コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
無事に船着場に到着した、クロロとクラピカの2人は船が着岸するまでの時間に昼食を取っていた
2人の距離は出会った当初と比べてかなり縮まった…らしいとクロロ談である。
「なぁ、クラピカ」
とクロロは目の前に座ってパスタを食べているクラピカに話しかける。
「ん…なんだ?」
クラピカは口に入っていたパスタを飲み込んでからクロロに返事をした
「お前、なんでハンター目指してるの?」
クロロは気になっていたことをクラピカに尋ねた
しかし、クラピカは口を噤んでしまった。
「…それは…」
歯切れの悪いクラピカにクロロは謝った。
「言いたくないんなら良いんだ。ごめんな」
と言ったところでクラピカが間髪入れずして言った
「別にっ…!お前になら話してもいいと思っているんだ…。」
クロロは黙って話の続きを待った。そして暫くしてからクラピカは覚悟を決めたような顔をして話し始めた
話を聞き終えたクロロは神妙な面持ちでクラピカを見つめた。
「話してくれてありがとうな。そうかお前、クルタ族だったんだな」
と言った。クラピカは恐る恐るクロロの顔を見て
「引かないのか…?私は緋の目を持った一族なんだぞ…?」
とそう呟いた。仕方ないことだろう。クルタ族は昔、緋の目を理由に迫害されていた一族だった。普通の人間とは違うから、恐れられてきた。森の奥にある村で外の世界と切り離して生活していた一族だ。5年前まではそうだった。でも一夜にしてクルタ族はクラピカ1人を残して全滅してしまった。村で見つけたクルタ族の死体からは目玉が抜き取られていた。その凄惨な光景は今もクラピカのまぶたの裏にこびりついて離れない。
「引かないさ。俺は自分の目で見たものしか信じない質なんでね。」
クロロの言葉にクラピカは目頭が熱くなるのを感じた。
「…ッありがとう…!」
クラピカは涙で見えなくなった視界でクロロを見つめ、心からの笑顔を向けた。
クロロが目を見開いたかと思えば急に顔を逸らし、小さな声で「別に…」と呟いた。
「私は一族の皆の目を取り戻さなくてはならない。復讐も…しなければならないんだ。」
そう言ったクラピカは静かに目を閉じた。
「従ってハンターライセンスが欲しいのだよ。」
と言いきった。
「そう、なら俺はお前を守るよ。お前を絶対に一人にしないさ。約束だ」
クロロはそう言って小指をクラピカの前に出した。それを見たクラピカは最初こそ驚きはしたが、すぐに自身の小指をクロロの小指と絡ませた。
「あぁ。約束だ」
そう言ってクラピカはまた微笑むのであった。
あの会話から数日後、船が船着場に着岸した。
本来であれば、船はすぐに到着する予定だった。しかし、トラブルが発生したために大幅なスケジュール調整が行われてしまった。
「…やっと着いたのだよ…」
とクラピカが疲れた声で言う。
「全くだ…」
とクロロも同様に疲れた声で返した。
「「はぁ……」」
2人は顔を目合わせ同時に溜め息をこぼす。それもまた仕方ないことだろう。
2人は項垂れながらも船に乗船するために乗組員に声をかけた。
「この船に乗りたいのだが…」
とクラピカは近くにいた冴えない男に言った。
男はビクッと驚いたように振り向いた後
「こちらです…」
と蚊の鳴くような声で返事をし、2人を案内した
船に乗ると、いかにもその筋という顔をした男が大勢いた。しかも、彼らは2人を鋭い目つきで見つめている。その様子を見てクロロは
「わ〜お。こっわ〜。」
とおどけた様子でクラピカに耳打ちをした。
「うむ…。なぜあんな目付きで見てくる子だろうか?もしかして目が悪いのだろうか」
とクラピカはズレた発言した。それを聞いてクロロは笑ってしまった。不可抗力である。
「…なぜ笑うのだ」
とクラピカは拗ねたように唇を尖らせ顔を横に逸らしてしまった。
「ごめんごめん。お前が面白いことを言うからついね。」
とクロロは笑いながら心のこもっていない謝罪を口にした。
クラピカが言い返そうとしたその時
「チッうるせぇな。ガキは帰れ」
と誰かが言った。一瞬、場が静まり返ったが、2人は何事も無かったかのように会話を再開し、その場から移動をした。肝の座ったガキである。
余談だが、2人は非常に容姿が整っているため船内では浮いていたそうだ。
2人が乗った後、暫くして船は出港。その後も数箇所の船着場に止まり、様々な人物が乗船した。20代ぐらいでトランクを持ちスーツを着た男や、10代の活発そうなツンツン頭の少年などが特に印象深かった。