テラーノベル
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⚠注意喚起⚠
・nmmn,rurb,ttrb,wnrb,rirb,mnrb,kgrb,rtrb要素
・こちらは完全二次創作のためご本人様には一切関係ございません。
含まれるもの
→暴力・薬表現、匂わせ程度の🐺→VTA🐙。
⚠一概にハッピーエンドとは言えないです。
約5000字ですべてhsrb視点。
以下伏字なし↓
ぱちりと目を開けば見慣れた天井が見えた。サイドテーブルに置かれた時計を見ればまだ朝7時前で、こんなに早くに起きても仕方ないからもう一度眠りにつこうと目を閉じる。……が、
「……うるさ。」
部屋の外から響く何かを置くような、何かを閉めるような、そんな音のせいで眠気が覚めてしまった。唸りながら起き上がれば少し腰が痛んで、昨日遅くまで一緒にいたリトのことが恨まれる。
俺は小柳くん、イッテツ、ウェン、ライ、マナ、カゲツ、リト……の7人から愛されている。
いつからだったっけ?……覚えてないけど、多分生まれた時からそうだったんでしょう。毎日毎日彼らの誰かしらがこの家に訪れてくる。あれ、でも全員揃ったところは見たことないな…?
まぁいっか。今日は誰だろう。大雑把に物を置くってことはイッテツかウェンかな?なんて考えながら部屋のドアを開けた。瞬間、ふわりと目の前を通過した白い球体に間抜けな悲鳴をあげる。
「な、えっ…!?」
白いそれにはよく見たら動物の耳のような物がついていて、楕円の真ん中には宇宙に似た何かが煌めいていた。見たことないはずなのにどこか懐かしい気もする。
その白いやつは俺の背中をぐりぐりと押した。意外に強い力に促されるままリビングのとある棚の前に連れて行かれる。そしてそいつは1つの引き出しの前で、くるくると回り始めた。
「ここ、開けてほしいの…?」
得体の知らないものに対する不安とここに何があるんだろうという好奇心。ぎりぎりで後者が勝ち、意を決して引き出しを開けた。
メモ帳?使われた形式のあるそれを手に取りおもむろにめくった。そこに書かれていたのは……
「俺の……字?」
見間違えるはずもない自分の字……だが、そこに書かれていたのは信じたくもない出来事の数々だった。
みんながヒーローなのは知ってる、でも……俺もヒーローだった?ここの部屋に連れてこられて薬で無理やり監禁されていた?あの7人は……敵?
乱れる呼吸、だらだらと流れる汗、震える手。全てを思い出してしまった頭が「逃げろ」と必死に警鐘を鳴らしている。白いアイツ……おともは既にどこかに消えていて、家の中では俺の慌ただしい足音だけが響く。
いつ誰が来るか分からない。だからできるだけ早くにここを出なくちゃいけない。今まで気づかなかったがこの家はひどく無機質だ。外の情報を得れるような物が何もない。
自分の服は今着ている緩いTシャツしかない。外に出るためには下の衣類を探さなくてはと思い、洗濯カゴに入っていた適当なズボンを取り出して履いた。
これで外に出れる…!走って玄関へと向かった。俺が記憶を取り戻すなんて想定されてなかったらしく、玄関には簡単な内鍵しか見当たらない。これで逃げられる……!!
がちゃりとドアが開く。それは俺が開けたわけじゃなくて、扉の先にいた人物が目を見開き俺を見つめた。
「イッ…テツ……。」
息を切らしながら今にも外へと出ようとする俺。言い訳するには絶望的すぎる。いっそのこと突き飛ばしてでも外に出てしまうべきだろうか、なんて考えていた時だった。
「思い出しちゃったんだね。」
こんな状況なのにどこか哀しそうに、でも少し嬉しそうに笑う彼に違和感を覚える。イッテツはドアを開けたまま人が1人通れるくらいのスペースを開けて俺に微笑んだ。
「やっぱり駄目だよね、こんなこと。……ごめんね。」
なんでそっちが泣きそうな顔してんだよ。本当は責め立ててやりたかったけど今は逃げるのが先だ。何も答えないまま彼の横をすり抜けた。どうやらここはマンションの一室だったようで、エレベーターの見える突き当たりへと足を進めた。
下の階を指すボタンを押してばくばくとうるさく響く心臓に手を当てる。大丈夫、来たときのことはぼんやりとだけど覚えてる。近くの駅まで言ってとりあえずこの場から離れなくては。警察は……俺の気持ちの整理がついてからにしよう。
なんて考えていればエレベーターのドアが開いた。誰も居ないのを確認してから乗り込み、1階のボタンを押す。長い人生を歩んできた中でもこれほど時の流れが遅いと思ったことはない。早く、早く、と唱えながら扉が開くと同時に飛び出す。運悪く扉の前には人が居て肩をぶつけてしまった。
「あ…すみませ……。」
そこまで言って気づいた。
「は……星導?」
「ちょっと待って、テツは?今日の担当だったよね?」
小柳くんとウェンがいた。頭で理解するよりも早く走り出す。久しぶりだからか足がもつれて上手く走れてるか分からない。ゆったりと呑気に開く自動ドアの間に身体を滑り込ませた、つもりだった。
「はーい、止まってね。」
腰に回された腕にひゅっと喉が鳴る。耳元で甘ったるいウェンの声が響いた。恐怖で身体から力が抜けて、でも逃げなきゃと這いつくばる。少しでも遠くへ…!と伸ばした手の甲は小柳くんに強く踏みつけられた。
「いッ……!」
「何逃げようとしてんだよ。」
赤くなった手の甲を次は強く握られる。痛い、折れちゃう、やめて、なんて言っても止めてくれるわけもない。ウェンに抱きかかえられて小柳くんに引っ張られて、さっきまで辿った道を無慈悲にも繰り返される。
ドアを開けた先、ちょうどベランダでタバコを吸い終えたであろうイッテツがこちらを振り返る。俺と目を追わせるとその顔は悲痛に歪められた。
「今日の担当イッテツだよなぁ?なんで星導が逃げてるわけ。てかなんで記憶戻ってんの?」
その問いかけにイッテツは答えない。否、答えられないのだろう。小柳くんが拳を振り上げた。ウェンも俺を掴むばかりでこの後の行為を止めようとはしない。
「俺っ……イッテツには会ってない…です。」
さっき見逃してくれたから?元とはいえ仲間が争うのが見るに堪えないから?自分でもなんでこんな、庇うようなことを言ったのか分からない。でもはっきりと発された言葉は空気とならず、強く握りしめられながらも降ろされた拳を見届けた。
「記憶は俺が自分の日記を見て思い出しました。っ…逃げたのも全部、俺の意思です。」
全て事実。こうやって話しながらも打開の策に頭を巡らせる。なにか、なにかこの状況を変えられること。ふと、腹に回されたウェンの手にあるものに気がついた。あぁ……そうだ。変身しちゃえばいいんだ。
そう思いつくのが先か、バレないようにゆっくりと髪の一部を変化させていく。ぱき…ぱき……とほんの少しだけ顔から音がするがまだ誰も気づいてない。せめて一本でも触手を出せれば…!そんな祈りは玄関の開く音と共に打ち砕かれた。
「小柳っ…!星導は!?」
なだれ込むように入ってきたのはライとマナだった。その後ろからカゲツとリトも顔をのぞかせる。全員がこの場に集まってきてしまうなんて最悪だ。
「赤城、後ろ。変身しようとしてんで。」
鋭く細められたカゲツの瞳が見逃してくれるはずもない。この人数相手じゃ俺が変身したところで敵わないだろう。そう悟った俺は中途半端に触手になった髪の変身を解き、この絶望的な状況からの打破へと再び頭を悩ませる。
玄関を背に俺を睨みつける小柳くん、背後からがっしりと俺を捕まえて離さないウェン、そして全てを諦めたかのように笑うイッテツ。ただでさえ逃げられるかギリギリの状況だったのに、ライもマナもカゲツもリトも来てしまった。
「……あーあ、せっかく上手くいってたのになぁ。」
マナの呆れたような、それでいてひどく甘ったるい声に背筋がぞくりとする、彼は俺の足元まで歩み寄ると、さっき踏みつけられて赤紫に変色した手の甲を愛おしそうに指先でなぞった。
「痛かったでしょ。でもね、逃げようとするからだよ。」
「……離せよ…。」
声を振り絞るがマナは軽く笑うだけだった。次にカゲツが静かな足取りで近づき、俺の頬を冷たい手で包み込んだ。その瞳には同期としての俺を見るような信頼の色はなく、ただ執着だけが淀んでいる。
「星導、勘違いしないで。僕たちは傷つけたいわけやないんよ。ただ……守りたいだけ。」
傷つけたくない?守りたい?そんな言葉が今さらなんになると言うのだろう。ましてやそれを”俺”に言うなんて何を考えているんだ。
「でも、おかしいですよ。俺だって『ヒーロー』じゃないですか…?それに俺は宇宙の力もありますし、みんなよりずっと丈夫で長生きで……」
「それが……耐えられなかったんだよ。」
冷たく言い放ったのはライだった。いつも快活な彼が見たこともないような形相で俺を睨みつけ、その迫力につい押し黙る。
「ボロボロになって、死にそうになって、それでも『誰かのために』なんて笑って……!好きな人のそんな姿見せられ続けたこっちの気持ち考えたことある?」
そう言われてやっとこの生活の意図が分かったような気がした。彼らにとって、これは「救済」なのだ。理解したとてそれを受け入れることは到底できなくて、歪んだ愛の形に吐き気がする。
「分かんなくてもいいよ。でも、俺たちはこれを辞めるつもりはないから。」
そう言ってライが懐から取り出したのは、見覚えのある……正確にはさっき鮮明に思い出したあの薬だった。日記に書かれていたあの……。それを見た瞬間、全身の毛が逆立つような恐怖に襲われた。
「嫌だ……それだけは、やめろ! 忘れたくない、俺は……っ!!」
「俺の気も知らないで、1回全部忘れてるくせによく言うよ。あぁいや、直近のも含めれば2回か。」
どこか寂しげな声で嘲笑う小柳くんの声が脳に響く。ウェンが俺の首筋に顔を埋め、逃げ場を塞ぐように強く抱きしめた。リトが俺の腕を冷酷な手つきで固定し、ライがゆっくりと針の空気を抜く。
もう時間がない。なにか、なにか、逆転の一手を打てるものは……。思考をフル回転させながら視線を彷徨わせるうちに彼と目があった。そうだ。彼ならあるいは……!
「イッテツ…!助けて…!!」
最後のリミット。俺は叫びながらイッテツを凝視した。彼は俺の声にぴくりと反応し悲痛に顔を歪める。握りしめた拳から血が滲むほど力を込め、そして__
ゆっくりと視線を逸らした。
「ごめん、るべくん。……おやすみ。」
言葉の意味を理解した瞬間、絶望が視界を真っ暗に染め上げる。腕に走る鋭い痛み。冷たい液体が血管を通って脳へ昇っていく感覚。意識が遠のく中、髪を優しく撫でられたのをいやにはっきりと感じた。
「……愛してるよ。」
誰の声だったか、薬で溶けた頭ではもう分からなかった。
ぱちりと目を開けば見慣れた天井が見えた。サイドテーブルに置かれた時計を見ればまだ朝8時前で、こんなに早くに起きても仕方ないからもう一度眠りにつこうと目を閉じる。……が、
「っ……ぅ?」
形容しがたいふわふわとした浮遊感とほんの少しの頭痛が脳を掠める。でも、それもしばらくうずくまっていればよくなった。
リビングからは誰かが朝食を作る香ばしい匂いがしてくる。 今日は誰が来ているんだろう。マナかな? それともカゲツかな? これ以上ないほどの愛をくれるみんなに会えるのが楽しみで、俺は弾むような足取りでベッドから起き上がった。
あれ?
……そう言えば、今日は何月何日だろう。
まぁ、どうでもいっか!
スクロールありがとうございました!
筆が乗ったのですぐ投稿しちゃいました。
これにて完結です!!途中で期間が空いてしまいましたが約2万字もあるこの小説を最後まで読んでいただきありがとうございました🙇♀
また、この小説をもちましてシリーズ系のモノを全て書き終えたのでこれからしばらくは1話完結の話を書いていこうかな〜と思います。違うお話も読んでいただけたら嬉しいです😌
コメント
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星導が変身成功するパターンとイッテツが助けてくれるパターンも見たくなってきた…