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山吹琥珀。彼は特別だ。医者の父と弁護士の母のもとに生まれ、幼少期から頃から、その才能の片鱗を見せていた。
小学生の頃からだろうか。山吹琥珀はまず、その高い身体能力で周囲の目を引くようになった。通っていたバスケットボールクラブではほかの子たちを圧倒するほどの実力を持っていた。試合に出れば活躍する。それが当たり前だった。
中学に上がると、次はそのルックスで注目を集めた。身長が一気に伸び、よく目立った。さらに垢抜けるにつれて人気は増していき、告白の呼び出しやラブレターが届くことも珍しくなかった。
それは高校の今でも変わらない。
高校に入ると、今度は学力でも頭角を現した。入学試験では主席で合格。その後の定期テストでも、常にトップの座を守り続けている。どの科目でも100点近い点数を叩き出す山吹琥珀に、教師たちは勿論、全校生徒までもが注目した。
運動ができて、顔がよくて、勉強もできる。おまけに、家柄まで申し分ない。
……まったく、どこまで恵まれていれば気が済むのだろう。
さて、山吹琥珀の話はここまで。次は、僕らの関係の話をしようか。
山吹琥珀と僕__佐々木碧は、小学校で知り合った。あまりそう言いたくはないのだけれど、まあいわゆる幼馴染というやつだ。昔のことすぎて、きっかけはもう覚えていない。
中学に入るまではそれなりに仲良くやっていたと思う。けれど、中学2年の後期。あの日を境に、僕たちは関わりを絶った。今思えば、平凡な僕とトクベツな彼が幼馴染だということすら、奇跡だと言えよう。
「佐々木~?いつまでそこにいんの~?」
順位表の前で立ったまま動かない僕に清水が言う。自分の後ろには、結果を見ようとたくさんの生徒が群がっていた。
「あぁ、ごめん。今行く。」
なんとか人混みを抜けると、呆れた顔で清水がこちらを見ていた。
「お前、テストの順位表見るときいつもそんな顔してるよな」
「そんなって?」
「うーん、なんか悔しそうっていうかさ」
清水の言葉に、一瞬ギクリとした自分がいた。
悔しい?僕は悔しがってるのだろうか。誰に?山吹琥珀に?
もうずっと前に諦めたじゃないか。僕は山吹琥珀のような特別な存在なんかじゃないって。普通で平凡な佐々木碧なんだって。
「やっぱ、あの幼馴染?」
「…さあ」
清水は鋭い奴だ。いつもはバカっぽくしてるけど、こういう時はすぐに勘づく。
僕と山吹琥珀が幼馴染だったということは、清水も知っている。僕が自分で教えたことだから、知られているのが嫌とかいうわけじゃない。
その後特に清水はそれ以上深く追求する様子もなく、僕たちは昨夜のテレビ番組の話で盛り上がった。
コメント
1件
うわ、すごく丁寧にキャラの紹介と関係性の伏線を貼ってくる第2話ですね。山吹琥珀の「完璧すぎるスペック」と、それを淡々と並べる語り口が逆に不気味で……「僕らの関係」に話が移ったときの空気の変わり方が巧いと思いました。幼馴染なのに中学2年で絶縁した経緯がまだ明かされていないのが気になります。佐々木碧が順位表の前で固まる描写、あの「悔しそう」という指摘にギクリとした心理が切なくて、すごく共感しました。
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