テラーノベル
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政治的意図はありません。
死体愛好(ネクロフィリア)的要素あり
メリバ
露日
誤字脱字あったら、教えて下さい。
誰かの批判は俺の批判であり、また俺の正解は誰かの批判でもあった。
誰か、『おかしい』と言った。また誰かは、『やめた方がいい』と忠告をした。
しかし、やめようとはこれっぽっちも思わなかった。
何故?誰だって、大好きな人がいたら手放したくないものだろう。
私は腰掛けていた、デスクチェアから腰をあげ、「愛しい人」の元へ足を運んだ。
リビングのソファ腰掛けていた人に寄りかかった。
「日本、今日はどんな服がいいか?」
「寒いから、セーターにしようか」
優しく、愛を帯びた声で問う。
答えは返ってこない。
どうやら、今日は機嫌が悪いそうだ。
こんなことは慣れたもので、当たり前の様に引き出しからセーターを引っ張り出した。
優しく、壊れまいとゆっくりと力なく折れ曲がる腕を袖を通す。
首が座らず前に俯く。綿のような重さを手で肩で受け止めた。
今にでも折れてしまいそうなほど脆く、愛おしい。
やはり、いつやっても慣れるものではないと思ってしまう。
手が震えている。
「日本が、繊細な雪のようだから着替えも一苦労だよ」
その声が響くだけで返答はない。
百も承知である。
「日本、窓を見てごらん雪が降っている」
「ここは滅多に降らないからな何年振りだ?」
日本、笑みを浮かべたまま座っている。
俺は膝に上に乗せらている手を優しく握った。
氷のように冷たく痛い。その痛さも私にとっては甘さへと変わる。
またいつもと変わらない日常へと変わってゆく。
***
季節は巡り、春が来て、夏が過ぎ、秋が去って、また冬が来た。
もう、何回冬が来たか覚えていない。
「日本、おはよう」
日本はあれから変わり果てていた。
肌は青白く、今にも崩れそうな関節、乾燥した指
腕なんて上手動かすこともできないから、服を変えたのもいつか覚えていない。
「またあの、セーターを着ようか」
洗濯を何回もしてヨれたセーター。
ゆっくりと腕を通し、頭をくぐらせた。
ミシっと関節が部屋の中で反響する。
冷たい指先は俺の熱までも奪ってゆく。
あの時の面影が残っている気がした。
濁りきった日本の視界にはもう誰も映すことがない。
しかし、その視界には微かに私が映っていた。
俺はゆっくりと日本の頬に口付けをした。
日本と1秒でも長く居られるなら、
欠損。
腐敗。
沈黙。
些細な代償があるくらいなら、なんだって受けてみせる。
頬から唇を離すと、壊れた古時計が刻み出した。
「本当に美しくなったな」
返答なんて返ってこない。
誰かの批判なんてもう、聞こえはしない。
外ではしんしんと雪が降り積もっている。
彼が機嫌を損ねたあの日から俺達は時が止まったままだ。
そっと、冷たく乾燥した日本の手を握り、目を閉じた。
「ずっと、続けばいいのに」
小さな熱は冷めた闇に抵抗することなく溶けていった。
変になったかもしれない。
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