サイド キノ
バンッと大きな音を立てて、俺は部屋の扉を開けた。
そこにルネは、静かに佇んでいた。ただ、その目は俺を問い詰めたときと同じ、冷たい光があった。
……やっと見つけたぜ!
「「ルネ!」」
俺とマオの声がハモった。
「なんの用?……って言っても意味ないか。これは俺が決めたことだし、関わらないでくれない?」
「そんなの無理だ!俺はお前に謝んなきゃいけねぇ!それに、ルネは俺らの仲間だ!」
「仲間じゃないって、言ってたくせに。それとも、何?忘れてたって言うつもり!」
「ああ!忘れてた!!」
嘘だけどな!
……忘れてたまるか。俺が、ルネを言葉のナイフで傷付けたんだ。自分の過ちを忘れて過ごすなんてこと、したくねえよ。
「ルネ!お前はモンダイジ団の団員だろ?!戻って来いよ!」
俺は部屋にズカズカと入って、真っ直ぐルネを見る。
タエが俺にそうしてくれたように。
ルネ。俺はお前に手を伸ばしている。だから、ルネもこの手を取ってくれ!
……誰かが助けたいって思っても、手と手を取り合おうとしても、それはどちらも同じ意志が必要なんだよ。
俺は手を伸ばすことしか、出来ないから……!
「…………」
ルネはゆっくり俺の方に近づいて……。
手を、振り払った。
「「!!」」
「マオには一度言ったけど、こんな意味のないこといつまでも続けるの?」
「……は?」
「意味のないことなんか、あるわけないだろ!」
マオがルネに掴みかかって、悲痛な叫びを上げる。その気持ちは俺も痛いほどよく分かった。
「意味ないでしょ。だって、俺とまともに話をしていない人だっているんだよ?それでも『仲間』?本気で言ってるの?」
それは……そうかもしれない。元々この奪還作戦は俺のエゴだ。だけど……!
『関係ないなんて、言わせない……!』
スマホから、タエの声がした。俺の手にある通話画面を、ルネは驚いた表情で見ている。
とっておきの秘策だぜ!
通話人物にはモンダイジ全員の名前がのってあるからな!
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