テラーノベル
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ある日神が舞い降り言った。
「明日世界が終わります。」と。
突然世界に響き渡った声は酷く冷淡で事務仕事のように感じられた。
最初こそ民は困惑したが次第に皆、思うようになった。
「ようやくか」と。
私だってその一人。
声を聞いたとき、胸が苦しく重くなったが
どこかで心が軽くなった。
ようやくかと。
私は夕方上を見上げた。
普段は見ることのない空はいつもと何ら変わらず、
明日への準備をしている。
マンションが目の前にはあった。
そこから何かが落ちてきた。
人だ。
鈍い音と人々の歩く音が重なった。
何度も何度も重なり続ける。
マンションの前には日常と化した人間の遺体。明日がなくなるというと悲しいような苦しいような気がしたがきっと自由になれる。
明日が縛っていた人生がようやく自由になれたのだ。
私は階段を上った。
カツカツと靴が当たる音がだんだんなくなって、裸足で階段を上るペタペタという音が響いた。
自由になれる。
怖い怖い明日が、未来が来ないのだ。
目の前に夜空が広がった。
体は浮遊感を持ち、風を受ける。
私は、自由だ。
思い終わる前に私の世界は終わった。
コメント
1件
「ようやくか」──この言葉、すごく刺さりました。毎日とりあえず生きてるって人ほど、どこかで思ってることかもしれませんよね。空はいつもと変わらないのに、人の形をしたものが落ちてくる。それに慣れてしまう日常の痛み。最後の浮遊感で終わるのも、すごく静かで余韻が残りました。短いのに、ずしんと来るお話でした。