キャプション必読!
・マシュセル、双子パロ
・原作軸、生後半年でマッシュはセルを連れ、マゴル城を脱出→原作通り自害寸前のレグロと出会い2人は双子としてレグロのもとで育った。
・捏造、誤字脱字、独自追加設定等注意。
・原作寄りですが原作に忠実では無いです。
・私自身、腐が主食の基本箱推しで最推しセル君の推し総受けに推し愛され、推し虐が性癖。
カプ要素は今のところマシュセル、セル愛され予定です。他のカプ要素も今後出てくる可能性大です。
・マッシュくんがブラコン(セルの)
・セル君がキャラ崩壊(気味)しています。
・先に謝っておきます、私自身文才もなく、本当に読みにくい文書だと思います。マッシュルは原作全巻、アニメ、小説、ファンブック等読了済みですがフワっとしか読んでいない(何度も読み返してはいますが)+独自で解釈とかあまりガッチリしないので?解釈違い等あるかもしれません。それに 完結するかも分かりません。ですので本当に何でも許せる方のみ、頭を空っぽにしてこの先をお進みください。
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セル・ウォー
生まれつきの二本線でマッシュの双子の兄。本来ならセルもレグロやマッシュと同じバーンデット姓なのだが、万が一魔法警察にマッシュの事がバレた際、セルだけでも助かるようにとレグロがマッシュとは違う姓をつけた。マッシュの事がバレた際は一緒に同行しようと思っているが、魔法警察からマッシュを守るために今まで魔法の勉強をしてきた弟想いのいい子。シリルの実子なので原作より強い魔力を持って生まれた(ドミナといい勝負するぐらい)
マッシュ・バーンデッド
魔法不全者だが、筋肉が全てを解決する最強の双子の弟。セルとシュークリームが大好き。無自覚ブラコンで、いつもセルにくっついている。勉強は嫌いだが、セルと一緒にする勉強の時間は好き。セルが幼少期からある程度の勉強を教えていたこともあって、原作よりかは少しマシになった(5-2=28にはならなくなった。)。でも脳筋なのは相変わらずで何かやらかしたらその度セルに怒られる。ドアの開け閉めを覚えていないのは相変わらずのこと。
レグロ・バーンデッド
セルとマッシュに助けられ、育てることを決めた心優しい養父。2人のことは平等に愛しているがやはりしっかりしているセルにいつも頼ってしまう。セルのことはもちろん信頼しているが、レグロにとっては2人とも幾つになっても可愛い息子なのは変わらない。マッシュの事もあってセルには日々苦労をかけている事を申し訳なく思っている。
追加設定
セルとマッシュは真逆の性格をしているが、双子だからか相性は良い。
どっちが兄か、実は2人も知らないのだが、マッシュがセル君の方がお兄ちゃんな気がすると言ったことでセルが兄になった(セル自身も多分マッシュが弟だろうなとは思っていた。)
セルは態度には出さないがちゃんとマッシュのことは大切で、マッシュのお願いは中々断れない(無自覚)
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ここは魔法界。みなが当たり前のように魔法を使い当たり前のように魔法が日常にある世界。魔法は神から与えられたものとされ、魔法の巧拙によって身分が変わる。
「筋トレ後のシュークリームは格別である」
そんな世界の深い森の中にこの世界とは相反する彼はいた。
「あ、セル君ただいま。どこか出掛けるの?」
「おかえり、あぁ父さんからおつかいを頼まれてな」
「そうなんだ、じゃあ僕も…」
「ダメだ。」
「ガーン…でもセル君、1人だと危ないよ。」
マッシュはの双子の兄であるセルに対して過保護だ。マッシュは魔法が使えない代わりなのか強靭な身体を持って生まれた。それに加え幼い頃から養父であるレグロに筋トレを勧められてこなしていたからか、魔法が使えない者でありながら二本線のセルより強い。
一線魔導師…この世界のほとんどが一線魔導士に該当する、が10万人に1人の割合でアザを2本有して生まれてくる二線魔導師も存在する。
そう、セルも10万人に1人の割合で生まれてきた二線魔導師なのだ。それに加え、二本線の中でも1部の人間にしか使えないセコンズも、その更に上を行く三本線のサモンズも使える。それに加え自身を守るための硬い表皮だってある。普通、魔法学校にも行かず、普段から魔法に触れる機会が無かったセルがここまで強いのは、もちろん自主的に独学で魔法の勉強をしていたのもあるが、規格外の強さを持つマッシュの存在が大きい。人は近くに強い(優秀な)人がいれば歪んだ嫉妬を持つこともあるが、2人の場合、お互いに魔法が使えないマッシュと二本線で魔法の使えるセル、だが戦って強いのは強靱な筋肉を持つマッシュで、マッシュには負けるのがセルとお互いどうしようもない差があるとこから2人にそんな歪んだ嫉妬なんて感情はあるどころか、お互いに相手は(色んな意味で)強いと思っている。
「何度も言っているが、お前には劣るが僕も二本線だ。そう簡単に……」
「確かにセル君強いけど、セル君可愛いからすぐ誘拐されちゃうよ。」
マッシュは幼少期から度々セルのことを可愛いと言う。2人は双子だ。一卵性か二卵生か問われたら微妙な所だが(恐らく二卵生)、身長体重と体格もほとんど同じだし(マッシュには超ムキムキな筋肉があるが)、顔もそこそこ似ている。唯一自信を持って言える違うところと言えば髪色とアザの有無(と筋肉量)だろうか。マッシュは紺色よりの黒髪マッシュでセルは金髪だ。
つまりマッシュは自分とほぼ同じ顔をしている兄のことを可愛いと思っていることになる。いや、流石におかしいだろう、とセルは言われる度に言っていたがそれでもマッシュは言うのをやめないのでもうツッコむのもやめた。
「…はぁ、冗談もいい加減にしろ。とにかく僕はもう行くから。」
「待ってよ、お願いセル君。」
「……はぁ…分かった。すぐ準備しろよ」
「…!…うん」
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ワシの名はレグロ・バーンデッド、2人の息子と3人で暮らしているシックでエレガントな75歳じゃ…
この歳になると大概の事にはイライラしなくなる。何故なら積み重ねてきた経験がストレスに対処する方法を教えてくれるからじゃ。
ガタガタガタガタガタガタ……とん……バギィ…
「ルァァァアァアッ!!」
「あ、じいちゃんただいま。」
「なんで毎回ドア壊して入ってきてんだマッシュ!!そしてセルは何で代わりに開けなかったの!!」
「ごめん、じいちゃん。直すよ。 」
「マッシュが自分で開けるって聞かないから、今度こそは間違えない自信があったらしい。」
「そ、そうか。」
「うん、でも外してしまいましたな。あ、じいちゃん僕ドアなおしたらセル君と街に行ってくるね。」
「セルが一緒なら構わんが、くれぐれもローブを脱ぐんじゃないぞ?それに目立つ行動は避けること。」
「うす。」
マッシュがなおそうとしたドアを再び壊すという事件は発生したが無事ドアをなおすことができた。
「セル、マッシュを頼んだよ。」
「うん。」
「マッシュ、さっき言った事は覚えているじゃろうな?」
「う……うんもももももちろん」
「大丈夫じゃろうか…」
「じゃあじいちゃん、行ってくるね。」
「いってきます。」
「あぁ、行ってらっしゃい。」
そう言って2人は街へ出かけた。
「セル君、今日は何買うの?」
「今日は食材だな。あそこにある市場で大体買えるだろ。 」
2人が暮らしている山奥から1番近い街には3つの大きな市場がある。その市場でほとんどの食料を調達しており、もちろん山奥に住んでいるので山菜(たまにマッシュがクマを持ってくる)等に問題はないが、やはりそれだけでは足りないのである。
それにしてもやはり市場は混雑している。そのほとんどが一線魔導師で、たまに見かける二線魔導師はやはり目立つ。セルもマッシュと同じくローブを羽織っているので2人が目立つことはローブを脱がない限りないだろう。そしてこの人の多さ、こんな調子でもたもたしていたら帰る頃には夕日が見えるのではないだろうか。
「おいマッシュ……って…いない…… 、」
はぁあぁぁぁ、マジか。マッシュとはぐれてしまった。あいつ1人だと何するか分かったもんじゃないから早く見つけないと。ついさっきまで一緒にいたからそんなに遠くまで行っていないはずだが…とにかく人が多すぎて探そうにも見つからない。
一応マッシュにつけていた(対象者が周辺にいると反応する)探知魔法を発動させたのですぐに見つかるだろう、というか見つかってくれないと困る。
―――
一方その頃マッシュは…
「あれ、セル君は…?」
セル君がいない。もしかして誘拐された?セル君可愛いから十分に有り得るし…。でも僕が隣にいる時に誘拐されるのはありえないからセル君は誘拐されてない?
そういえばセル君がいなくなる前は確か市場にいて、その後僕がシュークリームの匂いにつられて…僕がゴブリンシュークリーム買った時にはいなかった…?しかも買ったあと何故か騒がれたし。シュークリーム屋さんのおじさんにも何か聞かれそうになったし…。もしかして皆僕のシュークリーム狙っているのかな。
「おいしーおいしー」
僕が騒がれた理由は分からないけど、セル君がいるのは多分市場ですな。早く戻らないと。
ドン
「あっ、すみません」
セル君の事を考えていたら少し小太りな警官とぶつかってしまった。
「オイオイオイ何してくれちゃってんだ職務中なのにヨォ。オレぁお前ら一般人を守ってやってる魔法警察様だぞ? 」
この警官はだいぶ酔っ払っていて、魔法警察って職務中にお酒なんて飲んでよかったのだろうか。それ以降も暴言を吐かれ、何だか可哀想だったからシュークリームを渡してあげるとさらに怒ってしまった。もう面倒臭いので、カスタードのついた服を破ったらまたさらに怒ってきた、え、こわ。
「どうしたテリー」
「ブラッドさんこいつが……!!」
テリーと呼ばれた少し小太りな警官の後ろからさらに警官が現れた。
「つまんねぇことで騒ぐんじゃねぇ。」
マッシュは小太りな警官から目が離された途端シュークリームを食べ始めた。
いや、この状況でシュークリーム食べるか普通。
その時、唐突にマッシュの養父であるレグロが現れ『うちの息子がすみませんでしたァァァー!』と叫びながらマッシュを担ぎその場を後にした。
―――――――――
少し時を遡ってセルとマッシュが出かけた15分後のレグロside
「マッシュとセルは、大丈夫かのぉ。」
セルがいるから大丈夫じゃと思うのだがやはり心配じゃのう。それに、今まで一度も感じたことなどないんじゃが、何故か嫌な予感がする。
老いぼれのただの勘なのじゃが、マッシュの事については取り返しがつかん。
そう思うとじっとしてられん。ワシも街へ行こう。そして何も無かったらそれで良いんじゃ。
――――――
「マッシュ、セルはどうした 」
レグロはマッシュを担ぎ、家に帰宅した。
「ええええええっと、せせせるくんは突然いなくなって… 」
「突然いなくなったじゃと?」
「多分僕がシュークリームの匂いにつられた時に…」
「はぁぁぁ、それはセルが居なくなったんじゃなくてマッシュがセルの前から居なくなったのじゃろ、あれだけ目立つ行動はさけろと言ったのに…」
「ごめんなさい。」
ズーンという、効果音と共にマッシュが、レグロに謝罪する。
レグロはマッシュの事をこれ以上は叱らなかった。もちろんセルの事を責めるつもりもない。
「まぁ一応罰として今日の午前にやったメニューをもう1回やってこい。」
「うす、あ、これじいちゃんとセル君の分のシュークリーム。」
「あっ、ありがとう 」
「セル君、心配だけどきっと帰ってくるよね。」
「あぁ、セルは聡い子じゃ。もう少ししたら一度マッシュが帰ってきていないか確認しに家に帰ってくるじゃろう。」
「そっか。そうだよね。じゃあ行ってきます。」
バタム(扉が閉まった音)
ひとまずマッシュは筋トレに行かせた。マッシュにはああ言ったが、セルは帰ってくるだろうか。セルは真面目で優しい子だ、夜まで探す可能性だってある。だからセルを迎えに行ってやりたい。だがセルのところへ行けばマッシュが危ない。今、街では騒ぎになっている為マッシュと一緒に行くなんてことは論外だ……つまりワシはここを動けない。
魔法警察にマッシュの事を知られてしまった。
いつかは来る事だったのだ。それが今日だっただけ。逆に今まで隠れられていた方が凄かったのだ。実際、魔法不全者は生まれた直後に分かる。そして魔法界のルールで魔法不全者は魔法局に身柄を渡さないといけない。それは魔法が絶対的な魔法界において、魔法不全者はその魔法を否定する存在だからだ。
マッシュのように家族が魔法不全を隠して生きている魔法不全者も存在するがそれは極稀で魔法局によって幼いうちに殺処分されるのがほとんどだ。つまり魔法不全者は魔法界において生まれた時から人権など存在しないのだ。
――――――
一方その頃セルは…
マッシュがどこにもいない。探知魔法を使って探しても何も反応がない。
まさか魔法不全がバレて魔法警察に連れていかれたか…?いくらマッシュでも隙を狙われて大勢でかかってこられたら…いやどうだろうな、あいつなら筋肉で解決しそうな気もするが…。
どっちにしろ魔法不全がバレた事も視野に入れて探さないといけない 。
――
マッシュがいなくなってから5時間、そろそろ日が沈んでいく時間だ。
5時間も経てば少し落ち着き、とりあえず市場で買い物を済ませた。もしかしたらマッシュは先に帰ってるかもしれない、これが5時間探して無理矢理考え出した答えだった。それに例え魔法警察に連れていかれたとしてもマッシュなら何とかなってるだろ、あいつ強いし。 もし、マッシュが帰ってきていなかったらその時はもう一度父さんと一緒に探そうと思う。
――
「あっ、セルくんおかえり」
「…ッ…!…お前、僕がどれだけ探したと思って…」
「ごめんなさい」
「セル、おかえり」
「ただいま、父さん。これお使いの…そして遅くなってごめんなさい。」
「あぁありがとう、そうじゃの。マッシュから話は聞いた。2人とも無事に帰ってきてくれて良かった。」
レグロはセルを責める事無くセルを迎え入れた。
「セル君、僕魔法学校に行くことになりました。」
「は?お前が?何で」
「あそこに魔法警察の人いるでしょ?その人に僕が魔法使えないこと知られちゃって」
「は?魔法警察?!それに魔法が使えない事を知られただと?…どういうことだ。」
「どーも。魔法警察のブラッド・コールマンだ。おいじいさん、もう1人息子がいたのか、しかも二本線の。 」
「あぁ、マッシュの双子の兄でセルじゃ。」
「父さん、魔法警察がなんでここに…本来なら捕まるはずじゃ…。」
「そうじゃな。さっきマッシュが言った通り、マッシュがセルとはぐれてから色々あって魔法警察にマッシュの存在が知られてしもうてなぁ、そこから家に突撃されてそれをマッシュが追い払ったら、この警官から取引の申し出があったんじゃ。 」
「その取引と魔法学校とどう関係が?」
「簡単に言うと、こいつには魔法学校に行って神覚者になってもらう。俺が欲しいのは神覚者に付属する金品や権利だ。だからこいつが神覚者になれるよう援助はするつもりだ。まぁ二本線のお前が行った方が神覚者になれる確率は高ぇだろうな。」
「……魔法学校か…」
「え、セル君も一緒じゃないの?」
「ワシとしては一緒に行ってくれた方が安心なんじゃがなぁ。」
「ハハッ、流石の俺でも2人通わせれる程の金はねぇぜ、まぁでも兄の方が勉強出来るんだったら、特待生として入学免除が効くかもなぁ。当たり前だが基本魔法界では二本線が優遇される、流石に試験は平等だろうがそこで上位になれば入学免除が可能かもしれねぇ。」
「………」
「セル君はすごく頭いいよ。いつも僕に勉強教えてくれるし、難しい参考書読んでるし」
「セルは聡い子じゃから大丈夫じゃ。」
この3人はマッシュが行くこと前提に話を進めているが、普通に考えればさっきブラッドが言っていたように、セルが行った方が神覚者になる確率は高いだろう。なんせセルには神覚者になれる素質が十分にある。魔力は二本線の中でも上位層と言えるだろう。実技もセコンズ、サモンズを使える実力を持つ。それに座学も幼い頃から勉強していたこともあって、基礎魔法+応用魔法に各固有魔法、各教科魔法の知識が豊富で、魔法薬学の調合だって出来る。それに頭の回転は早いし記憶力も人並み以上にある。
だがマッシュとセルの目的は魔法不全者を軽蔑する世の中をぶっ壊し神覚者になって魔法不全者の地位を上げること。その点に関しては魔法不全者のマッシュが神覚者を目指した方が説得性があり得策だろう。
「セル、魔法学校に行きたいんじゃろう?今まで行かせてやれなくてすまなかった。もし、特待生がダメだったらワシが出そう。セル、楽しんでおいで」
「えっ、いやでも…」
「いいんじゃよ。マッシュも1人だと寂しいじゃろう?」
「うん、僕セル君がいないと寂しいしセル君が行かないんだったら行きたくない。」
「父さん…ありがとう。」
「あぁ。」
こうしてセルとマッシュはイーストン魔法学校の入学試験を受ける事が決まった。
「マッシュ、そうと決まれば試験日まで試験勉強だ。一応大体の基礎は今まで教えたので何とかなるだろ。イーストン魔法学校は最初に筆記、そして実技が大半を占めるらしい。お前なら実技は何とかなるだろうが筆記はマズイだろう。 」
「あば、あばばばばばば」
それから試験までセルとマッシュは基礎の復習をしたり、2人の戦力を高めるための模擬戦を行ったりと(なおマッシュはセル君とは戦えないと戦闘を拒否ったがセルが無理矢理開始した。)2人は出来るだけのことはした。
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試験当日
イーストン魔法学校。
魔法界の中枢を担うエリートを送り出してきた由緒ある名門校。編入試験は当然超難関。
イーストン魔法学校に志願する者の多くは名門貴族の者や魔法局事務次官の息子etcと世間的に有名な家の者が多く志願する。 もちろん試験を受けるのに貴族平民関係ない。平民の志願者もいるにはいるが、やはり貴族の志願者の方が圧倒的に多い。
そんな中、志願者の中のある双子の片割れは筋トレをし、もう1人の片割れは熱心に魔導書を読み込んでいる。
「本当に大丈夫なのじゃろうな。」
「オレの段取りが信じらんねぇのか?アザも本物そっくりに作ってある。多少面白いもんが見れんぜ。」
そう話すレグロとブラッド。
白いハチマキを頭に巻き、グラサンに全身黒い服、隠れてるつもりなのか両手に木の枝を持ってマッシュ達を見守る2人。 格好だけ見れば明らかに不審者で、学校関係者が何も言わないのが不思議なぐらいだ。
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試験開始
最初の試験はセルの言った通り筆記問題だった。だが科目ごとの筆記ではなく、試験官であるルッチがかけた動く文字を整列させる問題であった。この問題自体は簡単で、正しく答えを回答し、文字を綺麗に整列させることがこの試験の合格基準だ。
つまり魔法の使えないマッシュに魔法でしか回答出来ない問題をクリアするなんてことは不可能だろうとセルと後ろの2人(レグロとブラッド)は思っていた。
「動かれると困るんだけど」
そんな3人の考えとは裏腹に、マッシュは魔法のかかった紙に脅しをかけていた。
「動かれると、困るんだけど。」
一回目よりさらに強く言い放ち、ペンを片手で折って見せた。
紙はマッシュに怯えたのか、文字が自分で整列し、マッシュは無事第1試験をクリアした。
もちろんセルも容易にクリアし、2人揃って第二試験へコマを進めた。
それから第三、第四とこなしていくうちに最後の試験が訪れた。
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実技での最終試験は迷路だった。制限時間内にゴールをすれば合格という単純な試験だった。志願者は皆バラバラに配置され、セルとマッシュも離れた状態で試験はスタートした。
セルはまず、探知魔法でこの迷路全体の構図を把握した。所々に罠が仕掛けられており、罠を避けゴールをする事は不可能で必ずいくつかの罠を通らないとゴール出来ない仕組みになっていた。
ただ罠の場所、ゴールまでの道がわかっているセルには罠を対処する事は容易く難なくゴール出来た。
制限時間20分余りを残したセルは、 やはりゴールにたどり着くまでにマッシュを探し、一緒にゴールした方が良かったのではないかと考えた。
マッシュならと信用しているが、やはり心配は心配である。
残り10分になると受験生達が続々とゴールにたどり着き始めた。だが、その中にマッシュの姿はない。まだ時間はあるがマッシュの事だ、この前も迷子になったし迷路は決して得意分野ではないだろう。
それから残り時間が9分、8分と減っていく。それでもゴール地点にマッシュの姿はない。
「…クククッ」
残り時間が3分になった時に近くにいた試験官から不穏な笑い声が聞こえた。この試験を監督する、確か奴の名前はクロード・ルッチ。 第1試験が始まる前にマッシュが無自覚に煽っていた人物だ。面白かったから止めなかったがやはり止めた方が良かっただろうか、実際恐らくマッシュの事でご立腹のようだし。まぁ煽り耐性が低いのも問題だと思うのだが。
ドンガガガガガガガガガガガガガガガガ
「壁がァァァァ!!」
「一直線でつっきってきやがったぁぁぁ!!」
確か厚さ1m、いかなる強力な魔法をも防ぐ壁だったか。
マジかあいつ。さすが脳筋筋肉ゴリラとしか言いようがない。
そう、マッシュは厚さ1m、いかなる強力な魔法をも防ぐ壁を(筋肉で)壊し、強制的にゴール?したのである。
そんなマッシュの様子を他のゴールした志願者達が帰れ帰れと野次をとばす。
確かにマッシュがした事は規格外で、反則だと言われたら否定できない。だが流石の脳筋マッシュでも考え無しに壁を壊すとも思い難いし…いや、あいつなら有り得なくもないが、概ねマッシュの隣に居る金髪にリボンを付けた女と先程不穏な笑みを浮かべた教師が関わっている気がする。
「やめてあげてください!!彼は悪くないです!!私が意図的に邪魔したんです!!ルッチ先生に言われて…!!」
それから金髪の女は、マッシュの事を邪魔した経緯と理由を話し始めた。
自分の家庭が貧乏で家族の為にも何とか入りたかった事、試験官のクロード・ルッチからマッシュの事を足止めしたら合格にしてやると言われた事、そんな金髪の女がマッシュに助けられた事、そしてマッシュが結婚してくれと言ったこと等…結婚についてマッシュは否定していたが、他の事については何も言っていなかったので概ねそういう事だろう。
つまり、この試験官であるクロード・ルッチの私情でマッシュ(と金髪の女)は巻き込まれた被害者なのである。
「フン、そうだ悪いか?私は試験官だ。気に入らない奴を蹴落として何が悪い?」
そうクロードルッチが発言する。
確かに人間として、その感情を持ち合わせるのは悪くないかもしれないが名門校の試験官として自我を出しすぎるべきではないだろとは思う。ここで僕がマッシュを庇うと更に面倒くさいことになるのは目に見えているからここを動けないし…。
まぁこういう奴は何処にでもいる…か、実際あの警官だって完全に私情だったしな。
僕がそう考えているうちにも、クロード・ルッチはマッシュと金髪の女に暴言を吐く。その光景に僕を含む他の志願者達も絶句している。
「お前ら2人は不合格だ。文句があるなら私に盾つくか?イーストン魔法学校のエリート教師であるこの私に!!もっともそれが出来たらの話だがな!!」
そう言ってクロード・ルッチがマッシュに杖を向けた。いや何やっているんだよあの試験官。もうめちゃくちゃで試験どうこうというのでは無くなってきた。流石にマッシュに手を出すなら、いくらマッシュが強くても関係ない、僕が代わりに相手をする。
「言い過ぎですよ先生。」
マッシュはルッチの杖を折った。しかも躊躇なく。
あーこいつそういうところあるよなマジで。
「静まれ!!」
そう思っていたのも束の間、突如としてイーストン魔法学校校長であるウォールバーグ・バイガンが上空から現れた。急に現れたので志願者達は皆混乱していたが、彼の場を収める一言でこの場は静まり返った。
ウォールバーグ校長は試験官であるルッチを退場させ、最後は自身が監督になって試験が執り行われる事になった。
ウォールバーグ校長が監督する試験は面接だった。ウォールバーグ校長はかつて魔法界を治め神覚者で英雄、そして現魔法界で最も強いとされている人物だ。そんな人が監督する面接、100%普通ではないだろう。
何故かマッシュが1番最初に呼ばれ、次に僕は気がついたら面接室?にいた。
「…ッ!…ここは…?」
「意識を失った状態で連れてきてすまんかったのう。ここはワシが魔法で作った試験部屋じゃよ。そしてお主に今から最終面接を行うつもりじゃ。」
「よろしくお願いします。」
オールバーグ校長を含めこの学校の教師軍だろうか、部屋の中心にいる僕に部屋の上からの視線が痛い。
「では最終面接を始めるとしようかのぅ。」
(セル・ウォー。この子がマッシュ・バーンデッドの1番大切な人物か。姓は違えど顔に背格好とよく似ておる。おそらく兄弟じゃろうか。マッシュバーンデッドには偽の痣があり、おそらく彼は魔法不全、だがセル・ウォーは二本線、しかも二本線の中でもかなり高い魔力を持つ…。かつて友人だった奴の魔力が密かに感じるのはもしかして…。いや流石に考えすぎじゃろうか。二本線で、おそらくこの学年…下手したらこの学校の生徒の中でトップクラスの魔力量を持っておる…おそらく神覚者にも準じる程。それに編入試験も首位か。とても優秀、こんな才能が今まで埋もれていたとはのぅ、是非この学校で魔法の使い方を学んでほしい。そして、もし目指す意志があるなら神覚者にも…。)
「まず最初に、何故我が校を選んだのかを聞こう。」
「家族を守るために色んな魔法の使い方を学びたくて」
(家族を守る。そうか、やはりセル・ウォーは魔法不全者であるマッシュ・バーンデッドを守るために…。)
「君は今まで勉強はどうしておったのじゃ?資料に初、中等部卒業の記載は無かったが。」
「独学で勉強していました。今までは経済的に通うことが難かしかったので、参考書や魔導書を閲読して学んでいました。」
「ほう、それは大したことじゃ。では最後の質問、先程君は魔法の使い方を学びたいと言っていたが、神覚者を目指す気はないのじゃろうか?」
「いえ、家族を守る為にも神覚者を目指すつもりです。」
(兄弟揃って神覚者を目指す、何かの事情を抱えこの学校の試験を受けた事は間違いないだろうが非常に面白い。)
「そうかそうか、ようこそイーストン魔法学校へ。」
セルと、セルの前に面接を終えたマッシュは無事2人揃ってイーストン魔法学校編入試験に見事合格した。
面接はあっさり終わり、セルはマッシュと合流した。セルと合流した途端マッシュはセルの腕に自身の腕を絡ませ、セルにひっつく。マッシュがセルにひっつくのは幼少期の頃からなのでセルも特に嫌悪感を持っていない。まぁ流石に人前ではやめて欲しいとは思っているが、マッシュの場合言っても聞かないのでもう言うのは諦めている。
「セル君、僕合格したよ。」
「そうか。おめでとう。」
「セル君もおめでとう」
「あぁ。」
「マッシュ、前も言ったが僕も一応神覚者を目指すつもりでいるが、やっぱりこの世界の認識を変える為にもお前がなるべきだ、だから僕はあくまでサポート役、魔法の事で何か困ったら僕を頼れ、分かったな。」
「うす。」
これから2人のイーストン魔法学校生活が始まる。マッシュは無事神覚者になれるのか。次回、学校生活始動。
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