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「……管理人。」
「どうしたの」
「 救いようのない悪でも、人を救うことは出来ますか」
天国行きの列車案内人、そしてロボトミーコーポレーション初期職員のラインハルトは……
時々、私に対する質問を放つ。
「ロボトミーコーポレーションが閉鎖された時、何故ピンポイントで僕たちだけがあの支部に残されたんですか。」
「僕たちが必死に逃がした職員も、結局は逃げきれなかったかもしれない。
生き残れるかもしれないという希望を無駄に持たせただけで、結局救えていないかもしれない。」
「あの日放たれた光は、今も鮮明に思い出せます。」
「一筋、あの部屋から地上へと伸びたんです。」
問と言うには回答者を待たなくて、どちらかといえば独り言に近いかもしれない。
「……管理人。私は、何故図書館に行けたのですか。」
「さぁ…ね。私には分からないさ…私は、Aでも、ましてやCでも無いからね…」
「でもわかるのは、君のよく分からない体質のおかげじゃないかな。」
「……」
ロボトミーコーポレーションでも、このバスにいる時も、彼はずっと、アブノーマリティに好かれている。
誰がなんと言おうと、口を噤んでしまうほど優しくて、人一倍強い。
自分が犠牲になって誰かを救えると聞いたら、喜んで請け負うだろう。
「アブノーマリティに好かれやすい体質。」
「そんな体質……」
「なら彼女はどうなんだ?彼女もその体質に寄せられたとでも?」
「……」
「彼女に対する君の心は、強固だった。自発的にegoを作り出してしまうほど。」
「いつだって処分はできた。アブノーマリティに肩入れするのは、望ましくない行為だった。」
「最初は仕事にも扱えるから見逃された。」
「でも、次第に私と…アンジェラは、いや、アンジェラがどうとかは分からないが、少なくとも、私は…」
「君を棄てられなかった。」
「……」
「図書館に選ばれたのもそれでいいじゃないか。難しく考えて、またコア抑制みたいになられたら困っちゃうもん」
「それで困るのは管理人だけでは」
「さぁ〜どうでしょうねぇ〜?」
どこか不自然なのは、セフィラたちだけで十分だよ……
そもそも、私だって、勝手にアイツに器にされて……
なんで、生きてんだよ…
「でもそうですね。」
「ここで考えるなんて無駄に等しいのに…… 」
「君が優しい証拠だね」
「そんなことないですよ、私は悪人です…」
「んなの決めてたら都市のほとんどの人間が悪人だよ」
「……そうですね」
「そーそー。気楽に行こうや、気楽に。」