼントさせてほしい」
そこまで言われたら、もう断り切れなくて……。それにペアで買っても、お揃いで付けるわけでもないんだし……。だって、チーフとは別に好き合ってるとかでも、なんでもないんだから……と、そこまで考えたら、気持ちが高ぶった分だけ、急に虚しくもなった。
『好きな人と、ペアでどうぞ』というポップが目の端にチラついて、よけいに虚しさを感じさせる。
だけど、たとえそうだろうと、チーフとペアで持ってるってだけでも、やっぱり幸せに思えるもの──。
私は自分の気持ちにそう結論づけると、「はい、ではお言葉に甘えさせていただきますね」と、矢代チーフに笑顔で応えた。