テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
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最高すぎます!!! 今日初めて見た者ですがありがたく拝見させていただきました!!! 設定から文章、解像度まですごすぎます… これからも続き待ってます!
「涼、ちゃん…?」
話しかけられてやっと、部屋の中に人がいたことに気づく。
最悪だ…若井が入ってきていたことに全く気づけなかった…。
あんだけ注意していたのに、気が抜けると集中しすぎてしまって周りが見えなくなる。
「ぜ、全然気づかなかった!ごめんねっ…!」
咄嗟に出た驚きと謝罪の声も、自分でもびっくりするほど裏返っていて、動揺しているのがバレバレだ。
思わず読みながら息が漏れてしまう程だったので、絶対ニヤニヤしていたはず。
(バレちゃったかな…)
誰かが後ろにいることに気づいた瞬間、スマホを胸元に引き寄せ、画面を隠したから見られていないと思いたい。
だけど正直言って、若井がいつから部屋にいて、いつから後ろにいたのかも全然分からない。
(……だめだ)
ちゃんと周りを見て、気をつけてたはずなのに。
人にバレないようにって、あんなに思ってたのに。
部屋に誰かが入ってきたことにも気づかないくらい、
画面に夢中になってしまっていた。
思い出すだけで胸の奥がキュッとなる。
若井がそこにいたこと。
そして、それに気づかなかった自分。
(気を抜きすぎちゃったな……)
スマホをぎゅっと握りながら、静かに反省する。
好きな気持ちは、悪いことじゃないけど、
人前で見るのは、やっぱり向いてない。
もう、外では見ない。
一人のときだけにしよう。
アプリを開くのは家だけにすると決め、
開いていた画面をそっと閉じた。
「おはようございます…」
「おはよー!」
「涼ちゃんまた遅刻笑」
「ごめんごめん、笑」
翌日もまた遅刻をしてしまい、最後に車に乗り込む。昨日のことで反省していて、中々寝付けなかったのだ。
「でさ!ドライヤーしてるときに、ーー笑!」
「いや、それは絶対嘘でしょ笑」
今日も変わらずくだらない話をしてゲラゲラ笑っている若井と元貴を見ていた。
人が楽しそうに話して笑っていると、こっちまで明るくなってくる。
「涼ちゃん今日はスマホ見ないの、?笑」
若井が、元貴との会話の余韻のまま、笑顔で聞いてきた。
「う、うん!充電するの忘れてて…笑」
嘘をついた。正直に、「人前でBL読むのやめようと思って…」など言えるはずがない。
ふ〜ん、と言いながらまた話に戻る若井を見て少し違和感を覚えたが、スタッフの声や車の音であっという間に考えは掻き消された。
20分ほど車に揺られていつものスタジオに着いた。
今日は、ライブで披露する曲の通しと、立ち位置や衣装などの細かい確認をする。
2時間もぶっ通しで演奏していたからさすがに疲れてきた。
「藤澤さん!!急ぎの用事がありまして…!」
スタッフさんから声をかけられ、確認したい話があると言うので準備をしてから、一旦スタジオを出る。
焦っていたせいか、色々周りの物をドサドサと落としながら来てしまった。
他の部屋に移動してから、スタッフさんと話をする。
急ぎの用事とは僕一人でのテレビ出演についてらしい。
「この日は9時にテレビ局入りでーー、ー…」
(あれっ?、あ…)
メモするためにスマホを出そうと色々なポケットを触って探すと、スマホが無くなっていることに気づいた。
キーボードの近くにあったスマホを取って、後ろのポケットに入れたはずが無くなっている。
(…中身、見られないかな…)
流石に画面ロックはしているし、自分以外誰もパスワードを知らないので、勝手に確認されることはないだろう。
しかし開かれてしまったら…
少し不安を抱えながら、急いで話を進めていた。
ライブのリハーサルが終わり、一旦休憩をしている中、涼ちゃんがスタッフさんに呼ばれて廊下に出ていった。
慌てているのか、鍵や水の入ったペットボトルまで落としてバタバタと準備をしている。
スタジオの扉がガチャリと閉まった時、キーボードの近くで見覚えのある物が落ちていることに気づいた。
(涼ちゃんのスマホ…)
落ちているものを手に取った途端、昨日のことが思い出される。
部屋に入った時の知らない涼ちゃんの表情。
後ろから覗こうとした時の焦った声と明らかな動揺。
映し出されていた白黒のコマ。
画面の中での男同士の密着。
(中身、見てみたい…)
頭の中では、涼ちゃんのプライベートだ、と理性が止める一方で、中身を見たい、と言う好奇心が戦っている。
(確認するだけ、確認するだけだから…)
そもそも最近の涼ちゃんは本当に変だ。急にニヤニヤしだしたり泣きそうな顔をしていたりと、情緒がおかしい。
だから確認して、安心するためにも。
(ちょっと見たら絶対に返す…)
急いでトイレに駆け込み、手元のスマホに視線を落とす。
スワイプして開こうとするとパスワード画面が出てきた。
涼ちゃんのことだから自分でも忘れないよう、簡単なやつにしているのだろう。
(0、5、1、9っと)
考えは見事的中し、一発で開くことができた。
「…えっ…?」
少し暗めの画面から衝撃的なものが目に飛び込んでくる。
そこには、人と人が行為をしている描写が大きく描かれていた。
(っ、すごい…)
それは明らかにBL漫画という類に属する物。
涼ちゃんが読んでいるという事実に興奮し、思わず声が漏れてしまう。
しかし、何故こんなものを読み始めたのかきっかけが全く分からない。
最近、有難いことに個人でも忙しくさせて貰っていたから、RECやライブの曲合わせは無くても、各メンバーだけでの打ち合わせなどがあり休みがほとんど無かった。
だからこれを見つける時間は無かったはず。
(なんでだろう…)
気づけば、勝手に指が動いていた。
確認するだけのつもりが、違うことまで調べようとしている。
“ガチャ“
ドアを開けて男子トイレに誰か入ってきた。
「若井ー?トイレ長いけど大丈夫ー?」
元貴だ。
「あ、ご、ごめん!!大丈夫!」
早く出ようと素早く立ち上がると、
「っ…!!」
手に持っていた涼ちゃんのスマホを落としてしまい、その勢いでドアの下に空いた隙間から個室の外に滑って行ってしまった。
「ん?なにこれ。」
しまった。バレてしまった。
「そ、それは…」
急いで外に出て、奪うように元貴の手から取り返す。
「なんで涼ちゃんのスマホ持ってんの」
一気に疑いの目を向けられて血の気が引いていき、冷や汗が止まらない。
「さ、さっき、涼ちゃんが落として行ってて…!ち、ちょうど拾った時にお腹痛くなっちゃって…!」
声が震える。ちゃんと言えているかもわからない。
「そうなんだ。探してると思うから早く返してあげなよー」
返すようにねと言いながら先に出ていき、1人トイレに取り残された。
「はぁっ…」
元貴は勘が鋭く、人の表情や声色などですぐに嘘をついていると見破れる人だ。
昔からの幼なじみなのでその事はよく分かっている。
(…ばれたな)
何とか言い訳したが、返答が棒読みで信じていないことが伝わってきた。
「急いで返さなくちゃ…」
元貴が涼ちゃんに伝えていないことを願い、
走ってスタジオに戻った。
いつもより長くなってしまった…
ごめんなさい🙇♂️
たくさんのいいね嬉しいです💕
短編集とか作ってリクエストとか…受け付ちゃおっかな〜?