「よかった……っ!」
安心するのも束の間 暗闇の中 敵の弾丸が頬を掠る
(熱い!…なんでこの暗い中相手は狙撃ができるんだ?)
弾丸が飛んできた方向を見つめる
(そうか!……とにかくここから移動しなきゃ)
「さすがにこの数は多すぎじゃねーか?…カイン!まだやれるか?」
「お嬢様を安全な場所まで届けるまではくたばれませんよ!」
草むらや木々の上から伏兵が次々に現れてくる、その上弾薬もかなり減ってきている
「ならこの有象無象どもを早く片付けねぇとな!」
太股の辺りのケースから投げナイフを3本抜き取りそれを敵の方に投げる 2本は弾かれたが1本は腕に刺さる
「クサリヘビの毒だ 早く処置しないと大変なことになるぞ」
シュドの斜め後ろから仲間の仇と言わんばかりの勢いで敵がナイフを持って走ってきた
「おおっと」
あと数センチというところで相手のナイフを避け、そのまま首に手を回し相手の持っていたナイフを突きつける
「仕事に私情を挟むんじゃねーよ」
ポーチの中から注射器を出し うなじの辺り刺す
「本来は薄めて使うような濃度の麻酔だ、訓練された上級兵でも一瞬で意識が飛んじまうレベルのな」
相手は少しの間歯を食いしばって耐えていたがすぐに気絶してしまった
「やっぱり普通の連中じゃねぇな」
気絶している敵のベルトに着いているホルスターからハンドガンとマガジンを抜く
「USPか 結構良いハンドガン使ってんな」
残弾を確認し セーフティーを外す
ショルダーバッグの中を探る
「あった!集光薬!」
集光薬とは、高原地帯に生えている星光花という植物が原料の目薬である その名前の通り光を集め、暗闇でもその場所の景色を見るもの 本来は天体観測や光が届きにくい海中などで使用するものだ
「あー スースーする」
まるで真昼のよう…とまではいかないものの、かなり見やすくなった
スコープを覗く だいたい280m先に人影が見える その人影を見ているとマズルフラッシュとともにスコープの対物レンズが砕け散った
すぐに木の陰に隠れる
(もし相手の照準が定まっていたら…)
まだ心臓が鳴り響いている 冷や汗が止まらない
(予備のスコープなんて持ってきてないし…アイアンサイトで頑張らないと…)