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・原作寄りですが捏造酷いです。悪しからず。・私の解釈で物語が進んでます、解釈違い等注意
(原作を読み返してみても特に強さとか殆どのキャラがマッシュ(異次元の強さを持つ)としか対決してないので、強さの規準が完全私の解釈です。原作のセル君は個人的に不憫キャラで弱いとか言われてるけどサモンズ使えるし、アベル様一撃だったから普通に強いと解釈しています(お父様と6兄弟が強すぎるだけ)。ちなみにこの作品の中だと、ドミナと一緒くらい(ドミナの方が若干強い)の強さを想定しています(お父様の実の息子なので)。実際どうなのかは別として、個人的に強さランキングとか考えるの結構好きです。)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
セルとマッシュは無事イーストン魔法学校編入試験に合格した、のだが…。
「セル君今頃何してるんだろ。」
無事、イーストン魔法学校に合格した所までは良かったのだが、なんとセルとマッシュは所属する寮が別になってしまったのである。
イーストン魔法学校は全寮制で、3つの寮が存在する。
勇気と信念を掲げるアドラ寮、知性と勤勉を掲げるオルカ寮、才能と自尊心を掲げるレアン寮に別れ、寮同士は互いにライバル関係にあり、己が主義主張を体現するがためこの学校で切磋琢磨する。
マッシュはアドラでセルはオルカと、性格や得意分野が全く違うが故に違う寮になってしまったのである。
学校生活1日目、初日は各クラスごとでの自己紹介を終えた後、早速授業が始まった。
アドラ寮の最初の授業は初歩的な鍵を開ける呪文を習う授業だった。
マッシュは魔法が使えないので、持ち前の筋肉で鍵を開け、(壊した)その行動で先生から目をつけられる事になった事をマッシュは分かっていなかった。
―――
一方その頃オルカ寮にて…セルside
マッシュはうまくやれているだろうか。流石に初日からやらかすなんてことはやめて欲しい。
オルカ寮も各クラスでの自己紹介を終え、早速授業がスタートした。
授業といっても最初の授業なので、基本的な薬草の名前や基礎的な魔法薬学の調合方法を確認する授業で、本格的な授業をするのは明日かららしい。
そんな授業も終わり放課後、早速友達を作ろうと教室に残っている生徒が数人、他はそそくさと自室に戻る生徒が殆どでオルカ寮生の性質的に人と関わるより研究や勉強が第一なのだろう。ちなみにオルカ寮生は一人部屋の融通が聞くらしく、セルも一人部屋だ。
これから何をしようか。部屋に戻って魔導書を読むのもいいが、マッシュを神覚者にさせる為にも神覚者や魔法局の事について知っておきたいししっかり情報を掴んでおきたい。よし、今日は時間があるし図書室へ行ってみるか。
なるほど、神覚者のなり方は分かった。
魔法警察であるブラッドからイーストン魔法学校へ通い、そこで神覚者試験を受け、そこで勝ったら神覚者になれるという大まかな情報は聞いていたが具体的ななり方は聞いていなかったし、ブラッドもイーストン魔法学校の内部情報までは詳しく知らないだろう。
神覚者になるにはまずコインを集めなければならない、コインには金銀銅の3種類あり例年であれば神覚者試験までに金のコインを5枚以上集めることが神覚者の試験を受けれる条件で__… コインの入手方法は授業や課外活動でいい成績をとったり他の生徒とコインをかけて決闘をしたりして集めるらしい。ちなみにコインを賭けての決闘以外で戦いの魔法を使う事は禁じられているとも記されていた。
神覚者のなり方は分かったが正直、神覚者って何だ。山育ちの僕からすればとにかく強くて魔法界で1番権力を持つ人という認識でそれが正解なのかも知らない。そもそも魔法界の中心である魔法局についても、魔法界で1番影響力のある組織で魔法不全を軽蔑する世界を作った組織ということ以外よく知らないし僕の中ではそういう認識だから、僕からしたら魔法局も神覚者にもあまり良い印象は持っていない。
へぇ、神覚者って文字通り神に認められた者か、神覚者になれば神に認められたとされ、神の称号が与えらられる。そもそも魔法は神が人間だけに与えた奇跡の__……ってこの世界の人間は神に信仰心あり過ぎだろ。
この世界で魔法不全者は神から魔法を与えられなかった者とされ、魔法の使えない者は下賤な血であり魔法不全者は排除すべきという世間の認識からルールとして成り立っている、全ては神の為…か。
父さんから神についてあまり聞かされていない僕からしたら実際に会ったこともない、言ってしまえば空想上でしかない存在をそこまで信仰する理由も、神を理由に人を殺すのが当たり前な世の中の風潮も僕には理解し難いし僕は許せない。
こんな腐った世界今すぐにでもぶっ壊したい。いや、絶対にブチ壊してやる。
「こんにちは、ちょっとお話いいかしら? 」
僕よりだいぶ上背のある、女のような話し方をするオルカ寮生のローブを着た男が突然僕に話しかけてきた。
「貴方は… オルカ寮監督生の…」
「そうよ、アタシはマーガレット・マカロン、貴方はセル・ウォーでしよ?編入試験首席入学らしいじゃない?貴方その本を読んでいたって事は神覚者を狙っているのね?どう?アタシと勝負してみない?」
「コインを賭けて、ですか?」
「えぇそうよ。でも貴方はまだコインを持ってないでしょう、だからこうしましょう、もし貴方がアタシに勝てば銀コイン2枚あげるわ。その代わり貴方が負けたら5日間、アタシの手伝いをする。どう?なかなか悪くない条件だと思うわ。」
「分かりました。やりましょう、勝負。」
僕がそう言うとマーガレット・マカロンは杖を持ち、転移魔法を唱えた。
「ここは?」
「イーストン魔法学校敷地内の森、 木は多いけど戦闘には申し分ないはずよ。」
「そうですか。」
「えぇ、報酬はさっき言った通り、 決着は相手が降参するまで、いいかしら?」
「はい。」
「それじゃあいくわよ。」
「サウンズレ」
「カーボレイン」
(!!!アタシの魔法が打ち消された。お互いに初級魔法なのは間違いないようだけれど、それでも今の攻撃はセル・ウォーの方が圧倒的に強かった。セル・ウォーの固有魔法は炭素、そしてアタシは音、いい音が奏られそうね。 )
「貴方、中々いい筋しているじゃない。」
「どうも」
「サウンズファ」
「カーボレイン」
(…ッ、音を高くして威力を上げてみても変化はない。だったら…)
「サウンズサラウンドオーケストラ」
(この魔法は流石にやりすぎちゃったかしら。)
「カーボレイン」
「ッ…!!」
(セル・ウォー、まさかアタシの魔法を受けて無傷だなんて…しかも逆にアタシの方が攻撃をくらってしまった。土煙で何をしたのか見えなかった、何をしたの、一体)
「今、何をしたのかしら?この魔法は確実に当たったはずよ 」
「僕には炭素を纏った表皮があるんですよ。ですのでそう簡単にはやられません。」
「ふぅん、やるじゃない。今日はこの姿になる気はなかったけど、なってみようかしら。」
「サウンズメタモルフォーゼ」
何だこの魔力は。魔法使いと戦ったことがない僕は初めてこんな膨大な魔力を感じる。
音の魔法、実体があったりなかったりするから実体のある魔法を操る僕とは相性が悪すぎる。
「…子供?」
僕の目の前には先程の上背のあるマーガレット・マカロンの姿はどこにもなく、髪が伸び、僕より小さい子供の姿をしたマーガレット・マカロンがいた。
「ただ子供になっただけじゃないの。この姿はアタシの真の姿、魔力を解放して魔法の威力も上がったし使える魔法も増えたのよ。」
「へぇ。」
「あら、随分と余裕そうじゃない。 」
パチン
マーガレット・マカロンは指を鳴らすと共に消えた。
「フー」
マーガレットは一瞬でセルの間合いに現れ、セルの耳に息を吹きかけた。
「あふん」
「ふふっ、貴方耳が弱いのね。」
「…ッチ。カーボレイン」
「あら怖い。」
「カーボレイン」
パチン
「アタシに攻撃は当たらないわよ。今のアタシは音そのもの、当てるにはそうね…アタシの動きを止めるしかないわ。」
パチン、パチン、パチン、パチン、パチン…… マーガレットは指を鳴らし何度も瞬間移動をしながらセルに攻撃を入れる。
対してセルには表皮があるのでダメージは受けないが 、攻撃自体は受けているのでマーガレットからの攻撃に反応する間に次の攻撃を入れられる、状況的にセルが攻撃するのは難しい為、現段階ではマーガレットが優勢だろう。
「貴方の表皮が壊れるのが先か、アタシが動けなくなるのが先か、果たしてどちらが先に壊れるのかしら?」
パチン、パチン、パチン、パチン、パチン
またしてもマーガレットの瞬間移動攻撃がセルを苦しめる。だが、ここで潔く負けるほどセルは弱くない。
「カーボレイン」
「…ッ、!!」
ポタポタとマーガレットの左腕と左横腹辺りから血が流れた。
今、何が起こったのか。セルは瞬間移動をするマーガレットを追いかけるのは諦め、指鳴らしの音が聞こえたタイミングで呪文を唱え、マーガレットがセルの間合いに入った瞬間、炭素の槍でマーガレットに攻撃を入れた。
「惚れたわ。この調子だとセコンズも使えそうにないし、アタシの負け。約束通り銀のコインよ、受け取ってちょうだい。」
マーガレットは右腕で左腹部を抑えながらセルに銀コイン2枚を手渡した。
「ありがとうございます。」
セルはそう言うとマーガレットに治癒魔法をかけた。
「あら、治癒魔法まで使えるのね、ありがとう。ところで貴方、まだ本気を出してないでしょう?アタシもまだセコンズが残っているし、きっと貴方もセコンズが使えるはず、次戦う時は貴方の本気見れることを期待しているわセルちゃん♪ 」
「…また機会があったらよろしくお願いします、では。」
セルはマーガレットからの呼ばれ方に嫌悪感を感じながらその場を後にした。
―――
「セル君おかえり、遅かったね何してたの。」
セルが部屋に戻ると、アドラ寮にいるはずのマッシュが食べていたシュークリームを皿に置きセルに抱きついた。
「ただいま、コインをかけて決闘してきた。」
なぜ他寮のマッシュがセルの部屋にいるのか、それはマッシュとセルの寮が別々になった事が分かったときマッシュはかなり駄々をこねた。寮が分かれたとなればセルもマッシュを補佐するのが難しくなったので、2人にとっては想定外の出来事だったのだが、マッシュは「セル君と一緒じゃないとやだ」とか挙句の果てには「寮分けを決めたあのユニコーンの角を折ってくる」とまで言い出したのをセルが何とか抑えて、セルの一人部屋が決まった時に、特定の場所(セルの部屋)にテレポート出来る魔道具(制限付き)をセルが作りマッシュに渡した。
その制限とは、設定した1つの場所しか行けないことと(魔道具を発動した所に戻ることはできる。)、1日に5回までの使用制限がある事、他にも遠すぎるところに設定する事は出来ないため、2人の実家に繋ぐ事は出来ない。
基本的に生徒間で他寮の行き来は厳しく制限されているらしく、そもそも寮同士の対立を避けるために互いの寮は知らされていないので、この魔道具を使って秘密裏に移動する事が最適だった。
「コインって何?」
「とりあえず離れろ。」
「いやです。あと、決闘って…セル君危ないよ、やめましょう。 」
「やめましょうじゃねぇよ。コインをかけての決闘ならこの学校では合法だ。あぁ、コインってのは……」
セルはマッシュに神覚者になる為にはコインが必要である事、そのコインについてや神覚者、魔法局の事まで、本に記されてあったことを分かりやすく教えた。
「あば、あばばばばばばば」
「とにかくコインを集めてこの学校で1番になる事が第1だ。最悪それだけでも頭に入れておけ。」
「うす。」
―――
翌日の放課後マッシュside
翌日の放課後、マッシュは調理室でシュークリームを作っていた。
「たまにはいいな、自分で作るのも」
美味しく出来たしセル君やじいちゃんにも食べてもらいたいな。じいちゃんには今度帰る時にまた作って持っていこう。
「…何としてでもこの学校で1番を取らないと。」
そしてセル君とじいちゃんと平和に暮らしたい。…セル君の事考えてたらセル君に会いたくなってきた…よし、今からセル君の部屋へ行こう。
マッシュは今日作ったシュークリームを皿に並べ、魔道具を使いセルの部屋まで移動した。
マッシュはこの時、放課後の約束をすっぽかして 怒らせてはいけない人を怒らせていた事をまだ知らない。
―――
一方その頃セルside
今日から本格的な授業が始まり、独学で勉強していた僕からしたらとても新鮮で、慣れない事も多くあったけどとても充実した1日だった…のだが、入学したばかりの僕が銀のコインを所持しているのが何故か他寮にまで知れ渡っていたらしく、主に他寮の上級生達から決闘を何度も持ちかけられたのは面倒だった。まぁそのおかげで銀のコインを更に1枚手に入れることができたので結果オーライだ。
「ねぇ君、セル・ウォーだろ?編入試験首席で、入学早々銀のコインを持っているって噂の。」
僕が立ち上がったタイミングでクラスメートから声をかけられた。確かコイツの名前はカルパッチョ・ローヤンだったか。
「…そうだが?」
グサッ
カルパッチョはセルに近づくとローブから取り出した包丁で、いきなり自分の肩に包丁を刺した。
カルパッチョはこの世界に13本あるとされる最古の十三杖に選ばれた神童で、杖に選ばれたカルパッチョの固有魔法は自分が受けたダメージををそのまま相手に移す魔法だ、そして自身のダメージは杖によって吸収される、そのおかげでカルパッチョは今まで痛みを一度も感じたことがない。
「攻撃が効かない…何だ、それ」
「いきなり攻撃しといて何だとは何だ、先にお前が説明しろ。」
今何が起こったのか、カルパッチョは自身の肩に包丁を刺し、固有魔法でセルに攻撃を移したがセルには表皮があるのでその攻撃は効かなかった。
「僕の固有魔法で攻撃は移ったはずだ。何をした。」
説明になってないんだが。僕は突然話しかけてきたと思ったらいきなり僕に攻撃してきた理由を聞きたい。
「僕は固有魔法で体全体を保護しているから基本的な攻撃は効かないぞ。」
「…でもそれは外側を保護しているだけ…だったら内側に攻撃した僕の攻撃は……」
「はぁ、もういい。」
今日もこれからこの世界の事をもっと知るために図書室へ行く予定だったのだ、いきなり攻撃してきた挙句謝罪もなし、何より話が通じない奴との時間を使うほど僕は暇じゃない。
そう思い僕はカルパッチョが何か考えているうちにその場を後にした。
図書室で魔法界の歴史本と現代の魔法界の本の二冊を借り、僕は部屋へ戻った。
ガチャッ
「セル君おかえり」
「あぁ、ただいま。」
部屋に戻るとやはりマッシュがいた、そしていつものごとく抱きついてきた。
「セル君、今日僕シュークリーム作ったんだ。だからセル君にも食べてもらいたいな。」
「そうか、食べるから離れろ。」
「うす。」
セルは手を洗ってからマッシュの作ったシュークリームを食べた。美味い。昔からマッシュの作ったシュークリームは食べていたが今日のはいつもと違った味だった。
「うまい…カスタード、少し変えたか?」
「!!うん!!今日は隠し味を入れてみました!」
マッシュはセルに隠し味を入れたことに気づいて貰えたのが嬉しかったらしく、いつもまっすぐな口角が少し上がった。
その後も、マッシュはシュークリームを食べたり筋トレをしたり、セルは今日借りた本を読んだり、2人で今日あった出来事を報告し合ったりして、夕食の時間になるまで2人は一緒の時を過ごした。
こうしてみればとても仲の良い兄弟だ。マッシュはセルが大好きで、セルも表には出さないがマッシュの事は大切に思っている。
セルが今日あったことをマッシュに話すと相変わらず危ないから決闘をやめろと言うし、マッシュは授業で使う箒をごぼうと間違えた為、相部屋のフィンに箒を貸して貰った事や今日の箒の授業で世界新記録?を出した事をセルに言うとセルは何やってんだコイツと思うと同時にマッシュ ならこの学校でも苦労は絶えないだろうが何だかんだでやっていけそうな気がするなとセルは少しだけ安堵した。
次の日
マッシュは入学早々何故か目をつけられていた、ロイド・キャベルとの昨日の約束をすっぽかした事で完全に目をつけられ、いじめの標的となった。皆、彼の親が魔法局長官で目をつけられると下手したら退学させられるので、彼のことを非難する者は誰もいなかった。
マッシュはいじめを自覚していないので、また教科書破れてる…なんで?ぐらいにしか思っていなかったが、その教科書を破った張本人である、相部屋のフィン・エイムズはロイド・キャベルに命令されたとはいえ、逆らえなかった事に後悔していた。
その日の放課後、更なるいじめへ発展させるべくロイド・キャベルはフィンを呼び出した。だが、フィンはマッシュが自分にいい人と友達になれてよかったと言ってくれたことを思い出しこれ以上は出来ないと言うとロイドが固有魔法を発動させ、フィンに攻撃した。固有魔法の糸でフィンは固定されており動くことも出来ない。
そこで運良く現れたマッシュにフィンが教科書をボロボロにした事を自白し謝罪した後マッシュがロイド・キャベルを殴りフィンを救出し、 その後ロイド・キャベルに肩入れしている教頭が現れマッシュとフィンを学内会議にかけると言うと、マッシュは教頭を地面に埋めた…キャベルを殴った事もそうだが、教頭を埋めたことに関しては特に流石脳筋としか言いようがない。
その一件はすぐに魔法局で問題となり、入学早々退学の危機に陥ったマッシュだったが、ノブレスオブリージュを掲げる校長の計らいで退学は免れた。なんとも濃い1日を過ごしたマッシュであった。
一方その頃セルは…
今日も朝から他寮の上級生に決闘の申し出が数件、昼食後の休憩時間にも決闘の申し出が数件あり、それを全て受けていたら流石に少し疲れた。もちろん全て勝ったが、 皆銅のコインしか所持していなかったので今日の成果は合わせて銀のコイン2枚と銅のコイン数枚、これで金のコインを獲得出来たのは良かったのだが、金のコインを所持していることが知られればこれ以上に決闘の申し出が多くなると思うと流石に面倒くさくなってくる。
「昨日はなんで逃げたの?」
早速湧いた、面倒くさい奴。今日1日ずっとコイツからの視線が痛かった。
「あ?これ以上お前の相手するのは時間の無駄だと判断したからだ。じゃあな。」
「待って、僕は君が僕の攻撃が効かなかった事について興味がある。だから僕と決闘しよう。」
カルパッチョは銀のコインをローブから取り出し、セルに見せた。
セルはここで断ったら更に面倒くさいことになりそうだからここは了承する事にした。
「あぁ受けてやるよ、場所は第2フクロウ小屋の裏の森でいいな?」
「うん。」
2人とも移動すると早速決闘が始まった。
「カーボレイン」
セルはカルパッチョに炭素を操り複数の槍を放つもカルパッチョの魔法でセルに攻撃がそのまま返ってくる、だがセルには表皮があるのでその攻撃は効かない。 そしてカルパッチョは杖の効果で回復をしたと同時にカルパッチョの後ろに女神像が現れた。
グサッッ
「やっぱり効かない」
コイツの後ろに女神像が現れた。コイツは…本で読んだことがある…最古の十三杖、正真正銘神サマに選ばれた者か…。そしてコイツの固有魔法はおそらく自分が受けたダメージを相手に移す魔法、杖の効果で回復するからおそらく痛みも感じていない。
だが物事には何事にも限界が存在する。その限界を超えると当然キャパオーバーを起こして爆発する。
つまりいくら最古の十三杖に選ばれたコイツでもきっと限界はあるはず。
それはもちろん僕も同じで僕の表皮にも魔力にも限界はある。表皮の強度はマッシュに殴られた時(本気で殴ってみろとセルが言った)僕の表皮にヒビが入った程度だったがマッシュは規格外なので例外とすると、今まで魔法使いと戦ってきて僕の表皮に一度もヒビが入ったことがない。サモンズを試した際、円盤を表皮に当ててみたが少しヒビが入ったもののすぐに直せるくらいで、防御に何も心配はいらなかった。そう思うとこの表皮は本当にある程度の攻撃には耐えれるし、すぐ直せるのでこの表皮は僕にとって必要不可欠だ。
「カーボレイン」
先程の3倍の量と威力で女神像の頭を狙い攻撃し続ける。サモンズ程の攻撃では無いため表皮にダメージはない。
一定時間攻撃し続けたからか、ほんの少しだけ女神像にヒビが入った。
「ッ…?!僕の女神像にヒビが…。」
「カーボヘビィレイン」
魔法のランクを上げさっきよりもさらに5倍の炭素の槍で攻撃をし続けた。
先程より威力を上げた為、更に女神像にヒビ割っていく。
「アハハハ、初めてだよ、僕の女神像にヒビが入るだなんて。面白い、でも僕の女神像はオート、残念だったね、君の狙っているようにはならないよ。」
コイツはそう言っているが、女神像にヒビが入るのは初めてとも言っていた、コイツが知らないだけで上限がある可能性も残っている。
「カーボヘビィレイン」
更に威力を上げヒビの入った所に攻撃を入れ続けた。後もう少し攻撃してみても倒せなかったらセコンズを試してみても良いかもしれない。あぁ、でもセコンズを使ったらさらに目立つことになるかもしれない…それは避けたい。
「…僕の女神像が…壊れた…?」
セルの心配していた事が起きることなく女神像はセルの攻撃によって壊れた。
「カーボレイン」
女神像が壊れると、次は直接カルパッチョにセルは直径15センチ程の球体を炭素で形造り頭に勢いよく当てた。
女神像が壊れたのでカルパッチョが回復することも、セルに攻撃が移ることもなくカルパッチョに攻撃が当たった。
球体を勢いよく頭にぶつければ、当たり所が悪ければ死に至ることもあるのだが、その辺はセルがちゃんと調整しているので問題ない。
「痛い…痛い…これが痛み…?」
カルパッチョは頭から血を流し地面に倒れたが意識はあり、初めての痛みに高揚している。
「………」
「君、は本当に強かった。僕の負けだ。」
そう言ってカルパッチョはセルに銀のコインを渡した。
―――
次の日
「ねぇ、君のその表皮はどんな構造をしてるんだ?なんで僕の攻撃が反映しなかったのか一晩考えても分からなかったよ、ねぇ、」
と、カルパッチョ・ローヤンが僕に話しかけてくる。実は今日一日中質問攻めにあい、僕が無視しているとカルパッチョは無言で僕のことをずっと凝視していた。流石に昨日の今日で鬱陶しいのでそろそろ反応しようか。
「僕の表皮は炭素を薄くしたものだ、構造と言っても薄い炭素を体に纏っているようなものだ、言っておくがお前の攻撃が僕に効かない理由は僕にも分からないからな。」
「…ふぅん、君でもわからないのか…更に興味が湧いたよ、ねぇ、今から僕の実験に付き合ってよ。」
「嫌だが?」
「なんで?」
「お前の個人的な探究心に付き合っているほど僕は暇じゃない。」
「あらセルちゃんにカルパッチョじゃない。楽しそうね。何の話をしていたのかしら。」
セルがカルパッチョの話に断りを入れた時、突然オルカ寮監督生であるマーガレット・マカロンが現れた。
「なんでここに来たんだ?」
カルパッチョがタメ口でマカロンに問う。
「見回りよ、昨日、貴方達第2フクロウ小屋の裏辺りで決闘していたでしょ?あそこはアタシもよく行く場所でね、偶然見かけたの、編入試験首席と内部進学首席が戦っていたんだもの、気になるじゃない?」
「はぁ、」
「ところで、さっきの状況…アタシにはカルパッチョがセルちゃんに迫っていたように見えたわ。可愛いのは分かるけど迫るのはまだ早いわ。」
「……は?」
「いや、僕は彼の(強さと自分の攻撃が聞かない)ことが気になっただけだけど…」
「だったら尚更ダメじゃない。まずはトモダチからよ♡」
「……???分かった。」
「ってわけでセルちゃん、カルパッチョと友達になってあげてくれないかしら?この子は自分の気になったことにはとことん探求する子なの、そこに探究心や追求心…何より好奇心があっても悪気はない子なのよ、」
「はぁ、」
確かに最初コイツは純粋な好奇心で僕に声をかけてきた。声のかけ方は最悪だったが。
「寮部屋も隣同士みたいだから仲良くしてあげてちょうだいね。」
そう言うとマーガレット・マカロンは「じゃあそろそろアタシはここでお暇するわ。他の見回りも残ってるからまたねセルちゃん、カルパッチョ」と言い残しその場を後にした。
「友達って何するんだ?」
カルパッチョはセルに聞いた。カルパッチョは今まで研究一筋で周りよりも優れていたことや痛みを感じないことで周りから一線引かれており、何より人間関係に興味がなかったことが原因で友達というものが出来たことがなかった。
山育ちのセルにとって、友達というものがどんなものなのか知らなかった。今までセルの中の人間関係は養父であるレグロと、双子の弟であるマッシュの2人だけだった。その2人とは家族で物心着く前からずっと一緒にいた存在だったので、そこに新しく人間関係を築いたことはない。
セルにとって友達とは本の世界の話だと思っていた。幼少期はよくレグロが街へ行った帰りに絵本をマッシュとセルに買って帰ってくれていたのだが、その本の内容は様々で、その中に友達や仲間を題材とした物語がいくつかあった。友達というものがどんなものなのか知らない2人はレグロに友達とはどんなものかを聞いた。レグロも友達という友達は出来たことがなかったが、若い頃の周りがどんなだったかぐらいは分かる。「友達とは、いつも一緒にいて、お互いがお互いと一緒にいて楽しいと…居心地がいいと思えて、お互い助けあって信頼し合っている関係の事…じゃろうか、要するにマッシュとセルは兄弟じゃが、2人のような関係じゃ」とレグロは言っていた。
「何するって…僕も知らない。」
その事を思い出したセルは、コイツと友達になるのは難しそうだなと思った。
「そうか、じゃあ調べてみるよ。」
そんなセルの想いとは裏腹にカルパッチョはそう言って教室を後にした。
次の日
「…………」
「……何だ?」
イーストン魔法学校は基本自由席なので早く教室についた生徒は自由な席に座れる。セルは少し早く来ていたので隣に誰もいない後ろの方の席に座っていたのだが、後から来たカルパッチョがセルの隣に座った。そしてずっと無言でセルを熟視した。
「友達っていつも一緒にいる存在だって書いてあったから。」
「…ふぅん」
コイツが僕の事を凝視し来ることにはもう慣れた。そして言ってもやめないだろうということも何となく想像がつくのでもう勝手にしろと思っている。
「今日はイーストン校内の森でさっき配った紙に書いてある薬草を採取し、調合までしてもらいます。今回使う薬草が生えている場所には魔物はいないはずですが、危険ですのて1人では行かないように、必ず2人以上のペアを作って採取から調合まで行うようにしなさい。」
今日は初めての課外学習だ。魔法薬学の授業の内だが、上手く調合ができた生徒には銅コインが与えられるらしい。
セルは隣にいるカルパッチョと必然的にペアになり、カルパッチョがここら辺の森は中等部の頃に何度か行ったことがあり大体の薬草の位置は覚えているらしく、セルは大人しくついて行くことにした。 流石天才と言うべきか、開始数分でもう半分以上の薬草が採取できた。
「君の好きな教科は?」
「何だ急に」
「友達って相手のことを理解している存在って書いてあったから。」
「…ふぅん、僕の好きな教科は闇魔法学と魔法薬学だ。」
「!!僕も闇魔法学好きだ。闇魔法学はあまり解明されていないし、禁忌の魔法も多い。だからこそ研究や考察のしがいがあるし何よりあのアダム・ジョブズが使っていた魔法で…__それれに色んな論文を見るのも面白くて___」
と、カルパッチョは闇魔法学について語り始めた。流石内部進学1位の天才と言うべきか、闇魔法学の知識があるのはもちろん、個人の考察までしっかり筋が通っていた。
そんなカルパッチョの話を聞いていたセルは、コイツ、人との距離感がおかしいだけで、案外しっかりしたやつなんだなと思った。
その後も2人は闇魔法学の話をしながら薬草採取を行った。
お互いに同年代で興味のある共通の話題について同レベルの話が出来たのは2人にとって初めての事だった。
その甲斐あってか、セルはカルパッチョに少しだけ心を開いた。
カルパッチョとセルは薬草採取を早めに終わらせ、早速調合に取りかかった。2人とも手際がよく、なおかつ分担し調合した為調合は完璧だった。よって2人は銅コインを獲得出来たのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「そこのキノコ頭くん、ぜひアドラ寮の代表としてドゥエロに出てくれないか?そして燃え尽きよう!この人生という名の人生を!!」
セルがガルパッチョから決闘を挑まれていた頃、マッシュは先日のほうきの授業で世界新記録を出したことが学校中に広まっていたらしく、アドラ寮2年生であるトム・ノエルズから、ドゥエロの試合に出てみないかと誘われていた。ドゥエロとは簡単に言うとほうきを使って的にボールを入れ、点数を競うスポーツだ。
本来、マッシュは魔法が使えないのでほうきにのって空を飛ぶ事など出来ないのだ。だが授業で世界新記録を出した時はスタートと同時にほうきをなげ、ゴール地点まで走った…あまりの速さにマッシュの偽装に気付く者はしっかり見ていたフィン以外いなかった。つまりあの世界新記録は偽装で、偽装していたことがバレると下手したら魔法が使えないこともバレてしまう可能性がある。
「帰りたい。」
ドゥエロに誘われたマッシュは断ることが出来ず、トントン拍子で試合に出場することになってしまった。
誘われたその日の放課後に試合があった為セルを呼ぶことは出来なかった。
今日の試合はアドラ寮対レアン寮。試合が始まると皆一斉にほうきを使って空中へ浮いた。
マッシュは空を飛べないので皆が飛んでる中、上空を見上げることしか出来なかった。
そんなマッシュに観戦者達はやる気がないんだったら帰れと野次を飛ばす。
「本当に帰りたい」
そして早くセル君に会いたい。
マッシュがそう考えていると突然トムが敵チームのレアン寮生に意図的にぶつかられ落下した。命に別状は無さそうだが体を庇った腕は折れているだろう。
「先輩、大丈夫ですか?」
「うぐっ…」
「マッシュ、これだけは言っておく。大事なのは勝ち負けじゃない。本気でやったかどうかだ。」
「………」
マッシュは先輩からの言葉が効いたのか、次の瞬間ほうきを持つと、地面が割れる程思いっきり踏ん張り、空中に姿を現した。そして足をありえない速さでパタパタさせ、何とか空中に浮いている。
「へい パス」
マッシュの手元にボールがいくと、マッシュは的をめがけてボールを投げた。もちろん普通に投げたのでは無い。自分の手元にボールが戻ってくるよう調節し、それをありえないスピードで繰り返す。
その結果過去最高点である999点を獲得し、アドラ寮は勝利で終わった。
―――
マッシュがアドラ寮対レアン寮のドゥエロ大会で大活躍を果たしたことは学内新聞に大々的に載り、学校中で注目を集めた。
「お前ほんと何でもありだな……。」
「まぁね。」
セルはマッシュが魔法を使わずに空を飛んだことと、滞空していたことに驚きやっぱコイツ異次元だなと感じていた。
「あ、セル君。僕も銀のコイン貰ったよ。」
「そうか、よくやった。」
「うん」
学校生活が始まり色々あった後初めて友達という存在ができた2人は、神覚者になる為(マッシュを神覚者にする為)にこれからも学校生活を楽しみつつコイン集めに励み続ける。
続く。
―――
セル・ウォー
入学からほんの1週間で金のコインを集めた神童(決闘を全部受けてたらいつの間にか金のコインを獲得してた)。最近は歴史と現代史を学び中。決して戦いが好きという訳でもなければ嫌いでもない、でも強くなってて損はないし少しでもマッシュの強さに近づきたいと思って日々魔法の勉強や鍛錬(たまにマッシュに付き合って貰いながら)は欠かさない。
マッシュにはあまり目立ちすぎるなと言い聞かせているが効果はない模様。
マッシュ・バーンデッド
相変わらずシュークリームとセル君大好き。フィンくんとも仲良くしている。セルの部屋に行く時は誰もいない場所で魔道具を発動するようにしている(セルに言われた)。今のところ原作とほとんど変わらない。
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今回も最後まで閲覧ありがとうございました!
ここからは完全語りなので飛ばしてください。
2話だけで13000文字も使ったのにまだ1巻も終わってないっていう……(1話も合わせたら24000文字くらい)これからは結構短縮したい。この作品はあくまでもしもセル君がマッシュくんと双子だったらの話、原作そのままの所は減らして(マッシュくんsideを減らして)、セル君sideを主流にしたい。
あともう1つ、セル君オルカに入れたけど解釈違う方絶対いますよね、分かります。でも私の解釈を聞いてください。まず、強さ的に言ったらレアンですよね。でもセルくんがアベル様の下につくってのが若干というかかなりというか解釈違いで、そもそもレアンには七魔牙あるし、そこにセル君入れんのもなんか違うな……と思って、だったらマッシュと同じくアドラか……?とも考えたのですが、確かに一緒の方が動かしやすいし補助もしやすいけど、アドラ6人組というのがあんまり想像つかなかったのと、寮部屋どうすんねんってなった結果(マッシュくんとフィンくんが同部屋じゃないと原作が色々狂う、でもセル君がモブと一緒とか解釈(以下省略))、オルカになりました。もちろんオルカ寮にした理由はいくつかあって、まずセルくんとマカロンさんを絡ませたかったのが1つ、あの2人メイクしてるし気合いそうだなと思って、2人でメイクの話しててもいいし、戦っててもいいし、マカロンさんの母性が爆発しててもいいし……。そしてカルパッチョとも絡ませたかった、セルくんは何でもできる努力家の天才だから(セルくんに夢見すぎ)カルパッチョとも合いそうだなって、お互い真面目だし、闇魔法学好きそうだし、セルくんはカルパッチョの世話焼いといて欲しい。そしていつかカルパッチョはセルのセコム2号化して欲しい(1号はマッシュ)。他にもローブ(制服)で考えたとき、個人的にオルカが1番似合ってた(妄想)。
予定ではランスくんと友達になる所までは書きたかったけど力尽きた。そして10月中に投稿したかった。