テラーノベル
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※二人のウェディングのイメージ
政宗先生は、ロングコートの白の光沢のあるタキシード
智香は、ドレスに薔薇のモチーフをあしらったウェディングドレス
お城に着き、厳かなオルガンの音色と共に挙式が始まる──。
式順についてはコーディネーターの方から事前に説明がされていて、彼が日本とあまり変わらないので心配はいらないからと話してくれていた。
それでも荘厳なお城での挙式にドキドキと胸の高ぶりが抑えられないでいると、緊張を和らげるように彼がそっと手を握ってくれた。
両開きの扉が押し開けられて、ふたりで手を携えて、赤い絨毯が敷き詰められた長いヴァージンロードを進むと、
祭壇にはドーム型の丸天井に届く大きな飾り窓のステンドグラスから色鮮やかな輝きが煌々と差し込んでいて、その美しさに目を奪われた。
夢見心地で神父様の祝福の詞を聴きながら、彼との結婚を胸に噛み締めていると、
やがて誓いの言葉を促されて、傍らで彼が流暢なドイツ語で話した。
「 Ich schwöre dir ewige Liebe.(イヒ シュヴェーレ ディア エーヴィゲ リーベ)」
同じように誓いを促されて、一瞬言葉に詰まると、
「……日本語で『はい、誓います』でも大丈夫ですよ」と、彼が耳打ちで助け船を出してくれた。
「はい、誓います……」口にして、「先生は、なんて言っていて?」聞くと、
「私は、永遠の愛を誓いますと」
微笑んで伝えられて、ベールが上げられると、
「Ich liebe dich (イヒ リーべ ディッヒ)」
“愛してる”のフレーズと共に、誓いの口づけが贈られた──。
挙式を終えると、お城の前で撮影が行われた。
ロング丈の真っ白なタキシードに身を包んだ政宗先生は、まるで本物の王子様かのような佇まいで、到底見惚れずにはいられなかった。
「こちらに目線をお願いしまーす」
日本語のわかるカメラマンさんの声に構えられたレンズに目をやると、彼が正面を向いたままで、
「君を、愛してよかった」
ふと感慨深げに呟いた。
そんなセリフを急に吐かれて、思わずぽぅーっと赤くなったところがすかさず写真に撮られる。
「お幸せそうないい表情が撮れましたー!」
かけられた声に、彼が傍らでクスリと笑って、
「君の照れた愛らしい顔が、記念に残せましたね…」
仄かに火照る私の頬に、唇を寄せてそっと口づけた……。
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