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クラピカとクロロの2人とその他の乗客を乗せた船は、現在進行形で嵐の中を進んでいた。
「わ〜お、凄い揺れるね」
とクロロは大して気にした様子もなくクラピカに話しかけた。
「そうだな」
とクラピカは短い相槌を打つ。そうして2人はまたお互いに本の世界に夢中になって行った。
船長side
船長の今の気分は絶好調だ。嵐の中を操舵しているのにも関わらずである。
ゴンという少年。彼の将来性に期待したからだ
嵐の気配を察知し、軽やかな動きで帆を広げた彼は、クジラ島で乗船してきた。
ゴンはその活発そうな見た目の通り、非常に活発な子供である。やはり血は抗えないな…と頭に一人の男を思い浮かべ船を操舵しながら笑う。
暫くして、船は安定の兆しを見せてきたため、乗組員の1人に舵を任せる。そして船長は、乗客の様子を見に行った。
やはりと言うべきか、乗客の殆どは激しい揺れに耐えきれず酔っている。しかし4人だけは違ったようだ。
「ほぉ」
と船長は自慢の髭を撫でた。
1人は、先程も名前が出たゴンだ。とても優しい子のようで、酔った奴に飲み物を飲ませたり、薬草を与えたりしている。
もう1人は、グラビア雑誌を眺めている長身の男だ。鼻の下を伸ばして雑誌を食い入るように見つめている。…面白い奴だ
最後の2人、1人はハンモックで本を読んでる金髪の少女で、もう1人は壁に背をつけて同様に本を読む男だ。2人はチラッと船長に目を向けると、また本を読むのに没頭し始めた。
今回の奴らは骨があるなと思い、4人に声をかけるのだった。
本を読んでいると船長の男に呼ばれた。
…せっかく良いところなのだと言うのに。
改めて周りを見回すと、いかにもその筋のような顔の男たちは、皆が揺れで伸びてしまっているようだった。
すると船長は
「お前たち名は?何故、ハンターになりたい」
そう聞いてきた。…答える道理もないな。
ツンツン頭の少年は
「オレはゴン=フリークス!!オレは親父が憧れたハンターってやつを知りたいんだ!」
と言った。とても眩しい言葉だと感じた。私にはもう同胞の目玉と仇討ちしか残されていないから
クラピカのハンター志願の動機は、己の過去を話さなければなくなる。だからこそ嫌だった。その様子みたクロロは、ポンッとクラピカの頭に手を置いた。
優しい奴だなと思う。
クラピカが口を開く前に、長身の男が言った
「レオリオ。理由は答えるつもりはねぇーよ」
いい機会だと思いクラピカも便乗する
「私も答えるつもりはないのだよ」
クロロも、
「コイツが答えるつもりがないのならば俺も答えかねるな」
と言った。
すると船長は、
「ゴン、お前は合格だ」
と言った。4人は首を傾げる。なぜ船長がそんな事を言っているのだろうか、と。
船長が言うには、大人数いるハンター志望者をふるいにかける雇われ試験官を担当しているらしい。全員を不合格にすることも出来るようだ。
「それを踏まえた上でもう一度聞く。理由はなんだ?」
腹を括るしかないらしい。クラピカは重い口を開いた。
「名はクラピカと言う。私はクルタ族の生き残りだ。同胞はみな殺された。目玉を抜き取られてな…だから私は目玉を取り返し復讐をする。それだけだ」
するとレオリオが
「復讐するだけなら、ハンターライセンスはいらないんじゃないのか?」
クラピカは鼻で笑ってしまった
「この世で最も愚かな質問だよレオリオ。ハンターライセンスがあれば立ち入りを制限されている場所も入れる事を知らないのか?」
意図せず煽り口調になってしまうクラピカにクロロは苦笑してしまう。
レオリオは顔を真っ赤にさせ
「レオリオさんだ!!」
と怒っていた。クロロも自身について発言するために口を開いた。
「俺はクロロだ。コイツのお守りではないが一人にさせないとか約束した身なんでな」
と言い本に目を落とした。
最後はレオリオの番である。
「俺は金が欲しい!!金さえあればなんでも出来る!でかい家、いい車、美味い酒!!」
欲望に忠実な男であった。クラピカは
「品性は金で買えないよ。レオリオ」
と言った。するとレオリオは静かな声でクラピカに
「表へでな。その薄汚ねぇクルタ族とかいう血を絶やしてやるぜ」
と言う。この言葉にクラピカも冷静さを失い怒ってしまった。
「その言葉取り消せ!!」
クロロはため息をこぼし、ゴンと苦笑いを浮かべた。
結果的に喧嘩にはならなかった。乗組員の一人の男が荒れた海に放り出され、それを捕まえたゴンをクラピカとレオリオが捕まえ、ゴンの素直な言葉に絆され、謝罪をしたからである。
「その…すまなかった…レオリオ、さん」
とクラピカはしゅんとしていた。クロロは横に立ち、また、クラピカの頭に手を置いた。
それを見たレオリオは
「…レオリオでいい。それとさっきの言葉、取り消すぜ…」
クロロとゴンは見合わせ肩を竦めた。仲直りかんりょうである。
その光景を見ていた船長は4人を非常に気に入った。
「俺は今気分がいい!責任をもってお前たちを送って行ってやる!」
そう言っていた。
その後数時間の船旅を経て、無事に船を下船したのだった。
クロロ
「お前って無自覚で煽るんだな」
クラピカ
「…はぁ?なんの事だ?」
そういう事である。