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彁蕐
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犬狼鳥(けんろうちょう)・黒子
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犬狼鳥(けんろうちょう)・黒子
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#countryhumans
monake@引退&イラコン
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注意書き(簡易)
これらの作品に政治的意図は一切ございません。創作物であることを踏まえた上、許すことのできる方のみ先へ進んでください。
不定期更新です!!!!
設定があります。説明をすることはないので自由に解釈してください。
私は史実に基づいた、完全な自己解釈による
“CountryHumans”を綴ります。貴方の心に届く物語でありますように。
「へっへー、今日は世界チェスデーじゃないか!皆も遠慮せずに対局しに行ったらどうだ?日本は祝日らしいからな!」
「こちらでは祝日である海の日だと言えど、休みと言う訳でもありませんがね…………しくしく」
「頑張れ、日本……。」
浮き立つアメリカの隣で、パソコンに向かう日本が力なく肩を落とす。そんな彼を気遣うように、ドイツは温かいお茶のカップを置きながら静かに慰めた。決して、彼自身も暇というわけではないが、珍しくアメリカの隣で束の間の休憩を取っているところだ。
「そして!初めて人類が月へ降り立った『月面着陸の日』でもあるんだよな!」
アメリカがドヤ顔で拳を突き上げた、まさにその時だった。ひんやりとした空気を纏って、背後から影が近づいてくる。気配に気づいたドイツは呆れたように呟く。
「…………珍しいなぁ、共産主義国家さんがご登場だ。」
夏場には似つかわしくない真っ赤なマフラーに、ずっしりと重そうな厚めのコート。その顔に付けられた黒色の眼帯には、黄金色の意匠がくっきりと残っている。
『Здравствуйте. ……。アメリカ、チェスで勝負しろ。』
突然現れた人物の低く重い声に、ドイツはデスクの手を止めて視線を向けた。
「……確かに、久しぶりだな。ソビエト社会主義共和国連邦。」
『…………。それで呼ぶならソ連でいい……。ドイツ。』
ソ連と呼ばれた男は小さく息を吐き、机の上にカチリと木製のチェス盤を置いた。それを見たアメリカは、待ってましたと言わんばかりに身を乗り出す。
「その話、乗ったぁ! I can’t afford to lose!(負けてられないな!)」
「……まぁ、対局は受け入れられたらしいぞ。ソ連。」
ドイツがあきれ顔で苦笑いする中、二人は向き合って席についた。
『初めは定石だ、さっさといくぞ。』
「流石にそのくらい知ってるっての。」
パチッ、パチッ、と静かな部屋に木製駒の軽い音が響く。二人は淀みのない素早い手つきで駒を進め、刻一刻と盤上の陣形を変えていく。
「そういえば……、冷戦中なんかしょっちゅう競って宇宙開発していたよな。確か……ソ連の方は月探査のルナ・シリーズだっけなぁ…………」
アメリカが盤面から目を離さずにふと思い出したように呟く。それに反応し、ソ連も少し。
『あぁ。軟着陸や月の裏側の撮影を初めて成功、無人のサンプル・リターンも成し遂げた。』
自国の功績を語るソ連の口調には、隠しきれない誇りが滲んでいた。アメリカはそれを聞いて、より昔の記憶を掘り返した。
「協力できたのはかなり遅かったな。それより前はずっーと張り合ってたわ。」
対局の最中にもかかわらず懐かしむアメリカに対し、ソ連は不服そうにふいっと顔を逸らした。だが、その手元は止まることなく確実に手駒を進めている。
『時期は冷戦だ。終わるまで力を誇示することが重要視されていたからな。……。』
「……でも、今は俺の方が開発をしているな!もう一度、月面に降り立つアルテミス計画。有人火星探査にも目を向けたいし……」
アメリカがニヤリと挑戦的な笑みを浮かべ、ナイトの駒を指で遊ばせる。その自信満々な態度に応じるように駒に手を伸ばす。ソ連は静かに、しかし圧倒的な威圧感を込めて駒を打った。
『俺が初の人工衛星と、有人飛行が可能なのを証明したのは忘れるな。』
「そんなこともあったな。初めて地球を見た人は『地球は青かった。』とか言ってたっけな…………。」
記憶を懐かしみ、天を仰ぐアメリカへ、ソ連はすかさず訂正を入れる。
『「Небо очень и очень темное, а Земля голубоватая」。これだ。』
「ロマンとか、そういうのはないのかよ……」
厳密な原語での引用にアメリカは呆れ顔を見せたが、すぐに表情を引き締めると、落ち着いた動作でまた一手と駒を進めた。
『…………ロシアの様子はどうだ。』
盤面を見つめたまま、ソ連がポツリと呟く。アメリカはロシアの姿を考えながら、肩をすくめる。
「ロシアは相変わらずウォッカ飲んでは暴れてるぞ。お前みたいにな。」
『奴と比べるな。』
ソ連の顔が曇ったのは、誰がみても分かるだろう。
そこからさらに局面が進み、盤上は一歩も引かない複雑な盤面へと変化していった。難解な盤面を前に、さすがのアメリカも長考に入り、腕を組んでうーんと唸り始める。
「へへ、…………負けを認めてもいいんだぜ、ソ連?」
アメリカが長考の末に放った一手を自慢気に指し示し、ソ連の顔を覗き込む。しかし、ソ連の表情は一切崩れなかった。
『フン……調子に乗るなよ、アメリカ。有人での月への到達は譲ってやったが……この8×8の盤上で俺に勝てると思うなよ?』
互いの視線が交錯し、パチ、パチと空気中に激しい火花が散る。何度も長考と会話を重ねながらも、お互いを睨み、戦っていた。
そして
アメリカの怒涛の猛攻を冷静にいなしたソ連は、滑らかな手つきでクイーンを滑らせ、見事に白のキングを追い詰めた。
『残念だが、王手(チェックメイト)だ、アメリカ。チェスは、負けるわけには行かなかったからな。』
「〜〜っ! くっそー! やっぱチェス強ぇなコイツ……!」
ガシガシと頭をかきむしるアメリカを前に、ソ連はどこか満足げに胸を張る。勝者として勝ち誇っていた所。
ふわりと上品な足取りで近づいてきたのはインドだ。彼は完成された盤面を一瞥すると、ふっと柔らかく微笑んだ。
「おや、ソ連。私の前でチェスの誇りを語るのですか?」
『что? 俺の知識と戦術に勝てる自信があるらしいな。』
「まぁまぁ、一局いかがですか?」
インドは楽しそうに目を細め、静かに向かいの席へと腰掛けた。
……それから、数分後。
「……んな…………」
ソ連は頭を抱えたまま、盤の前で燃え尽きたように固まっていた。
「…………。そりゃ、ソ連が知っていた”現在”よりも、開拓されていたりするもんな……。にしてもボロ負け…………ww」
あんなに誇らしげだったソ連のあまりの瞬殺ぶりに、アメリカは大爆笑している。そんな騒ぎをよそに、インドは優雅に紅茶を一口含み、フフッと微笑んだ。
「ソ連、チェスも宇宙も『昔の栄光』だけで勝てるほど甘くはありませんよ。冷戦期の宇宙協力や協定には感謝していますが……現代の宇宙は、もう私たちの時代です」
「そういえばお前、最近も凄かったよな! 確か『チャンドラヤーン3号』だったか……!?」
アメリカが思い出して勢いよく身を乗り出すと、インドは実に嬉しそうに胸を張った。
「ええ。我が国の『チャンドラヤーン3号』は初めて、月の南極への着陸に成功しましたからね。アポロ計画の時代から時は流れ、いまや月は手の届く場所まで近づいてきてますよ。」
「俺たちの『アルテミス計画』でも、今度は世界中で協力して月を目指すからな!」
勢い良くガッツを見せるアメリカ。他の国もどこか遠くで願っていた、有人での探査。それをみな後押ししている。
インドは、そっぽを向き、顔を背けたままのソ連に声をかける。
「競争の時代から、共に星を探査する現代へ……ですね。ソ連も、あまり過去の盤上に囚われすぎないことです。」
『………………、Оставьте меня в покое.』
ソ連は小さくロシア語で愚痴をこぼすのだった。
おまけ
アメリカがひそひそ声を出しながら、ソ連を見る。
「あいつ、すごいツンデレだな……。ロシア語で話すなんて……」
落ち込んでいたはずのソ連が、それを聞きつけて睨みつけた。
『母国の言葉で話して何が悪い。』
「悪いな。……ww」
ニヤニヤと笑いを噛み殺すアメリカに、ソ連は鬱陶しそうな視線を送る。
『おい米帝、今度こそ戦争を吹っ掛けてやろうか……??』
「やめろやめろ!!……面倒だったろ、あの時。」
冷戦期のあの果てしない張り合いを思い出したのか、はたまた違うことか。ソ連は深くため息をつき、大きな体を背もたれに預けた。
『…………。それもそうか。』
コメント
1件
あ〜〜〜っ!!読んだ読んだ!!😭💕 CountryHumansのチェス対局、めっちゃ良かった……!! アメリカとソ連の昔の張り合いが盤上で再現されてて、歴史知ってるとニヤニヤが止まらんやつ🥺✨ インドにボロ負けしたソ連の「Оставьте меня в покое」がもうツンデレすぎて可愛いんだけど?!?!笑 「昔の栄光」ってインドに言われて凹むとこ、じわじわ来る…。 おまけのアメリカの煽りも最高!!続き楽しみにしてます!!🌸