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ロンドンの夜は、静かだった。雨はまだ止まない。灰色の空は窓の外に溶けて、夜の闇へと沈んでいく。
イギリスは暖炉の前で、ブランデー入りの紅茶を片手に座っていた。
ソファには、フランスが当然のように隣にいる。
イギリス「……なぜ、あなたはまだここにいるんですか?」
フランス「君が追い出さないから、じゃない?」
イギリス「追い出すたびに戻ってくる奴の言うことではありませんね」
イギリスは視線を逸らしながらカップに口をつけた。
フランスはにやりと笑い、イギリスの頬を触った。
イギリス「……触らないでください」
フランス「でもイギリス、耳まで真っ赤だよ」
イギリス「暖炉のせいです」
フランス「ううん。僕のせいだよね?」
イギリスは言葉を返せなかった。
ただ、静かにカップを置き、ソファに深く体を預ける。
部屋の中には、時計の針の音と薪のはぜる音だけ。
フランスはワイングラスを傾けながら、ぽつりと言った。
フランス「……イギリス?」
イギリス「なんですか」
フランス「君ってさ、本当に人に甘えるのが下手だよね」
イギリス「……甘える必要がないからです」
フランス「それでも、たまに……僕にだけは、甘えてくれてる気がするな」
イギリスは黙ったまま、そっと目を伏せた。
フランスはイギリスの肩に自分の頭を寄せた。重くはない、けれど、温かい重みだった。
イギリス「……フランス」
フランス「ん?」
イギリス「あなたのそういうところが……ずるいんです」
フランス「どうずるい?」
イギリス「……甘えさせるようでいて、全部あなたのペースだからです」
フランスは小さく笑って、イギリスの指先を取った。
フランス「じゃあ今夜は、君のペースに任せようか?」
イギリス「……それは……無理です。……あなたに触れられると、もう……」
イギリスは途中まで言って、言葉を飲んだ。
フランスはそっとイギリスの指に口づけを落とし、囁くように言った。
フランス「……ねえ、今夜だけでいいから、素直になって」
イギリスは頬を染めたまま、ゆっくりと目を閉じた。
イギリス「……命令、しないでください。……従ってしまうので」
フランスはその言葉を合図に、イギリスをそっと抱き寄せた。
軽く重ねた唇。髪を撫でる指。押しつけず、急がず、ただ相手の呼吸を感じながら――
フランス「……イギリス、好きだよ」
イギリス「……知ってます」
フランス「君は?」
イギリス「……っ……それは……」
フランスは笑いもせず、ただ待った。
イギリスの唇が震え、ゆっくりと動いた。
イギリス「……す……好きです。あなたのことだけは」
その声は、小さくて、でも確かだった。
その夜、紅茶は冷めたまま置き去りにされた。
代わりに二人の吐息だけが、静かな夜の部屋に優しく溶けていた。
ふへへへへへԅ( ¯∀ ¯ԅ)グヘヘヘ
どうも𝑯𝑬𝑵𝑻𝑨𝑰です。特に話すことないから終わります。ではまた!