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嫌われていないかと心配していたけれど、少し安心した。
そっか……
龍聖君くらいになると、普段から良い事も悪い事も色々言われてしまうのだろう。それはかなりのストレスだろうから、いちいち気にしてたら心臓がいくつあっても足りない。
やっぱり私とは生きてるステージのレベルが違う。
高校時代、みんなでやったロールプレイングゲームの世界だと、私の住む場所はレベル1の「村」だろうか。すぐに倒せる弱い敵、レベル1の最後のボスは……誰になるのか?
龍聖君は最高レベル10の世界にいて、たくさんの強い敵と戦って、ラストは素晴らしいお城を構える世界一の戦士となっていくはず。
龍聖君をキャラクターにした姿を想像するだけでキュンとなる。
鳳条グループのトップ――
きっとリアルの世界は、ゲームよりもはるかに恐ろしいところなのかも知れない。
まるで見えない頂上を、ただ下から何気なく見上げているだけの私とは、何もかもが違い過ぎる。
龍聖君には、凡人には想像もできないくらい、とてつもなく大きな使命があるんだ。
「そう言えば、お姉さんとは今まで1度も会ったことなかった。高校時代も、お前の家で見かけたことなかったし」
イメージが広がり過ぎたロールプレイングゲームの話は、いったん頭の片隅に追いやった。
「う、うん。早くから家を出て一人暮らししてたんだ。大学が忙しくて滅多に帰ってこなかったから。だからみんなとは会わなかったんだと思う」
私だってほとんど会えていなかった……
会いたくても、帰らないって言われて。
「そうだったんだな」
「うん、あのね。実は涼香姉さんが龍聖君に会いたがっててね。でも、無理だって言ってあるから。万が一、会社に来たりしたら、会えないってはっきり言ってほしいの」
「なかなか個性的な人だな。積極的というか。ああ、悪いけど、お姉さんとは……会えない。申し訳ないけど」
「い、いいの。全然いいの。気にしないで」
なぜか、少しだけホッとした自分がいた。
涼香姉さん……ごめん。