「ここが冒険者ギルドか」
ドールスさんと話して、すぐに僕は冒険者ギルドにやって来た。
石造りの大きな建物、両開きの扉の中に入ると、受付と酒場が見える。
「おい! 前向いて歩け」
「あ、すみません」
受付と酒場を見ながら歩いていると、いかつい男性の肩にぶつかった。思わず謝ると彼はニヤリと口角を上げる。
「いてててて。骨が折れちまったみたいだ。慰謝料をもらわないとな」
男は当たり屋だったみたいだ。僕の胸ぐらを折れたはずの手でつかんでくる。
「100ラリで済ませてやるよ」
「ルーザーさん。そう言うのはやめてください」
胸ぐらを掴まれていると、金髪の綺麗な女性が注意してくれる。
「クリス、こいつがぶつかってきたんだよ。酒代くらい貰わないと」
「嘘は言わなくて結構です。ずっとみていましたから。あなたは受付へ」
「あ、はい」
クリスと呼ばれた女性は僕を受付の席へと案内してくれる。いかつい男性にも負けずに助けてくれた。凄い女性だな。
「ありがとうございます」
「いえいえ、ああいう人にはなれていますから。毅然とした態度で答えれば黙りますよ」
ニッコリと笑って答えるクリスさん。カッコいいし可愛いし……凄い人だな~。
「さて、それであなたの名前と要件をお聞きしてもいいですか?」
「あ、ムラタといいます。冒険者カードが欲しくて」
「ああ、登録の方でしたか」
自己紹介をして登録のことを話すと彼女はすぐに水晶を受付に出す。
クリスさんが水晶に手をかざすと光りだす。
「このように水晶を手で覆ってください。少しするとあなたの魔力に反応してカードが生まれてきます」
やってみせてくれるクリスさん。早速やってみると水晶が淡い光を作り出す。
少しすると手に硬いものが当たる。手をどけるとニョキっとカードが出てくる。駅の改札の切符みたいだな。
「どんな町でもこれを見せれば身分証明となります」
カードを取って教えてくれるクリスさん。僕は受け取って頭を下げる。
カードを見ると顔の写真とランクが書かれてる。Eランクが最初のランクってことかな?
「Eランクから始まってD、C、B、A、Sと上がります。依頼を受ける際にランクを考慮して選ぶことをお勧めします。依頼は横の緑の掲示板に張り出されていますので見てください」
「ありがとうございました」
「いえ、仕事ですから。これからのあなたの冒険者人生を応援しております」
クリスさんはニッコリと微笑んで説明すると、満面の笑みで見送ってくれる。
びっくりするくらいの美人だな~。この世界の人は男性は普通なのに女性が異次元の美しさだ。
その中でもクリスさんは上位……って偉そうに順位をつけるものじゃないよな。僕みたいな底辺が。
「あ、ゴブリンの依頼だ」
村スキルの中で見た魔物はやっぱりゴブリンだった。依頼書は羊皮紙に書かれている。写真のような綺麗な絵でゴブリンの似顔絵が描かれている。
「ゴブリン10匹で1000ラリ。ここまで一緒か」
村スキルで倒した報酬と一緒だ。ここまで一緒だとなんだか面白いな。これからの村スキルの成長が楽しみになってくる。
「初めての依頼なら薬草採取がおすすめですよ。報酬は500ラリですし」
「ありがとうございます。じゃあやってみます」
クリスさんが横に来て教えてくれる。優しい人だな。お薦めされたならやってみようかな。
町のすぐ外の森に自生しているみたいだな。
「ムラタさんは武器はないですよね? ゴブリンもいるかもしれないので、見たらすぐに逃げてください。武器がないと大変ですから」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「ふふ、はい、どういたしまして」
「え? あ、ははは」
クリスさんの忠告にお礼を言うと彼女はクスクスと笑ってくれる。どういう意図で笑ったのかわからなかったけど、彼女のような綺麗な人の笑顔はご褒美でしかない。ご馳走様といった感じだ。
「町の外か。ちょっと心配だな~」
クリスさんに見送られて冒険者ギルドを後にした。町の中を歩きながら不安で呟く。
『村のレベルが上がりました』
「ん? レベル?」
歩いているとそんな声が聞こえてくる。ずっと出しっぱなしの村のウィンドウを見ると村人の数が20に達してる。
どうやら、レベルは村人の数みたいだな。10で1上がると言った感じだろう。
『赤い夜がやってきました。防衛者を雇ってください。【赤い騎士ジャネット 100ラリ】【青い剣士ジャン 100ラリ】』
「ええ!? もう? もしかして毎日起こるのか? 仕方ない、とにかく選ぶか」
またジャネットを選ぶ。
「あれ? 始まらない? ああ!? 二人を雇うこともできるのか。最初はお金がなかったから自動だったわけね。でも、無駄遣いは良くないよな……」
初めての時はジャネットを選べばすぐに始まった。今回はジャネットを選ぶと【始める】という選択が生まれた。ジャンも雇えるみたいなので悩む。
「ん~、二人の強さを見ておくことも大事か。村がやられるとどうなるかわからないしな。もしかしたら僕も何かなるのかも……。よし! ジャンも雇う!」
ジャンの選択肢を押す。すると赤い夜が始まる。
炎のような突撃をするジャネットとは反対に、ジャンは防御型といった感じだ。
村の入り口が一か所なので、その場所を死守するような動きをする。
ジャネットは敵のいるところへと走って駆け付けて槍を突き入れる。烈火のごとく攻める様相は爽快の一言だな。
「ゴブリンの数は20か。村人の数と一緒だ。そして、報酬は」
赤い夜は無事に終わりを迎えた。村の前に仁王立ちしたジャンの仕留めたゴブリンは5匹、対してジャネットは15匹。数が増えてくると二人じゃないと村に入られそうだ。毎日二人を雇った方がいいかもしれないな。
無事に村を守って報酬を受け取る。2000ラリと銅の小手が手に入った。お金と装備が手に入るのかもしれない。楽しみが増えたな。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!