omr愛され
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<wki視点>
「あれ、?」
楽屋に入った瞬間、先程とは違い静かな室内に首を傾げた。スタッフさんもサポートメンバーの人たちも、いつもより声のボリュームが小さい。
元貴と涼ちゃんがいるであろう、ソファーに視線を向けると、その理由はすぐに分かった
端に座りスマホを見ている涼ちゃんの隣で、横になり身体を丸めて、小さく寝息を立てている元貴が目に入った。
俺が飲み物を取りに行っている間に寝てしまったようだった。
元貴を起こさない様に静かに2人に近付く。
「涼ちゃん〜」
「おかえり〜」
声を掛けると顔を上げ、涼ちゃんが笑う。
「元貴寝ちゃった」
「そうっぽいね」
2人で顔を緩ませながら元貴を見る。
深く寝入っているようだ。長い睫毛の下にはクマがくっきり出ており、最近元貴が寝れていないと話していた事を思い出す。
ふと元貴の身体を見ると、大量の上着がかけられていた。
「あれ?涼ちゃんこの上着は?」
「あー、それがね」
その時の事を思い出したのか、困った様なだけど嬉しそうな表情を浮かべた。
「寝ぼけた元貴に全員の剥がれちゃった」
その大量の上着をよく見ると、さっき涼ちゃんやサポメンが着ていた上着だと分かった。
近くに居た夏彦さんが笑いながら話しかけてくる、
「他のサポメンと話してたらいきなり寝ぼけた元貴に上着取られたんだよ」
その後も流れる様に一瞬で他のヤツらの上着も剥がれてすげー驚いたわ、
と他のサポメンと笑い合う。
誰かが、でも…と続ける
「こいつだからしょーがねーなってなるんだよなぁ〜」
楽屋の空気が穏やかだ
スタッフさんやマネージャーの表情もどこか柔らかい。
俺たちの周りは俺らの事を、性格を理解してくれている人ばっかりだ。
元貴の傍に腰を落とす… 床が冷たいけど気にしない。
ずっと変わらない寝顔を覗き込む。
顔は大人っぽくはなったけど、どこか幼さも残る寝顔。
警戒心の強い元貴が、俺たち心を開いた人にしか見せないこういう一面に優越感を感じたりする。
誰もを魅了する…現在進行形でたくさんの人魅了し続けている元貴。
元貴の魅力に気付いたら最後、彼の創り出す世界に引きずり込まれてしまう。
勿論……俺もその1人。
惚れ込みすぎか…?まぁ、でも事実だし…
グイッ
上着を引っ張られた感覚がして、
何かと意識を元貴に戻すと
パチり、とゆっくり瞬きする元貴と目が合う。この目はまだ寝ぼけてるな…と思わず笑った。
寝ぼけた目でもずーっと俺の目を見つめてくる、もうそれは穴があきそうなほどに。
気が付いたら俺の上着も取られ、
元貴の上にかかっていた。
あっという間で気付かなかった……。
また寝そうなのか、上着を取った犯人はうとうとしている。
………かわいい…!
横の涼ちゃんをふと見ると、元貴にスマホを向けて動画を撮っていた。
内緒だよというふいに口に人差し指を当てている。
…しょうがない、その動画で手を打とうと提案を目線で送ると、
任せろという風に大きく頷かれた。
……本当に伝わったのだろうか?
「元貴君、明日も早いしそろそろ解散にしますか?」
マネージャーが抑えめな声で元貴に声を掛ける。本当に起こす気があるのかと疑いたくなるほどの声量で
確かに…いつもの解散時間にはまだなってないが、 明日は今日と同じくらい早い。
可哀想だか、そろそろ帰って休まないと体力的に持たない。
この間だって無理をしすぎて、体調を崩していし…
「元貴、そろそろ帰ろ?」
元貴の肩をトントンと優しめに叩く。
モゾモゾと動いたかと思うと、元貴に手首を掴まれた。
「…まだ、や」
フルフルと首を横に振る。
「……いつもより…早いじゃん」
眉を少し寄せている。ちょっと拗ねてるなぁ…と思わず口元が緩んでしまった。
「家で休んだ方がいいんじゃないかな?」
涼ちゃんが微笑みながら元貴に提案する。
「……」
相変わらずムスッとしたような顔だが、どこか眠そうでまだポヤポヤしてる。
「…今日は、ひとりに…なりたくな、い」
「家で…最近ねれない……」
「みんなと…いると、あんしん、する……」
「……みんなと…まだいたい…」
「……さみし…い…」
寝ぼけているのか、普段言わないことを少し照れながら言ったあと眠気に負けたのか、
全員の上着に顔を埋め、寝息を立て始める
楽屋から音が消えた。
元貴の寝息しか聞こえないんじゃないかと思うほど、無音だった。
可愛い!!!!!
なんだあれは……?!?
顔が一気に熱くなった…思わず顔を抑える。 今絶対見せれない程顔が緩んでる!!!
あまりに周りが静かなので気になり、
涼ちゃんを見ると、
「…」
口に手を当て尊さに堪えている。が片手はしっかり動画を撮っていた。
後で絶対貰おう……。
少し顔の熱さが収まったため、周りを見渡してみると全員同じ様な体制だった。
……逆におもろい。
全員顔がゆるゆるで、突然のデレに堪えている。しばらくは全員動けそうにないな…と、
時計を見る。
いつもの解散時間まで約1時間。
その時までに元貴は満足してくれるだろうか……多分無理だろーな……
今日は俺の家に涼ちゃんと元貴を泊めようか、…そして明日は空き時間に涼ちゃんとサポメン全員で元貴が拒否るまで全力で甘やかしてやろう……
多分スタッフもスイーツとかくれそうだな…
今何人か元貴が好きなスイーツ注文してるし………
明日からは覚悟しておけよ、元貴
コメント
16件
ほんと好きです泣よければ繋がりたいです~🙌🏻
いや〜✨愛に溢れたお話、ありがとうございます! とても丁寧に書かれていて、情景も本人再生で脳内映像化できました! ほんわかしたお話、大好きです✨