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「‥‥‥‥そこに座るの止めてもらえません?」
「なんで?」
「なんでって‥‥」
今日も1日が始まり、家から店へと繋がる扉を開けると当たり前かのように窓際にあるソファーに小柳君がもたれかかっていた
「どうせまた店番頼むんだろ?だったらここに居ても良いだろ」
「そうだけど‥‥でもこっちの椅子に座ってれば?」
そう言って俺はレジカウンター横の1人掛けの大きな椅子を指差す
「ヤだよ。こっちの方が陽が当たって気持ちいいじゃん」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥なに?」
怪訝そうな顔で小柳君が俺を見る
小柳君はあの日から俺の住まいで生活を共にしていた
体の調子はまだ全快ではないが、日々少しずつ良くなってきている
そんな折、ただここに居るだけじゃ迷惑だと小柳君がこの家で出来る事はないかと聞いてきた
最初は部屋の掃除などをしていたが、俺が一度仕事の依頼を受け、店を空けることになった時に店番を頼むと次の日から自主的に片付けが終わると窓際のソファーに座り店番兼電話番をするようになった
店番といってもお客さんがよく来るような業種ではない
ないはずだったのだが‥‥
カチャッ‥‥キィ‥‥
「いらっしゃいませ」
小柳君が入口を見て立ち上がった
「‥‥少し見てもいいですか?」
「もちろん」
うちの店には少しだけ美術品が置いてあった
高いものから安いものまで
だからって今までそんなに買いにくるお客様は居なかったのに‥‥
小柳君が来て、店の中も一緒に片付けさせられた
そして小柳君が居る窓の場所は美術品が並べられていたのに、そこを片付けるとソファーと小さなテーブルを置き、今は彼の定位置になっている
それからだ
なんだか急に店に立ち寄る人が増えてきたのは
もしかして小柳君って狼じゃなくて招き猫だったのか?
「これってとこの物なんですか?」
「ちょっと待ってて。おい、星導」
「はいはい‥‥」
名前を呼ばれ、急いで接客に向かう
接客後、その品物を気に入ったお客様のレジ対応をする
「ありがとうございました。またお越しください」
「ありがとうございます‥‥あの‥‥すいません‥‥」
「えっ?どうかしました?」
「失礼なお願いなんですけど‥‥一緒に写真撮ってもらえませんか?」
「写真⁈」
「はい‥‥あの彼と‥‥」
小柄な女性は小柳君を指差した
「へ?‥‥俺と?」
「はい‥‥その‥‥2人とも」
「俺達‥‥?なんで?」
「SNSで見かけて‥‥だから」
「SNS⁈」
俺は急いでスマホを取り出して調べ始めた
「店の名前で載ってたはずですけど‥‥私はたまたま流れてきたのを見かけて‥‥」
検索してみる
‥‥‥‥あった
これは店の外から撮られた小柳君の写真?
「‥‥‥‥写真ダメですか?」
「えぇ‥‥ちょっと」
「いいじゃん。SNSに載せないなら」
「載せません!良いんですか⁈」
「あとはまた買い物とか依頼しにきてくれるんなら。良いだろ?」
「え‥‥まぁ、小柳君がいいなら」
「ありがとうございます!」
いつの間にこんな商売上手になったんだ?
昔なら絶対断ってたはずなのに
そんな小柳君を見つめながら、こんな風に過ごすのも悪くないかと思い始めた
あの日から触れていない君を思いながら‥‥
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コメント
1件
第10話読みました〜!小柳くん、すっかり店の顔になってるじゃん…!SNS経由でお客さん増えて写真撮影まで頼まれる展開、なんだかほっこりした(笑) でも最後の「あの日から触れていない君を思いながら」の一文で、一気にシリアスな空気が戻ってきてドキッとしたよ。まだ距離があるんだね…。蒼月さんの日常と闇のバランス、めっちゃ好きだなあ🥀
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蒼月
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